”その堅さ、山のごとし”山形ユース、帝京に5-1圧勝!「山形からA代表」半田陸に刺激も
強豪20チームが参加する第32回イギョラ杯国際親善ユースサッカーが19日から21日まで3日間、都内各地で行われている。
2日目の第1試合。帝京北千住グラウンドでは帝京(東京)とモンテディオ山形ユース(山形)が対戦(35分×2)。試合は山形ユースのゴールラッシュとなった。
4分、左サイドからFW10木下晴陽のパスを受けたMF9鹿野楓太の放ったシュートが決まり、山形ユースが先制。その後、膠着状態が続いたまま、前半終了。
後半に入り、ゲームが大きく動き出す。3分、山形ユースのMF11渡辺哲多がミドルシュートを叩き込み2点目。その2分後、ドリブルを仕掛けた帝京MF14土本瑶留がペナルティエリア内で倒され、PKを獲得。これをFW25横山夢樹が決め、帝京は1点差に詰め寄る。
しかし、4分後の後半9分。今度は山形ユースがPKを得る。これをFW10木下が落ち着いて決め、2点差に引き離した。さらに18分には山形ユースが右サイドの崩しから最後はMF26半澤光琉が決め、3点差。29分にはFW18鑓水壮真のシュートがゴールにつながり、終わってみれば山形ユースが5-1で帝京に圧勝した。
モンテディオ(山の神)の名の通りまさに山のような堅守だった。しかも、いわゆるベタ引きではない。FW横山を中心に高い個人技を有し、ドリブルやパスと多彩な攻めを仕掛けてくる帝京に対し、前に追いやるような速くて強い守備が功を奏した。
これをべースに山形ユースは縦に速いサッカーを展開。しかも個人技を生かし単騎で駆けたわけではない。特に先制点は流れるようなパスからのゴールだった。また5得点はいずれも違う選手が決めていることも大きい。
「ゲームモデルは誰が試合に出てもやることが統一している。ひとりに依存せず、やっていた結果」と山形ユース・内山俊彦監督は口にする。
5得点となれば、とかくシュート数が多くなるが、前後半あわせて7本と効率良く得点。狙い通りの攻撃ができたといえる。
帝京戦では「THE堅守速攻」だった。しかし目指すものは違うところにある。
「様々な相手がいるなかできょうはそうなってしまった。もう少しボールを握って攻撃の時間を増やしたかった。サッカーは相手があることだが、守備の時は守備をしなければならない。(攻守とも)全部、できるようになりたい」と内山監督は語った。
土地柄、山形は関東圏に比べ、サッカーの競技人口の少なさ、それに伴うチーム数の少なさからなかなか練習試合を組めない、難しい環境にある。
今回のイギョラ杯は、全国区の強豪とのまたとない、いわば腕試しの場。
2日間で4試合というハードな予選日程もなんのその。「怪我のリスクはある。でも、タフにやっていこうというメンタル」と内山監督はメンバーを大きく替えず、戦い、チームを練りあげている。
そんな山形ユースにとって刺激になっているのは今季からガンバ大阪に所属するDF半田陸。半田は山形県出身で、モンテディオ山形ジュニアユース、ユース、そしてトップチームに昇格し、今季、G大阪に移籍した。先日、発表された第二次森保ジャパンの初の親善試合に初招集された。
「(半田のことを)誰も悪く言う人はいない模範的な選手。ずっと上を目指してやってきた。山形からA代表ですよ!いまの選手にも話をするとともに僕らにも刺激になる」と長くアカデミーを指導した内山監督は目を細めている。
まだ春遠い山形から東京への武者修行。モンテディオ山形ユースは何を掴むか。