“Jなし県”高知がジャイキリ J1のG大阪撃破ぜよ “黒潮カウンター”さく裂

◇天皇杯2回戦 高知ユナイテッド2―1G大阪(2023年6月7日 パナソニックスタジアム吹田)

J1勢も登場する2回戦の29試合が各地で行われた。JFLの高知ユナイテッドはFW小林心(22)が得点するなど2―1でJ1のG大阪を破った。

土佐のいごっそう(頑固で気骨のある男)軍団が、痛快な“ジャイキリ”ぜよ!高知ユナイテッドが3つもカテゴリーが上のG大阪に2―1で勝利。吉本岳史監督(45)は「素直にうれしい。勝ててうれしい。それだけです。選手たちはたくましく、諦めなかった」と最大限の賛辞を贈った。

開始早々の前半4分だ。自陣でボールを奪うと“黒潮”に乗ったかのように、流れるようなパスワークから最後はFW小林が右足シュートでネットを揺らした。さらに同41分にはオウンゴールで追加点。後半はJ1のプライドを胸に本気度を増した相手に対し、防戦一方。それでも全員で体を張り続け、最少失点でしのぎ切った。

幕末に薩長同盟を周旋し、明治維新への道を開いたといわれる坂本龍馬よろしく、チームに勢いをもたらした小林は「1発目だったので足を振ろうと思いました。ゴールを見ずに打ったら入りました」。サッカー選手とホームセンター従業員の二刀流ストライカーは「ああ、勝ったんだなと。まだ実感は湧きません」と興奮が冷めない様子だ。

高知は福井、三重、滋賀、和歌山、島根とともに今では数少ない“Jなし県”の一つ。クラブは将来的なJリーグ加盟を目指すが、プロ契約を結んでいるのは4、5人しかいない。そんな状況で、3度目の挑戦にしてクラブ史上初めて公式戦でJ1勢を撃破。“維新”を成し遂げた吉本監督は「一つでも上に進みたい。我々のチームにはプロになりたい選手がいる。ここから羽ばたいてほしい」と高知サッカー界の夜明けに向かって突き進む。

<J1がJFL以下に負けるのは2大会ぶり>○…天皇杯でJ1チームがJFL以下のチームに敗れるのは21年度に横浜がJFLのホンダFC(JFL)、広島がおこしやす京都(関西1部)、FC東京が順大にそれぞれ敗れて以来2大会ぶり。G大阪は98年度に山形(JFL)、18年度に関学大、19年度に法大に敗れて以来4度目。

▽高知ユナイテッド 四国で唯一、Jクラブがない高知県で、Jリーグを目指して16年に高知UトラスターFCとアイゴッソ高知を統合して発足。20年からJFLで戦い、今季は現在10位。エンブレムにはカツオ、黒潮の荒波、土佐闘犬の化粧まわし、よさこい祭りの鳴子板など同県のイメージがたっぷり。

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