大化け期待の“和製ストライカー”も! Jリーグで来季の「大ブレイク」漂わす若手たち〈dot.〉

 アタッカー陣では、MF中村仁郎(G大阪)の飛躍に期待したい。2003年8月22日生まれの19歳。G大阪ユース産の新たな至宝レフティーとして、2020年に高校2年生でJデビュー。トップ昇格を果たした今季は、ルヴァン杯で経験を積んだ後、5月にリーグ戦4試合にスタメン出場を果たし、故障離脱中だった宇佐美貴史に代わる攻撃の軸として、持ち味である切れ味鋭いドリブルを随所で披露。物怖じしないメンタル面の強さもしっかりと見せつけた。

しかし、チームの結果が伴わずに6月以降は出場機会を失い、今季はリーグ戦9試合(スタメン5試合)出場でプレータイムは442分にとどまっている。ただその間、アンダー世代の代表として海外遠征を多く経験し、筋力アップに励みながら爪を研いでいる最中。攻撃センスは若手の中でも随一で、最大の武器であるドリブルだけでなくパンチ力のあるシュートも魅力。来季の大ブレイクから「堂安律以上」の活躍を期待できるタレントだ。

復活からの本格ブレイクに期待したいのが、両利きドリブラーのMF甲田英將(名古屋)だ。2003年10月12日生まれの19歳。名古屋U-12時代からのアカデミーの生え抜きで、今年2月のルヴァン杯でトップチームデビュー。リーグ戦でも春先に4試合に途中出場すると、独特のリズムのボールタッチからの積極的な仕掛けでスタンドを大いに沸かせた。

だが、5月に左膝外側半月板を損傷して長期離脱。9月に戦列復帰を果たしたが、今季はリーグ戦7試合(スタメン0試合)でプレータイムは112分のみ。今後、フィジカル的な強さを身に付けた上でプレーの幅を広げていけば、他にない武器があるだけに大ブレイク間違いなし。細かいステップと左右両足で可能な仕掛け。メッシとデンベレに通ずる稀有な才能を持つドリブラーとして、来季を勝負のシーズンにしたい。

日本代表の大きなウイークポイントであるセンターFWでは、今季特別指定選手としてプレーした木村勇大(京都)の爆発に期待したい。2001年2月28日生まれの21歳。神戸の下部組織で育ち、大阪桐蔭高から関西学院大へ進学。身長184センチの「高さ」に大学入学後に「強さ」を際立たせ、関西学生No. 1ストライカーとして得点を量産。パワフルなシュートとともに足元の「巧さ」とスペースへ抜け出す「速さ」も兼備しており、万能型の点取り屋として大きな可能性を秘めている。

大学4年生の今季は、リーグ戦7試合(スタメン2試合)でプレータイムは288分。まだ無得点だが、ルヴァン杯ではゴールを決めている。正式加入する来季は、ピーター・ウタカとの併用の中で結果を残し、定位置奪取に期待。高校時代はプロ野球選手の根尾昂(中日)と同級生。ブレイクのタイミングとしては頃合いだ。

ここに挙げた面々以外にも現在のJリーグの各クラブには優れた才能を持つ若手は多くおり、日本サッカー界の選手層は間違いなく厚くなっている。その中から傑出した存在になれるかどうか。20歳前後の選手たちは、キッカケがあれば一気に成長できる。その“進化の瞬間”を目の当たりにできることは、見る側にとっても実に幸せなこと。2023年、多くの選手たちの“大ブレイク”を期待したい。

https://dot.asahi.com/

Share Button