自発的に意見を出し合って修正。自覚持ち、トライしたU-18日本代表候補がFW貴田2発とMF岡崎V弾で早大に逆転勝ち

[3.3 練習試合 U-18日本代表候補 3-2 早稲田大JFA夢フィールド]

2005年生まれ以降で構成されたU-18日本代表候補が、2月27日から5日間の始動合宿を高円宮記念JFA夢フィールド(千葉)で行った。合宿最終日の3日には、早稲田大と練習試合(45分×3本)を行い、FW貴田遼河(名古屋U-18)の2ゴールとMF岡崎寅太郎(川崎F U-18)の決勝点によって3-2で逆転勝ちした。

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U-18日本代表候補は、2025年のU-20ワールドカップを目指すメンバー。今活動からチームが正式に立ち上がり、1日の初陣は流通経済大に3-1で勝利している。この日の1本目は代表経験豊富な選手たち中心のメンバー。4-4-2システムのGKは濱崎知康(川崎F U-18)、ゲーム主将の右SB桒原陸人(G大阪ユース)、CB畑野優真(横浜FMユース)、CB喜多壱也(京都U-18)、左SB池田春汰(横浜FMユース)、MF石渡ネルソン(C大阪)とMF清水大翔(C大阪U-18)のダブルボランチ、右SH早川隼平(浦和ユース)、左SH中川育(広島ユース)、そしてFW横山夢樹(帝京高)とFW神田奏真(静岡学園高)が2トップを組んだ。

U-18代表候補は前半6分、横山がドリブルでDFを剥がし、早川のスルーパスで神田奏が抜け出す。だが、決定的な右足シュートは早大GK山田怜於(3年=鎌倉高)がストップ。U-18代表候補は直後にも右ショートコーナーから喜多がヘディングシュートを放つ。

まずまずの入りだったが、その後は早大にボールを握られる展開になった。攻撃時にMF福井寿俊(3年=國學院久我山高)がDFラインまで下りてボールに係る早稲田大のビルドアップに守備がハマらず、苦戦。ボールを奪い切れずに押し込まれた。

1本目はほとんどの時間帯で早大に主導権を握られる展開だった。その中でU-18代表候補は、中盤で迫力のある守備を見せる石渡が幾度かボールを引っ掛けていたほか、相手FWに果敢にアタックする畑野、喜多の両CBやGK濱崎が健闘。奪ったボールを清水が軸となって動かし、攻めどころの一つになっていた中川がドリブルで仕掛ける。また、桑原が攻め上がりからクロスを入れるシーンもあったが、全体的に単調な攻撃を早大に封じ込まれていた。

1本目終了後は、「選手たちが自主的にボードを使いながら話をしていた」(城和憲監督)。選手たちの話し合いは当初5、6人で始まり、11人、そしてサブの選手も参加。その後、彼らの意見を踏まえて指揮官が助言したという。規定時間をオーバーするほど“熱いミーティング”を過ごし、選手たちは頭の中を整理した。

昨年、U-17日本代表時代の彼らを指揮していた城監督も、「(ロッカールームへ戻ってすぐに、自発的に話し合いをすることは)今までなかったような光景だったので、自分たちの自覚も芽生えているんじゃないか」と頷くシーン。そして、2本目以降は「自分たちで修正、意識したこともできていましたし、トライする姿勢は今まで見られなかった部分が出てきたんじゃないかと思います」という認める内容になった。

2本目は1本目から8人が継続して出場。GK小林将天(FC東京U-18)、右SH平賀大空(京都)、左SH鈴木陽人(名古屋U-18)が新たに加わり、スタートした。6分、相手の決定的なシュートを桒原がブロック。だが、9分、左クロスをファーサイドの早大MF森山絢太(2年=三田学園高)に決められてしまう。

それでも1本目とは異なり、相手の背後も狙いながら効果的な攻撃。連動した攻撃から鈴木や池田がマイナスのラストパスを狙う。また、平賀が強引に突破を試みるシーンも。加えて、「ハーフタイムに色々話し合って、形も大切ですけれども(守備で)2度追い、3度追いすることによって次の人も狙いやすいと思った」(桒原)という部分やバトルする部分も表現し、内容を好転させていた。

早稲田大が2本目途中に9人をチェンジしたのに対し、U-18代表候補も24分に選手を大きく入れ替える。右SB本間ジャスティン(神戸U-18)、キャプテンマークを受け継いだCB市原吏音(大宮U18)、CB尾崎凱琉(大阪桐蔭高)、左SB水木康誠(横浜FCユース)、MF神田拓人(尚志高)とMF林奏太朗(鳥栖U-18)のダブルボランチ、貴田とFW網代陽勇(尚志高)の2トップとなった。

その4分後、U-18代表候補が同点に追いつく。GK小林の好フィードから右中間の貴田が一気に仕掛けて右足シュート。U-18世代のエース候補がDFと競りながらの難しい一撃を決め切り、1-1とした。

39分には、左サイドでボールを受けた網代がDFのチェックでバランスを崩しながらも倒れずに突破。直後にも水木、鈴木が絡んだ崩しからチャンスを作る。また林、神田拓のところでボールを奪って攻撃に繋げる。そのU-18代表候補は、GK中村圭佑(静岡学園高)、右SH永田滉太朗(横浜FCユース)、左SH岡崎へスイッチした3本目に早大を逆転した。

敵陣での奪い返しや林の好パスから貴田、網代、岡崎が次々とシュート。11分には岡崎の右足シュートがクロスバーを叩く。そして19分、岡崎が左サイドから中へ切れ込み、貴田が素早く右サイドへ展開する。最後は永田の左足クロスを貴田が頭で合わせると、クロスバーを叩いたボールがゴールラインをわずかに越えたという判定でU-18代表候補が2-1とした。

その後も、前線で存在感を放つ貴田が巧みな身のこなしでDF2、3人を振り切ってシュート。また、本間が決定的なクロスを配球する。3本目は相手GK海本慶太朗(新1年=大宮U18、練習生)に幾度か1対1のチャンスを阻止されていたものの、19分、右タッチライン際で巧みなボールコントロールを見せた貴田を起点とした攻撃から追加点を奪う。永田が粘ってボールを繋ぐと、神田拓が大外でフリーの岡崎へ絶妙なループパス。岡崎がコントロールから右足シュートを決め、3-1とした。

3本目も早大にボールを握られる時間が増えていたが、U-18代表候補は的確なカバーリングを見せる市原、尾崎の両CBやGK中村中心に安定。右SB本間は2度3度と対人プレーを制していた。一方で相手の背後を突く形チャンスを量産していたが、決め切ることができない。逆に自陣でのボールロストから早大MF青柳龍次郎(新1年=前橋育英高、練習生)にスルーパスを通され、MF石谷光基(2年=名古屋U-18)にゴールを破られた。終了間際に本間が負傷交代し、桒原が緊急出場するアクシデントがあったものの、3-2で勝利。城監督は「早稲田さんが良いプレーをしてもらったので、できることとできないことがはっきりしたのは良かったと思います」と振り返った。

今回が始動合宿となったU-18代表候補だが、U-19日本代表としてU20アジアカップ予選を経験している桒原は「1回目とは思えないくらいの団結力や一体感がこの合宿を通して出てきたと思うので、凄く良い年代だと思っています」という。代表常連組を中心に初招集組が融合。自分たちで意見を出し合って改善し、良い雰囲気を作り出すなど次に繋がる部分も多かったようだ。

一方で早大戦は押し込まれる時間帯が続く中、ピッチ上で解決できなかった部分もあった。城監督が昨年から伝え続けているのは、「自分たちで相手を感じながら、自分たちで変化を共有しないといけない」。指揮官は解散時に「僕らが目指しているのはどこか、もう一度再確認をみんなでしよう」とメッセージ。選手たちは課題を持ち帰り、日常をレベルアップさせて、またアピールして、U-18代表に戻ってくる。

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