ガンバ再興への道|得点パターンは綺麗だが、“安い”失点でチームに負のオーラ。ポヤトス監督のデッドラインは?[番記者の見解]
指揮官はシステムや戦い方の変更に「NO」
ガンバ大阪が苦境に陥っている。14試合を消化し、1勝4分9敗。目下5連敗中で最下位に沈む。西の雄は巻き返せるのか。スポーツニッポン新聞社の飯間健記者に見解をうかがった。
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卵が先か鶏が先か。因果性のジレンマが、G大阪にも降りかかっている。14試合を終えて1勝4分9敗の最下位。降格枠が「1」しかない2023年シーズンだが、3年連続でJ2降格の危機に瀕している。
ダニエル・ポヤトス監督は紳士的だ。試合前の囲み取材では、通訳を介してだが平均30分は対応してくれる。嫌な質問にもしっかりと答えてくれる。厳しい現実も受け入れている。
そのなかで、最近よく話題に上るのが「勝つためにシステムや戦い方を変えないのか」というもの。ただ、決まって答えは「NO」。変化ではなく、改善だと強調するやりとりが多い。
「オプションは2つ。一つは目の前の勝点を取りにいくのか。もう一つは将来的にタイトルを取るために何を構築していくか。勝点を優先してリスクを冒さない戦い方はある。でもその先に何が残るのか。逆にタイトルを取るために今、何をするか。アプローチの仕方は違ってくる」(ポヤトス監督)
ポヤトス監督のコンセプトは「スペースを作り、スペースを使うこと」「攻守に主導権を握り続けること」。例えば、ウイングが相手のディフェンスラインの背後に走ってマーカーを引き連れ、その空いたスペースをサイドバックが使って攻撃を展開していく。例えば、ディフェンスラインから一つ奥に位置する選手にパスを通して、中盤(インテリオール)の選手が前向きでプレーできるスペースを作る。そのためには、個々の距離をある程度長く取るのは前提となっている。
「ダニ(ポヤトス監督)は色んなボールの回し方とか形は提示してくれている」とMF倉田秋が口にするように、チーム内でもコンセプトは理解できている。北海道コンサドーレ札幌戦(3月18日)の2得点や、セレッソ大阪戦(5月3日)でのMFダワンの得点は狙いが形になったシーンだった。
ただ、倉田は「どれをチョイスして、どう連動していくか。ピッチ内で無理なときに“こうしよか”とならないと。自分たちのものを真正面から出していても意味がない。柔軟性は必要」とも指摘する。
勇気がピッチ内で薄れているように見える
相手ありきで戦い方を変えるわけではないため、逆に言えば、相手にとってG大阪対策はしやすい。ゴール前でブロックを作られスペースを消された時、ビルドアップを狙われた時…。良さを消しにくることは分かってはいるが、瞬時に同じ絵を描くまでは至っていない。むしろ良い攻撃の回数よりも難しい時間帯が多いのが現状だ。
そして、難しい時間帯を多くしている一因は、勝ち点が取れていないことではないか。今季は“安い”失点が目に付く。チーム総失点「30」はリーグワーストだ。個人のミス、カウンターを止めきれない…。
崩された失点以上に「なぜ?」が多く、その繰り返しがチーム全体を縮こまらせているように映る。微妙なPK判定に泣かされた浦和レッズ戦後に、DF半田陸は「それを跳ね返す力がなければ、勝っていけない」と厳しい口調で説いたが、判定も含めて今のチームは負のオーラに包まれている。
得点パターンは綺麗だ。ハマった時は面白い。内容がもっと良くなれば、再現性が高まれば結果が付いてくる期待感はある。だが、時間は待ってくれない。次々に試合は訪れる。
結果が出ていないなかでも、内容を追求する勇気と覚悟があるか。監督もクラブフロントも覚悟はあるようだが、勇気の部分がピッチ内で薄れているように見えて仕方ない。
ポヤトス監督が昨季率いたJ2の徳島ヴォルティスは、シーズン折り返しの21節までは4勝13分4敗。22節から最終節までは9勝10分2敗と向上した。一つきっかけがあれば変貌するかもしれないが、個人的には、デッドラインはシーズンの半分となる6月11日開催のFC東京戦かと考えている。
万が一、舵を切る決断をした際には180度方針を変えるのではなく、ポヤトスサッカーを継承できて攻撃構築の手腕を持つ指揮官を据えて欲しい。そうでなければ、昨年までと同じ過ちを繰り返すだけになってしまう。