「誤解を与えてしまうような行動があって混乱を生ませてしまった」。G大阪の食野のハンドはフォローも、主審の一連の行動に問題があったと指摘|Jリーグジャッジリプレイ
【国内サッカー・ニュース】『2022 Jリーグジャッジリプレイ#27』では、明治安田生命J1リーグ第31節・ガンバ大阪対柏レイソルの44分の場面をピックアップし、G大阪の先制点の手前でハンドがあったかどうかを検証。スペシャルゲストの坪井慶介氏と、Jリーグウォッチャーの平畠啓史氏、審判ゲストの家本政明氏が独自の見解を述べた。
取り上げられたのは44分のシーンだ。
ガンバ大阪のCK、宇佐美貴史が蹴ったボールをファーサイドにいた食野亮太郎がトラップ。左足で持ち出してシュートを打つと、相手GKの手を弾きゴール隅に決まった。しかし、その直後に主審のホイッスル。VARと交信し、ハンドの判定となり、ゴールは認められなかった。
リプレイで見直すと、食野が右足のモモでトラップした後にボールが右腕に当たっているようにも見えるが、確証を得られるアングルでの映像がないのも事実。この判定が妥当だったかどうかを議論した。
平畠啓史氏は「ハンドではないと感じている」と率直な感想を述べ、「ハンドとなるならそれを探しにいく感じになってしまう。そうやって見るからハンドに見えてくるけど、胸に辺りに当っていて、『明らかに手に当っているでしょ』とは言い難い」と理由を説明した。
「同じく何度も巻き戻して映像を見た」と話した坪井慶介氏は「ハンドかどうかは微妙」と見解を述べた一方、「そんなに不服そうな顔はしていなかったので、『当たっていたのかな』と感じた」と、食野の表情に着目して、意見を述べた。
二人の話を受け、見解を求められた家本正明氏はまず、主審のポジショニングに着目した。
「レフリーもボールがどの辺りに当っているかは認識していると思う。仮に手にボールが当たったと認識しているのであれば笛が口の方向に動くが、そこで笛を吹くことなく、ボールがゴールの方向に行っても笛は吹かない。反対に、そこで右手がハーフライン方向に動く。通常、それは得点を認めるようなシグナルになるので、一連の流れを見たときには主審はハンドの反則よりも得点を認めた認識だと思った」
ただ、その直後の審判の動きを見ると、ハンドの判定を下したように見えると説明。このように続けた。
「おそらく、現場ではハンドの認識だったと思います。なぜならば、得点を認めるならば、レフリーはキックオフの準備をする。そうではなく、ハンドのジェスチャーをしながら、そのポイント方向に歩いて行っている。そう考えると、現場ではハンドと判断したんだろうなと。そこでVARに投げて、ハンドではない明白な事実があるなら教えてというストーリーになっていると推測しました」
要するに、この場面では問題となったのは、ハンドかどうかの判定が際どいことよりも、レフリーの行動に曖昧な部分が多く見られてしまったことが考えられる。
「ボールの軌道は変わっていないので、個人的にはゴールだと思うけど、現場のレフリーはハンドと判定した。そこはそれぞれのサッカー観の違い」と結論付けた家本氏は、「現場の判断がハンドで、VARがそれをフォローした」と判定自体は受け入れながらも、「ただ、主審がハンドと認識したら普通は笛を吹いていると思うけど、今回はそれがなく、反対に得点を認めたようなシグナルが出てくる。誤解を与えてしまうような行動があって、納得を与えるような行動がなかったことで混乱を生ませてしまったと感じています」と一連の流れの問題点を指摘した。
最後、坪井氏が「レフリーに現場で自信を持って判定してもらうことが、選手も一番混乱しないと思う」との言葉が、今回の判定の最も大事な部分かもしれない。



