U―22日本代表DF今野息吹、初招集で感じた世界「これをモチベーションに」「パリ五輪に出る」
3月にサッカーU―22日本代表が実施した欧州遠征で、法大のDF今野息吹が追加招集でメンバー入りした。ドイツで行われたU―22ドイツ戦(同24日、2△2)で後半31分から出場し、日の丸デビュー。「ドイツは速くて強くて、大学サッカーでは体感できないスピード感、球際の強度だった。すごくいい勉強になった」と振り返った。
「今年始まった時に立てたパリ五輪に出る目標」が、より具体的な目標として見えた欧州遠征だった。スピードやドリブル突破など、攻撃的なプレーを持ち味とする左サイドバックの今野は、遠征出発直前にけが人が出たことで急きょ追加招集。自身初の代表招集となった。バックアップメンバーの通達はなかったため、出発前夜に「明日の朝からドイツ行けるか? みたいな。すごいビックリした」と本音を明かした。
ただ、驚きや喜びに浸る時間はない。「明日の朝か、って感じだったけど不安はなくて、やるしかないなって気持ちで向かえた」。大岩剛監督からも「せっかく来たのだから、思い切り、チームのやり方をある程度踏まえて特長を出してほしい」と言葉をもらった。3日間の練習を経て迎えたドイツ戦は2―2の状況でピッチへ。「何もせずに帰国はできない。出たからには、失敗してもいいから何か残していこうと」。ボールに絡み、積極的にサイド突破を試みるシーンも見られた。「自分の出来としては60点、70点くらい」と自己評価したが、「世界基準で戦うとなると、ああいうレベルで日頃の練習からやっていかないといけないと感じた」と約15分間の出場でも世界トップ基準を得られたことは大きい。
大岩監督率いるチームは21年12月に正式発足。「シームレス(切り替え)」や「奪いきる」ことを大事にしながら、主導権を握りながらゴールへ向かっていくサッカーを掲げ、ここまで計5回の海外遠征で強豪国相手に対戦を重ねて積み上げを図ってきた。東京五輪が1年延期された影響もあり、準備期間は過去のチームより短い世代。代表スタッフは幅広く選手の視察を繰り返すが、23年9月にはパリ五輪1次予選を兼ねるU―23アジア杯予選を控える。必然的に招集メンバーはある程度固定されてきた背景もあった。
そうした中でつかんだチャンス。「みんな常連で1年くらいやってる中にポッと入ってプレーする難しさだったり、チームコンセプトをしっかりやりながら自分の味を出すことは難しかった」と短い時間での戦術理解や慣れない環境下で力を出し切ることは簡単ではないが、「少ない時間の中でやることはやれたかなって印象。(ピッチ外でも)最後のほうはいい雰囲気でチームになじむことができた」。何より、同世代の選手と10日間を過ごしたことで「どのくらいのレベルにチームがあって、そこに向けての自分の立ち位置が明確にわかったので、これをモチベーションにもっともっとやっていくしかない」とパリ五輪までの”距離”やライバルとの競争を実感することができた。もちろん「(五輪への)思いは強まった」という。
2日には関東大学リーグが開幕。今野はフル出場し、東洋大に2―1で逆転勝利した。欧州遠征から帰国して中3日の試合とあり「時差ボケや移動疲れもすごかった」と身体的な負担を感じた部分もあった。それでも、今後はそうした様々なチームでの活動をしながら100%で戦っていける力をつけなければいけない。
大学ラストイヤーは法大での活動を主としながら、公式戦がない期間は来季加入するG大阪に帯同する予定。「もっとタフさをつけて、どこでも活躍できるように頑張りたい。自分と(FW佐藤)恵允(明大)以外はプロでやっているけど、大学でも代表スタッフの方は見てくれていると思う。圧倒したプレーを見せてアピールしたい」とさらに闘志を燃やすシーズン開幕となった。(小口 瑞乃)