【移籍マーケット最新事情】宇佐美が欧州再挑戦? 複数のドイツクラブが調査中 SOCCER DIGEST Web 11月17日(火)6時30分配信
日本代表でもエース候補として期待されるG大阪の宇佐美貴史。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の寵愛を受けて代表に定着すると、リーグでも得点王争いを演じている。まだ伸び盛りの23歳に欧州クラブのスカウトも目を光らせるなか、欧州クラブとのパイプを持つ代理人のひとりは、宇佐美の現状についてこう語 る。
「ドイツを筆頭に、ヨーロッパのクラブ担当者から『日本の優秀なアタッカーを紹介してくれないか?』という問い合わせはよく来ている。今春の時点では、 FC東京にいた武藤(嘉紀)か、宇佐美の名前が挙がっていた。武藤がマインツに移籍した今、そのような問い合わせがあった際、真っ先に挙がるのが宇佐美。 彼のプレーに注目している欧州クラブは最近特に多い」
宇佐美は19歳だった11年7月に、一度大きな決断をしている。買い取りオプション付きの1年間レンタルで、G大阪からバイエルンに移籍。いきなり欧州屈指のビッグクラブの扉を開いたのだ。
11-12シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝、対チェルシー戦ではベンチ入りも果たしたが、結局、シーズンを通して出場機会を得られないまま1年で退団。翌シーズンにホッフェンハイムに再びレンタル移籍するも、完全移籍を勝ち取れずに古巣へ復帰した。
ドイツはいわば海外移籍失敗の烙印を押された“挫折の地“。宇佐美は「あれほど自分が無力だと感じた経験はない。サッカーが楽しくなかった」と当時を振り返っている。
しかし近い将来、宇佐美が再び海を渡るのは間違いないだろう。注目されるのは、その時期だ。今冬か、欧州リーグの開幕に合わせた来夏か。移籍時期について、ある関係者はこのように明かす。
「良いオファーが届けば、宇佐美選手がいつ移籍を決断しても不思議はありません。ただ現実的には、今冬よりも来夏のほうが可能性は高いと思います。我々が想像している以上に、宇佐美選手はG大阪に対して愛着を抱いています。
今季、G大阪はACLベスト4で敗退しましたが、アジア制覇を逃した悔しさを相当感じているようです。そうした点も踏まえると、現状では来夏以降の移籍 が基本線ながら、それでも今冬に良いオファーが来れば本人も当然迷うでしょうし、残留と移籍のどちらにも転び得る状況と言えます」
関係者からの情報を総合すると、G大阪との契約期間は17年シーズンまで、残り2年と見られる。だが海外移籍に限っては、優先的に交渉が進められる条件のようだ。仮に移籍となれば、違約金は少なく見積もっても2~3億円。実際はそれ以上の金額になるだろう。
二度目の欧州挑戦となる宇佐美が、“出場機会“を最優先事項として考えるのは間違いない。まだ正式オファーは届いていないようだが、仮に話が舞い込んだとしても、慎重にクラブを見極める必要があり、商談はすんなりとは進まないだろう。
今夏にはポルトガルの強豪ポルトが獲得に乗り出すと現地で報じられた。欧州のクラブ事情に精通する代理人によれば、ドイツのインゴルシュタットがかねて から調査に動いているうえ、大迫勇也が所属するケルン、高原直泰が在籍していたハンブルク、細貝萌がプレーしたアウクスブルクも日本人アタッカーに興味を示しており、宇佐美にいつ触手を伸ばしてもおかしくない状況だ。他リーグでは、オランダのユトレヒトもリストアップしているという。
日本代表で原口元気らと熾烈なポジション争いを繰り広げるなか、今夏にマインツへ移籍した武藤の活躍がとりわけ刺激になっているようだ。協会関係者はこう語る。
「口にこそ出しませんが、宇佐美は相当、武藤を意識しているでしょうね。立場的には宇佐美のほうがだいぶ上にいたはずなのに、最近では武藤の名前が欧州に広がり始めて、一気に追い越されてしまった感すらあります。G大阪のチームメイトは、宇佐美がしばらくJリーグでプレーすると思っていたようですが、武藤の活躍を受けて本人は、『俺もやれるはず』『またチャレンジしたい』と、少なからず気持ちが欧州移籍へと傾いているようです」
日本代表のハリルホジッチ監督も海外移籍を後押ししている。代表の合宿中だけに止まらず、G大阪の試合を視察した際にも宇佐美を呼び止め、話し合う姿が目撃されている。関係者によると、その都度、海外移籍を促すような助言をしているという。代表監督からそうした話を度々振られるのは、さらなる成長を期待されている証拠だ。
年末から来年1月まで、欧州の冬季移籍マーケットが開くと同時に、宇佐美には複数のオファーが届くと予想される。フランクフルトやシュツットガルトが獲得に動くとの情報もあるが、出場機会や年俸、環境などの項目を比較検討し、再度大きな決断を下すのか。それとも、来季もG大阪のエースとしてプレーする道 を選ぶのか。



