長谷部さんは「レベチ」 G大阪FW宇佐美貴史が待望するフランクフルト戦

■ドイツの縦のスピードはすさまじい

19日、ガンバ大阪ブンデスリーガジャパンツアー2022で、アイントラハト・フランクフルトと対戦する。長谷部誠、鎌田大地(代表招集のため今回来日せず)といった日本人選手が所属し、昨季欧州ヨーロッパリーグを制覇。今季の欧州チャンピオンズリーグでは、決勝トーナメントに勝ち進み、リーグでは現在4位に位置するなど、躍進を続けている。インテンシティの高さを特長とする欧州王者をホーム・パナソニックスタジアム吹田に迎えるG大阪は、この難敵にいかに対峙するのか。かつてブンデスリーガでプレーした宇佐美貴史が展望を語った。(インタビュー日:11月13日 聞き手:小津那/GOAL編集部)

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――フランクフルトとの対戦がいよいよ近づいてきました。

ドイツのチームと試合ができるのは本当に楽しみです。実はデュッセルドルフにいた時にフランクフルトに7失点して負けているんですよ(2018年ブンデスリーガ第8節、1-7)。その時のメンバーもすごかったですね。ほとんど移籍してしまっていますが、コスティッチ(ユヴェントス)、ヨビッチ(フィオレンティーナ)、ハラー(ドルトムント)…めちゃくちゃすごいメンバーですよね。フランクフルトはそのころから時間をかけて、いまやブンデスの強豪チームになった印象があります。そんなチームと対戦できるのはすごく光栄なことです。

――ドイツでプレーしたなかで一番強く感じた日本との違いは何ですか?

インテンシティと、上下のスピード感です。日本は横に揺さぶることも多いのですが、ドイツの縦のスピードはすさまじかった。一瞬のカウンターの時の人数の掛け方とか、日本でいいとされているサッカー観がドイツでは違いました。ブンデスリーガの強豪クラブの選手はほとんどがうまいですけど、中堅チームぐらいになってくると技術的にそこまで優れていない選手もいます。技術があって、ドリブルがうまくて、ボール扱いがうまくて、という選手が少なくなるのですが、でも、やっぱりフィジカルやメンタリティ、そういうものでカバーし切れちゃうんですよ。あのメンタリティは本当にすごいと常に思っていました。

――それらの学びは今のプレーに生きていますか?

当時言われていたことで、今になってすごく効いてきたものはありますね。「勝利に対する欲求を思うだけじゃなくてアウトプットしなさい」もその一つです。競り合いに勝った時に、例えばその瞬間に全力でパフォーマンスするでもいい。「喜びの姿勢を出すことでファン・サポーターを巻き込み勝つ流れを作っていく」ということは、当時のデュッセルドルフの監督が結構言っていました。ボディランゲージはすごく言われたので、今になってなるほどな、っていうことがすごくありますね。

「最後にはドイツが勝つ」といった言葉があるじゃないですか(※)。やっぱり、日本にはないものが確実にドイツのサッカーにはあります。上手い下手というよりは、練習でできないことを試合でしてしまうといった。練習でそんなに上手じゃないのにめっちゃ下手やのに試合になったら「そんなことできたんや」みたいなことをしてしまう選手がいる。そういったところもすごいなと思います。

※元イングランド代表ガリー・リネカー氏が、1990年W杯イタリア大会・準決勝で西ドイツ(当時)にPK戦で敗れた際に語った言葉。「サッカーは明解な競技だ。22人の男たちが、90分間ボールを奪い合い、そして最後はいつもドイツが勝つ」

■純粋にサッカーを楽しめる試合

――フランクフルトには長谷部誠選手、鎌田大地選手が所属しています。長谷部選手は今回のツアーに帯同します。代表でも一緒にやっていた長谷部選手は、宇佐美選手にとってどのような存在ですか?

ドイツであれだけ長く(14年)プレーしています。僕はそれがしたくてもできなかった。大きなリスペクトしかないです。キャプテンシーもすごいですし、日本人に対してだけでなく、ドイツのクラブでもやっている。プレー面以外のものも持っていて、ブンデスでも一目置かれている存在ですよね。ブンデスリーガの全チームのファン、全チームの選手からそういう目で見られている選手。“レベチ”ですよ、ただただすごいなと思います。

――そんな長谷部選手やドイツサッカーなど、普段海外のサッカーを見るファンもこの試合に注目すると思います。

ガンバ大阪のどこを見てほしいですか? 技術力の高さは選手それぞれ持っていると思います。それらをしっかり出せれば、フランクフルトや海外サッカーを見ている人たちにも「ガンバの選手うまいな」って思ってもらえるはず。まずは、持っている技術やテクニックをしっかり出せるように頑張ります。結果でも上回りたいと思っていますし、「ガンバっていいチームやん」って感じてもらえれば。シーズン中はプレッシャーとともに戦っていましたけど、それとは違うメンタリティでトライできる試合だと思うので、有効に使いたいです。その中でいいサッカー、いいプレーをしっかりフランクフルト相手に出していければ。

――最後に、観戦に来るG大阪のファン・サポーターに向けてメッセージをお願いします。

リーグとはまた違う中で、純粋にサッカーを楽しめる試合をしたいです。ガンバのサポーターの方はたくさん見に来てくれると思うので、一年間しっかりサポートしてもらえた締めくくりだと思います。いいサッカーを見せて結果でも上回ることができれば、今年一年間のサポーターの皆さんへの感謝になると思います。そうできるように頑張りますので、ぜひスタジアムに来てください。

Profile

FW 39 宇佐美 貴史(うさみ・たかし)

1992年5月6日生まれ、30歳。178cm/69kg。京都府長岡京市出身。ガンバ大阪ジュニアユースJrユース→ガンバ大阪ユースJrユースを経て2009年にクラブ史上初となる高校2年時でのトップ昇格。11年にバイエルン・ミュンヘンへの移籍を果たし、ホッフェンハイムを経て13年にガンバ大阪に復帰。2016年にアウクスブルクへ移籍してブンデスリーガへ再挑戦。17年に移籍したデュッセルドルフで2年を過ごし、再びG大阪に帰還。J1通算209試合出場64得点、J2通算18試合出場19得点。日本代表通算27試合出場3得点。

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