「新監督が気になる浦和とG大阪」「計算は立つ名古屋」【Jリーグ2023年開幕の激論】(4)
2023年のJリーグが開幕する。J1リーグは17日の横浜F・マリノスと川崎フロンターレの対戦を皮切りに、熱いシーズンに入っていく。今季のJ1の見どころはどこにあり、最後に笑う、あるいは泣くのはどのチームになるのか、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が激論を交わした。
■浦和はCF次第か
――順位に関係なく、気になるチームはありますか。
後藤「浦和レッズが、まったく知らない監督が来てどうなるんだろうと興味があるね」
大住「キャスパー・ユンカーがいなくなって、江坂任も松尾佑介もいなくなっちゃった。要するに、昨シーズンにとっかえひっかえの起用で1トップを務めていた選手たちが、皆いなくなっちゃった。興梠慎三は帰ってきたけどね。CBにもうひとり外国人選手を取ったので、アレクサンダー・ショルツと組んだら、非常に強い最終ラインができそうなのはプラス材料だけど。サイドバックには荻原拓也が期限付き移籍から戻って、大畑歩夢とで左サイドは2枚になったし、右サイドは酒井宏樹がいるから万全。中盤は顔ぶれが変わらないから、やはりポイントはCFをどうするかだね。聞くところによると、あまり去年のやり方をいじらずに、自分たちのやり方を徹底していくという形を考えているらしい。しっかりポゼッションして、最後のシュートにつなげる部分をもう少し整理してやっているみたい。マチェイ・スコルジャ新監督は、かなり良い指導者らしいんだよね。ヨーロッパでは、すごく評価が高いみたい。ポーランド代表監督候補でもあったらしくて。あまり去年のリカルド・ロドリゲス体制のやり方を変えずに入っていくんじゃないかな。でも、8、9連勝していくようなチームになれるかどうかは、やはり点を取れるかどうかにかかってくるよね」
■浦和の真価は?
後藤「継続と言っても、去年も良い時は良いけど、ダメな時はダメと、すごくぶれが大きかったじゃない」
大住「夏頃にすごく良くなったんだけど、ACLの疲れが響いたという感じだった。波があったというより、あそこでガクンとパフォーマンスが落ちた」
後藤「そうかなあ? ロドリゲス体制では、一昨年から波が大きかったと思うけど。パスがポンポンと通って素晴らしい時もあれば、何をしたいのか分からない試合もあった。メンバーもころころ変えるし、どうにも安定感のないシーズンだと思ったね」
大住「相手によってやり方を変えるところがあったからね。それが逆に自分たちの首を絞めるところがあった。今回はそれをやめようということらしいよ。良い状態のチームをできるだけ続けていこうということだろうけど」
後藤「それができればいいけど、ふたを開けてみないと何とも言えないな。他のチームは監督が同じだから何となくイメージができるけど」
■戦力ダウンのチーム
大住「ガンバ大阪は監督が変わったね。徳島ヴォルティスでJリーグを経験したダニエル・ポヤトス監督が就任した。もともと良い選手がそろっているはずなんだけど、去年は苦しい状況が続いた」
後藤「苦しい状態のシーズンが続く間に、本当に戦力的にも強いのかなと疑問になる顔ぶれになってきている。J2に落ちることもないだろうけど、横浜FMと川崎に挑戦できるかと言ったら、できない」
大住「そうだね。パトリックもレアンドロ・ペレイラも抜けた。谷晃生が帰ってきたけどね」
後藤「東口順昭との競争はハイレベルだね。とはいえ、抜けていった人が多いかな、という印象だよ。宇佐美貴史が覚醒しないと」
大住「宇佐美がキャプテンになって、背番号7を継承したけど、どうなるかな」
――他に面白そうなチームはありますか。
大住「名古屋グランパスはどうだろう」
後藤「計算は立ちそうだよね。和泉竜司も米本拓司も帰ってきたでしょ」
大住「ユンカーが入ったじゃない。相馬勇紀と吉田豊が抜けたのは大きいけどね。吉田は左サイドバックだけど、かなりチームに影響力がある選手だったからね」
後藤「世が世なら、日本代表も夢じゃないくらいの選手だった。」
大住「タイミングさえ合えば、入っていただろうね。一回、日本代表に入れば、チームにいるのが当たり前という存在になっていたかもしれない。仙頭啓矢、レオ・シルバもいなくなって、名古屋はどうなるかなあ」