【G大阪】アジアを制した2008年との決定的な差――それは「超攻撃」のファクター SOCCER DIGEST Web 10月22日(木)17時0分配信

パトリックを封じられ、G大阪は“怖いチーム”ではなくなった。

あと1点――。それが遠かった。

日本勢で唯一、アジア4強に勝ち進んだG大阪は、広州恒大との準決勝第2戦を1-0で勝てば決勝進出だった。0-0の手に汗握る展開に持ち込み、残るはゴールのみ。だが、その1点を取る作業が、とてつもなく難しかった。

エースの宇佐美が、疲労の蓄積で本来の調子ではない状況も影響した。相手からすれば、前線のパトリックさえ封じ込めてしまえば、G大阪は“怖いチーム”ではなくなったのだ。

2013年のACL王者で、アジア屈指のビッグクラブである広州恒大にとっては、0-0というスコアも勝ち上がるために想定内の結果だっただろう。必死のG大阪に対し、したたかさも兼ね備える広州恒大。あと一歩だったとはいえ、そこに確かな差が存在した。

この日の先発メンバーで、2008年のACL優勝を知るのは遠藤保仁と二川孝広のふたりのみ。遠藤はこのように敗因を分析した。

「08年の時よりも安定して戦うことができるチームだった。でも『なにが足りないか?』と言われれば、経験が足りていなかったのだと思います。それが力の なさかもしれないですし、一概には言えないけれど、ひとつ言えることは、もっとレベルアップしないといけないということ。決勝に行くのはそう簡単ではな い。7~8年も行けないのは当然のこと。それだけ、決勝は難しい」

敵地で戦った9月30日の準決勝第1戦は、アウェーゴールを奪いながら1-2の敗戦だった。長谷川健太監督がベンチ入り停止だったことからも、許容範囲内の結果と言える。ホームの第2戦は、広州恒大にアウェーゴールを許さずに勝つプランだったに違いない。

「新しいガンバがこういう経験をできたことが、今後の財産になる」(長谷川監督)

 その運命の第2戦。守備陣は間違いなく踏ん張った。それはファインセーブを連発したGK東口順昭がマン・オブ・ザ・マッチに選出されたことからも窺い知ることができる。

その一方で、宇佐美がベンチスタートとなった攻撃陣は勢いが足りず、最前線のパトリックも沈黙。そのなかで2列目の二川、倉田秋や阿部浩之らの奮起が求 められたが、最後までゴールは奪えずに力尽きた。無失点で乗り切った東口は「勝ってこの賞(マン・オブ・ザ・マッチ)を頂きたかった」と力なく話した。

結果的にG大阪が準決勝で奪ったのは、敵地で挙げたオウンゴールだけ。西野朗体制でアジアを制覇した08年は「超攻撃」と称賛された破壊力で、頂点まで 駆け上がった。08年の準決勝は浦和に2戦合計4-2。決勝のアデレード・ユナイテッド戦も2戦合計で5-0の快勝。当時と比較すれば、攻撃力が足りな かったのも否めない。

長谷川監督は、こう言った。
「(2008年の)ACL優勝メンバーが数人しか残っていないなかで、新しいガンバがこういう経験をできたことが、今後の財産になる。逞しく成長した。今度はしっかり、リベンジできるように準備したい」

雪辱の舞台は来季以降に持ち越しになった。1点に泣いた経験を糧にして、アジアでの挑戦は来年も続く。

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