【番記者の視点】J初のイスラエル人 G大阪MFネタ・ラビの実力は? “真の万能型”か

◆明治安田生命J1リーグ 第2節 G大阪1―1鳥栖(25日・パナスタ)

【G大阪担当・金川誉】G大阪はホーム開幕の鳥栖戦に1―1と引き分け、ポヤトス新監督体制での初勝利はならなかった。この試合では今季加入したイスラエル人代表MFネタ・ラビ(26)がJリーグ初先発。今月14日に合流し、18日の柏戦では途中出場したJリーグ初のイスラエル人プレーヤーは、フル出場したこの試合でその実力の一端を示した。

中盤の底・アンカーでプレーしたラビは、この試合で攻守の舵取り役を担った。中でも目を引いたのは、簡単にはボールを失わないキープ力と推進力だ。前半39分にはセンターバックからパスを受けると、後方からプレッシャーを受けながらも相手2人の間を抜いて反転。ボールを左サイドに展開し、その後チームはMF宇佐美のシュート(ポストをヒット)までつなげた。また守備でも、対人の強さと危機管理力の高さを発揮。前半30分、味方が中盤でボールを失ったが、鋭いカバーリングでカウンターの芽を摘んだ場面では、スタンドから拍手が起こった。

フル出場で攻守に躍動したラビに対し、チームメートの評判も上々だ。MF宇佐美は「パスだけじゃなく、(ドリブルで)一人はがして前につけるとか、できることが本当に多い。僕ら前の選手もいい場所で待てる状態になる。あらためていい選手だな、と思いました」。FW鈴木も「中盤の選手として、必要なものをすべて持っているような選手」と語っており、すでにチームメートからの信頼も得つつある。

そんなラビに自身の持ち味、武器について聞くと「正直に言うと、自分の強みについては、なんて言えばいいのかわからないんです。皆さん(報道陣)が感じたことを書いてもらえれば、それが正解なのかもしれません。個人よりもチームのために戦う、ということが自分の中では重要なので」と返ってきた。攻守両面をこなすMFでも、攻撃か守備、どちらかの方がより得意、という選手は多い。攻守が切れ目なく入れ替わる現代サッカーでは、得意ではない局面で弱みが出てしまう場合もある。しかしイスラエルからやってきたこのMFは、攻守両面を高いレベルでこなす“真の万能型”と言えそうだ。

ちなみにイスラエルはかつて、AFC(アジアサッカー連盟)に加盟していたが、現在はUEFA(欧州サッカー連盟)に加盟。UEFAの2022―23年国別ランキングは55か国中20位(1位はイングランド、18位・クロアチア、19位・ギリシャ)と、その実力は欧州の中堅国といえる。同国の強豪・マッカビハイファでプレーしていたネタは、欧州CLにも出場。昨年10月の1次リーグ・ユベントス戦では2―0の勝利にも貢献している。

イスラエル以外の欧州クラブからもオファーも受けた中で、G大阪入りを選んだラビ。宇佐美は「(連携は)もっとよくなると思います。タイミングをすりあわせていけば。練習でもまだそこまで一緒にはできていないので」と語る。欧州CLレベルの実力が本物で、チームメートとの理解が深まり、日本のスタイルや気候にも適応していけば…。まだ2試合と、何かの判断を下すには早すぎる。しかしこの90分間に見せたプレーが、さらに大きな期待を抱かせたことだけは確かだ。

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