運命のW杯ドイツ戦前、堂安が「何かやりそうだ」「必ず大きな仕事をする」と恩師や同期たちが確信したワケ
カタールW杯でのドイツ戦、スペイン戦で日本を勝利に導いた堂安律は、前編『「W杯優勝しか考えていません」堂安律は、なぜ「本田圭佑にそっくり」と言われるのか』で見てきたように本田圭佑によく似ていて、大器のポテンシャルが期待されてきた。
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そんな中で、堂安の師や元同期たちは、彼が大きな舞台で必ず活躍することを確信していたという証言が得られた。未来のエースの素顔に迫る。
小さい頃から2人を知る関係者たちが指摘する類似点
堂安をガンバ大阪アカデミー時代のスカウト・二宮博氏(現バリュエンスホールディングス・社長室スポーツ事業担当シニアスペシャリスト)はこう評している。
「カタールW杯での2ゴールは予想してなかったですけど、ドイツ戦で出てきた時の表情を見て『何かやりそうだな』とは感じました。堂安の同期のメンバーたちは『大舞台に強い律なら大きな仕事をするはず。2点取るんじゃないかと思っていた』と口を揃えていましたが、それだけのスケール感と強心臓、器の大きさは本田と似ている。自然と人が寄ってくる親分肌のところも通じるのかなと感じます」
本田と堂安の両方を指導した元ジュニアユース監督の鴨川幸司氏(現FCティアモ枚方アカデミーダイレクター兼ジュニアユース監督)も、2人の似ている点をこう指摘していた。
「初瀬亮や林大地、田中駿汰などヤンチャ坊主が多い中で堂安は揉まれましたが、決して弱音は吐かなかった。そういうところは圭佑によく似ている。弱みを見せなかったり、前向きな考え方、負けず嫌いな精神力、人としてのスケール感の大きさは2人に共通する部分だなと思いますね」
堂安への期待は高まる一方だ。
「いずれは代表キャプテンになりたい」
本人はカタールW杯の後、「いずれは代表でキャプテンになりたい」と野心を口にしたが、それは本田でさえも成し得なかったこと。はたして堂安は主将の重責を担う器たり得るか否か。そこは気になるところだが、二宮氏は太鼓判を押した。
「堂安はとにかく明るいし、チーム第一で動ける子。中学生の頃も自然と中心になれるような雰囲気を持っていました。私利私欲を出さず、常に周りをサポートしようと献身的になれるところもありました。代表でも身を粉にして働くマインドは持っていますね」
地元にサッカースクールを開設し、未来を担う子供たちに夢を持たせようと仕向けるなど、堂安は「世のため人のため」という意識を強く示している。それは家族の影響が大きいようだ。両親や元サッカー選手の次兄・憂さんとも交流を持つ二宮氏はこんなエピソードを明かす。
「今回のカタールW杯の前にもご両親と連絡を取りましたけど、息子がメンバー入りした安堵感よりも、『本当にお役に立てるのか』と謙虚な言葉を口にしていました。だからこそ、2得点という結果を残してホッとしたんじゃないかな。大会後には地元・尼崎の商店街に垂れ幕が出たようですけど、堂安の活躍が地域活性化につながったことをご家族は一番喜んでいると思いますよ」
照準は2026北中米W杯へ!
欧州や森保ジャパンでの不遇な時期を経て、人間的にも一回りも二回りも大きくなった堂安。そこに実績がついてくれば、代表キャプテンに任命される日もそう遠くないかもしれない。
まずは所属のフライブルクで傑出した数字を残してビッグクラブへ飛躍し、そこで主力として活躍すること。それができれば、ACミランではブレイクしきれなかった本田を上回ることができる。
そのうえで、2026年北中米W杯でも複数ゴールを奪えれば、代表歴代スタープレーヤーのトップに躍り出ることになるだろう。
本田はプレーではもちろん、ピッチ外でも圧倒的な存在感を放った。堂安もそういった飛び抜けた選手になれるのか否か。恩師たちをはじめ多くの期待が彼にそそがれている。