【G大阪】広州恒大戦でベンチスタートだった宇佐美。「(理由は)話したくないし、話す必要もない」。“決め切る力の欠如”を悔やむ SOCCER DIGEST Web 10月22日(木)12時55分配信

9日間で3試合――宇佐美は先発から戦える状態ではなかった。

G大阪の先発メンバーに、宇佐美貴史の名前は入っていなかった。

決勝進出を懸けて、11月21日に本拠地・万博で迎えた広州恒大(中国)とのACL準決勝第2戦。平日のナイターにも関わらず、会場は超満員に膨れ上 がった。今季、最も重要な一戦で、エースはベンチスタート。それは、なにを意味していたのだろうか。試合後の会見で、長谷川健太監督は采配をこのように明 かした。

「貴史の今の状態を見て、ベンチからという決断をしました。代表でイラン戦に出て、(浦和)レッズ戦、中3日で今日の試合と続いた。スタートから出て、大 事な時間に足が止まってしまったら、我々の武器が活かし切れないと思った。(広州恒大との)第1戦を見て、相手の疲労が出てきた時に(宇佐美を)使えば、 ダメージを与えられると考えた」

宇佐美は先発から戦える状態ではなかった。日本代表として13日のイラン戦でプレーし、移動を含む中3日で17日に浦和戦、さらに中3日で広州恒大との大一番。過密日程は代表選手の宿命とはいえ、9日間で3戦を乗り切る体力はなかったのだ。

それでも0-0のまま迎えた60分、宇佐美がピッチに姿を見せると、エースの出番を待ち続けた場内は大歓声に包まれた。

71分にミドルシュートを放ち、84分にもドリブルから強引にシュートまで持ち込んだ。宇佐美を警戒する広州恒大の守備陣に、なかなか前を向かせてもらえなかったが、限られた時間でゴールを奪おうと奮闘する姿がそこにあった。

しかし結果は、30分間の出場でノーゴール。勝たなければ決勝に進出できない状況下で、チームを勝たせることはできなかった。

「可能性がある限りは、残っているタイトルをすべて狙う。それしかない」(宇佐美)

 試合後、報道陣に「ベンチスタートになるのは、いつ知ったのか?」と問われると、宇佐美はこう答えた。

「前日ですね。監督と話をして、『分かりました』と。(理由は)話したくないですし、話す必要もない。どこから出てもベストを尽くすだけだった。自分に決め切る力があれば……」

悔しかったに違いない。チームが敗退したこと。そして、短い時間で自分の力を出し切れなかったことが――。終始、宇佐美は憮然とした表情で、質問に対する答を絞り出していた。

「負けた気がしない。(ガンバは)アウェーで戦った時とは違う強さを見せることができていた。あと1点、取れていれば。悔しさがある。しっかり切り替えて、次につなげていくしかないです。可能性がある限りは、残っているタイトルをすべて狙う。それしかないです」

今季、最も注目された試合で「切り札」としての起用になった宇佐美。エースが輝きを放つ瞬間は訪れず、2008年アジア王者のG大阪は、惜しくも4強で姿を消した。

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