日本代表・久保建英の“盟友”は柏へ、熊本で「14得点」FWは地元・浦和で「2ケタ得点」を狙う!【「2022-23年」J2「個人昇格」&「補強」最前線】(1)
■久保建英の盟友・山田康太が柏へ完全移籍
カタールW杯の熱狂の陰で、Jリーグ各チームは新シーズンへの準備を着々と進めてきた。今オフもJ2からJ1への個人昇格が目立つ。J2で力を蓄え勇躍J1へ、という移籍が多いのだ。
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その筆頭格がMF山田康太だろう。2018年、横浜F・マリノスの下部組織からトップチームへ昇格(アンダー世代の日本代表でも一緒だった久保建英ともプレーした)。20年は水戸ホーリーホックへ、21年はモンテディオ山形へ期限付き移籍し、22年は完全移籍でプレーした。2チームで合計112試合出場16得点11アシストの記録を残した。実践経験を重ねた23歳は、柏レイソルへの完全移籍を勝ち取った。
トップ下やセカンドトップを主戦場とし、違いを作り出せる存在だ。エレガントな10番タイプであるがゆえに、かつてはオフ・ザ・ボールの局面でハードワークしきれない印象もあったが、J2での3シーズンで現代サッカー仕様にアップデートしてきた。球際の攻防でもしっかりとバトルできる。山形で見せたプレーをそのまま表現すれば、J1でも存在感を示すことができるはずだ。
MF佐野海舟も満を持してのJ1挑戦となる。19年にFC町田ゼルビアへ加入すると、ランコ・ポポヴィッチ監督のもとで不動のレギュラーとしてプレーしてきた。高江麗央とのダブルボランチは町田の心臓にして肺であり、J2を代表するコンビと言っていいものだった。
完全移籍で加入する鹿島アントラーズは、ボランチの主軸だった三竿健斗がポルトガルへ新天地を求めた。21歳の佐野は三竿に代わるボランチとして期待される。
ボール奪取能力に優れ、素早い危機察知でリスクヘッジする守備は、J1でも十分に通用するだろう。そのうえで、攻撃への関わりを増やすことができれば、J1屈指の名門で定位置確保に近づく。
■熊本の主砲・高橋は地元の浦和へ
22年のJ2で得点ランキング3位タイに食い込んだロアッソ熊本のFW高橋利樹は、出身地の浦和レッズへ引き抜かれた。
大木武監督のもとでJ2復帰1年目にして4位に食い込み、J1参入プレーオフの決定戦まで進出した熊本で、この24歳はチーム最多の14ゴールをマークした。ストロングポイントとするヘディングシュートから5得点を記録しているが、DFラインの背後を取る動き出し、ゴール前の密集へ滑り込む嗅覚も鋭い。泥臭いゴールも決められる選手だ。
また、守備面でもハードワークできる。熊本のようにパスの供給源との関係を密にできれば、J1でも2ケタ得点を狙えるだろう。
その熊本からは、主将のMF河原創がサガン鳥栖へ、サイドアタッカーの杉山直宏がガンバ大阪へ、同じくサイドアタッカーの坂本亘基が横浜FCへ、新天地を求めた。3バックの左CBを主戦場としたイヨハ理ヘンリーは、所属元のサンフレッチェ広島へ復帰したのちに京都サンガF.C.へ期限付き移籍している。
3-3-1-3のシステムでアンカーを務めた河原は、デュエルの強さとパスセンスを備えた現代的なMFだ。プレスキックのキッカーも務め、22年はリーグ最多の12アシストを記録している。ハードワークを身上とする鳥栖のチームカラーにマッチしており、J1での飛躍が期待できるひとりだ。
河原が加入する鳥栖には、FW富樫敬真も加入する。プロ8シーズン目となった22年は、ベガルタ仙台で自身初の2ケタ得点(11)をマークした。29歳になったリオ五輪世代のFWは、プロ6チーム目となる鳥栖で確固たる地位を築けるか。
ストライカーでは植中朝日、木下康介、佐藤凌我も、J1へ戦いの舞台を移す。
20年にV・ファーレン長崎入りした植中は、J1王者の横浜F・マリノスの一員となる。プロ2年目の21年後半に出場機会を増やし、19試合出場で10ゴールを叩き出して脚光を浴びた。
DFと駆け引きをしながら最終ラインの背後を突き、冷静なフィニッシュで仕留める。22年は28試合出場で5得点にとどまったが、パリ五輪世代の21歳は将来性を見込まれてステップアップした。
木下は190センチの長身FWで、欧州の複数クラブを経て21年に浦和入りした。22年は水戸ホーリーホックに完全移籍し、12ゴールをゲットした。そして、京都からオファーを受けた。
長身ながら足元の技術が高く、ドリブルでの持ち出しもスムーズだ。ターゲットマンにとどまらず、様々な役割をこなすことができる。ピーター・ウタカが抜けた京都の前線で、一美和成やパトリックと最前線中央を争う。
佐藤は21年に明治大学から東京ヴェルディ入りし、13ゴールを記録した。すでにこの時点で他チームが注目する存在となり、プロ2年目の22年も13ゴールをあげたことで、出身地のクラブでもあるアビスパ福岡への完全移籍を決断した。
東京Vでは4-3-3のCFや4-4-2の2トップなどで起用された。ゴール前のフィニッシュワークに優れており、アシスト役に恵まれれば相応の数字は計算できる。途中出場からの得点が多いのも特徴で、福岡では幅広い起用法が見込まれるだろう。



