細谷真大らに刺激を与える32歳・大迫勇也や30歳・宇佐美貴史らとの「競演」【2023年のJリーグを盛り上げる日本人ストライカー】(3)
2023年のJリーグが開幕し、J1は早くも第2節までを終えた。ここまでの試合で目立つのが、日本人ストライカーの働きである。今季を盛り上げそうな日本人FWに、サッカージャーナリスト・後藤健生が焦点を当てる。 ■【動画】「ゴイゴイスーだと思ってた…」と一発ギャグとの勘違い続出した、「湘南FW町野のゴールパフォーマンス」!
■負けていないベテラン
湘南対横浜Fの試合が典型だろうが、前線に核となるFWがいると攻撃のバリエーションは増えて、また、ゲーム全体が引き締まって見える。
これまで、日本人のFWといえば非力な印象が強かったが、このところ日本人選手のシュート技術は上がっており、昨年のワールドカップでは日本代表の攻撃陣が少ないチャンスをきちんと決めきってドイツ、スペインに逆転勝利したし、ヨーロッパの主要リーグでも日本人選手による得点場面は今では当たり前のようになってきている。
そして、今年のJリーグで期待される3人をはじめとして、若手選手の中にはCFらしいプレーができる選手が増えてきている。
J1リーグ第2節では町野修斗、小川航基、細谷真大のほかにもCFの活躍が目についた。
ヴィッセル神戸では昨シーズンの終盤にすっかり復活した姿を見せていた大迫勇也が、第2節の北海道コンサドーレ札幌との試合で武藤嘉紀からのパスを引き出して、シュート技術を見せつけるような先制ゴールを決めたし、ガンバ大阪ではJリーグに帰ってきた鈴木武蔵が得点を決めた。
■新旧CFの競演
桐蔭横浜大学から川崎に今季加入した山田新は、鹿島との試合で家長昭博のバイシクル・シュートにうまく合わせて89分に同点ゴールを決めて、逆転勝利への足がかりを作ったし、浦和レッズの大ベテラン興梠慎三は第2節の横浜戦では開幕戦でのプレーよりはるかにキレのある動きを見せて、横浜相手に反撃の先頭に立っていた。
さらには、開幕戦でゴールを決めた宇佐美貴史も、今シーズンはG大阪のキャプテンに指名されており、覚醒が期待される。
もちろん、宇佐美はすでに30歳。鈴木も29歳。大迫は32歳で、興梠に至っては36歳。小川にしてもすでに25歳であり、もはや「若手」という年齢ではない。
ただ、ストライカーというポジションは、年齢や経験を積み重ねる必要があるポジションであり、実際に晩年になってその才能を開花させる選手も多い。
どうやら、今シーズンのJリーグの見どころは、新旧を含めての「CFの競演」ということになりそうだ。
実際、レモンガススタジアム平塚で同じピッチに立った小川と町野が互いに対抗心を抱いたであろうことは想像に難くないし、町野にとってはツートップを組む同僚の大橋が開幕節でハットトリックを達成したことにも大きな刺激を受けていたことだろう。
日本人ストライカーたちが、互いに刺激を与え合って活躍することによって高いレベルでの得点王争いを演じてもらいたいものだ。
■17点以下なら得点王「該当者なし」
昨シーズンのJ1リーグでは14ゴールのチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)が得点王のタイトルを獲得し、日本人最多ゴールは町野の13ゴールだった。しかし、各チームが34試合ずつを戦うJ1リーグで14ゴールというのではとても「得点王」とは言えない(17ゴール以下の場合は「該当者なし」とした方がいいのではないか?)。
今シーズンは、せめて試合数の半分(17)以上の数字で、できれば試合数に近いゴール数(つまり、「1試合1得点」)でのハイレベルの得点王争いが見たいものである。昨年のJ2リーグ(38試合)では、小川が26ゴールを決めて得点王となった。
そして、こうしてFWが国際レベルで活躍できるように成長すればば、3年後のワールドカップ北米大会では、強豪国とも互角に攻め合うような試合ができるようになるはずなのである。