アルビレックス新潟は「超優等生」を貫くのか? ガンバ大阪監督が活かした経験値【Jの十字架】

明治安田生命J1リーグは第15節を消化した。最下位に沈むガンバ大阪は、スタイルに類似点を持つアルビレックス新潟に3-1で勝利している。昨季までJ2徳島ヴォルティスを率いたダニエル・ポヤトス監督は、新潟にどう立ち向かったのか。“異端のアナリスト”庄司悟氏が例のごとく十字架を用いて分析する。(文:庄司悟)

【図2:2022年J2の十字架(縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率)】

●「優等生対決」アルビレックス新潟対ガンバ大阪

J1第15節で注目していたのが、アルビレックス新潟とガンバ大阪の「優等生対決」であった。第15節終了時点の十字架(縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率、図1)を見てもらえばわかるように、右上の優等生領域にいながらともに2ケタ順位と苦しんでいるからだ。

さらに、両チームには他にも共通点があった。第14節までのボール支配率(1試合平均)はG大阪が2位、新潟が3位、そして、スプリント数(同)はG大阪が17位、新潟が18位と、数字的にも似通っていることがわかる。

結果はご存知のとおり、G大阪のダニエル・ポヤトス監督が、スペイン=ポゼッションのイメージを捨て、支配率35%で3-1と勝利している。新潟にボールを持たせるサッカーに徹したわけだ。実はポヤトス監督は新潟の対処法を知っていた可能性がある。

2022年J2のシーズンを通しての十字架(縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率、図2)を見てもらえばわかるように、ポヤトス監督が率いていた徳島ヴォルティスもまた新潟と同じ右上の領域にいた。新潟戦は2戦ともに引き分けだったものの、徳島のボール支配率は38.8%、36.3%と、G大阪と同じように新潟にきっちりボールを持たせていたのだ。

一方で新潟は、ここまでパス総数、パス成功数、パス精度、正味時間いずれもJ1トップの「超優等生」ながら、G大阪戦のように「持たされている」印象が強い。逆に、同じ右上の領域にいる横浜F・マリノスと川崎フロンターレは「持っている」印象が強い。これは、新潟の場合、相手がリアクション(プレスなど)する前に選手とボールが動くのに対し、横浜FMと川崎の場合、相手のリアクションを意識したあとに選手とボールが動く「差」からくるものなのかもしれない。

ポヤトス監督の経験値が活きた形になったにせよ、第14節まで「同胞」であったG大阪に敗れたことは、新潟にとっては痛手に違いない。新潟はそれでも「超優等生」を貫き続けるのだろうか。いずれにせよ、この試合が両チームに舵を切るヒントを与えてくれたことは確かだ。

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