【U-20代表最新序列】W杯出場権獲得へ、ボランチは松木&山根が軸。“守備の柱”として期待値が特大級なのは…

U-20アジア杯へ挑むメンバー23人が決定

3大会連続となるU-20ワールドカップ出場を懸け、冨樫ジャパンが『U-20アジアカップ』に挑む。

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アジアのW杯出場枠は4つ(本大会に開催国枠で出場するインドネシアが4強に入った場合は5位決定戦で最後の枠を決める)。冨樫剛一監督が、2月15日のメンバー発表会見で、「ワールドカップの出場権を得るだけではなく、アジア1位になって、そしてワールドカップで世界一を獲得してA代表につなげていく」と言葉を紡いだが、準々決勝を突破しなければ何も始まらない。

グループDに入った日本は、前回王者のサウジアラビアと同組。勝ち上がった場合は、準々決勝で韓国と戦う可能性がある。そうした厳しい戦いを勝ち抜くべく、15日に23名のメンバーが発表された。

9月に開催されたアジア杯予選のメンバーからは7人が変更。福井太智バイエルンⅡ)や中村仁郎(G大阪)が外れ、代わりに松木玖生(FC東京)、横山歩夢(鳥栖)、甲田英將(名古屋)ら、予選ではコンディション不良などで招集できなかった面々が名を連ねた。

「複数のポジションができる」(冨樫監督)という選出基準も含め、彼らをどのように組み合わせ、W杯出場権を掴むべく勝利を重ねていくのか。

そのなかで序列を見ていくと、9月と同じメンバーとなったGKは、予選で3試合ゴールマウスを守った木村凌也(日本大)がスタメンに最も近い。6月のモーリスレベロトーナメント(旧・トゥーロン国際大会)でも大会ベストイレブンに輝いており、実績は十分。予選ではハイボールやバックパスの処理に手間取るシーンもあったが、瞬発力を活かしたセーブ力は健在だ。ただ、絶対的な存在とは言いきれず、控えの春名竜聖(水戸)や彼島優(流通経済大)も調子次第でチャンスはある。

最終ラインは左から松田隼風(水戸)、田中隼人(柏)、菊地脩太(清水)、中野伸哉(鳥栖)と予想した。

左SBの松田はキック精度が高く、プレースキッカーとしても有能。CBの田中は188センチのサイズと左足のフィードに定評があり、所属クラブでも徐々に評価を高めている。守備の柱として期待値は特大級だ。

相方となる菊地は強さと俊敏性に長ける。現状では予選同様に右CBの一番手だろう。右SBは、左SBが本職の中野だ。2019年のU-17W杯に飛び級で出場するなど、このチームで最も国際経験があり、Jリーグでの実績も飛び抜けている。プレーはもちろん、精神的支柱としての役割にも期待したい。

ただ、高井幸大(川崎)、屋敷優成(大分)も予選で存在感を示しており、大会前の活動でアピールができれば序列を覆す可能性はある。髙橋仁胡(バルセロナ)や諏訪間幸成(筑波大)も11月のスペイン遠征で評価を高め、今回のメンバーに滑り込んできた。彼らのプレーぶりからも目が離せない。

流れを変える切り札として期待したいのは佐野

ボランチは松木、山根陸(横浜)が軸。前者は怪我で予選に参加できなかったが、11月の活動で存在感を発揮した。フィジカルの強さと、ルーキーイヤーからJ1で活躍した経験値はこのチームで図抜けており、チームを牽引する役割が求められる。

一方、予選でキャプテンを務めていた山根は、ピッチ内外で欠かせない。冷静沈着な振る舞いでゲームを落ち着かせるだけではなく、3列目から前に顔を出してゴールにも絡める。幅広いプレーでチームに貢献できる司令塔の存在が、チームの命運を握っていると言っても過言ではない。

また、期待したいのが、佐野航大(岡山)だ。昨年はプロ1年目ながらトップチームで出場機会を増やし、代表にも継続的に招集され、結果を残してきた。インテリジェンス溢れるプレーはほかの選手にはない武器で、流れを変える切り札として重宝されるはずだ。また、安部大晴(長崎)、保田堅心(大分)も経験を積んでおり、大会中に大きな成長を遂げる可能性を秘めている。

2列目のファーストチョイスは左から横山、北野颯太(C大阪)、甲田だろう。横山は最前線にも対応可能だが、今季から加わった鳥栖では左サイドにチャレンジ。スピードを活かした仕掛けでチームに変化をもたらす。

トップ下の北野は洗練された技術とゴール前の嗅覚で勝負できるアタッカー。高3だった昨季にトップチームへ加わり、J1で19試合に出場するなど、攻撃の柱になり得るタレントだ。

右の甲田は小柄ながら重心の低いドリブルで好機に絡む。昨季は怪我の影響で代表からは遠かったが、今年3月には一世代上のパリ五輪世代の活動にも参加しており、実力は折り紙付きだ。

熊取谷一星(明治大)、永長鷹虎(川崎)も技術に定評があり、途中からピッチに立っても機能するタイプ。こう着状態に陥った時のジョーカーとしても機能するはずだ。

最前線は坂本一彩(岡山)と熊田直紀(FC東京)を相手によって使い分ける形になりそうだ。坂本は裏抜けやボックス内で勝負できるクラシックなタイプの点取り屋。熊田はサイズを生かしたポストワークや空中戦の強さを武器とする。

相手CBの特徴を見ながらの起用となるが、前からハイプレスを仕掛ける展開になれば、本職がFWの横山を最前線に置く選択肢もあるだろう。

3月3日に中国との初戦を迎える日本。ベースは予選同様に4−2−3−1としたが、3バックや2トップなど、異なるシステムで戦う可能性もある。短い期間でどこまで細部を詰めていけるか。11月以降、活動ができていない不安要素もあるが、日本の未来を担う選手たちの奮戦に期待したい。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

【U-20アジアカップ グループステージ日程】

第1節:日本対中国/日本時間3月3日19時KO

第2戦:日本対キルギス/日本時間3月6日19時KO

第3節:日本対サウジアラビア/日本時間3月9日21時KO

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