G大阪に欠けていたプレッシャーを撥ね返す力強さ。日本人の技術、俊敏性、規律はまだまだ中途半端だ SOCCER DIGEST Web 10月22日(木)4時20分配信

試合をとおして気になったゴール前でのパワー不足。

 敵地での1点差負けを挽回できず、G大阪の7年ぶりのアジア制覇は夢と消えた。

2試合合計1-2の敗北には、いくつかの要因が考えられる。
ひとつは過密スケジュール。広州恒大にとってこの試合は10月2試合目だったが、G大阪は実に5試合目。この差は大きい。

試合後、長谷川監督は次のように述べた。
「ステージが進むほど厳しくなるので、どこかを捨てないと勝ち進むことは難しい。Jリーグには若干の考慮をしてほしい」
圧倒的な戦力を誇る広州に、万全の状態で挑むことができなかったのだ。指揮官の悔しさは理解できる。

それにしても皮肉なことだ。
Jリーグとすれば国内を活性化するためにチャンピオンシップを導入したが、そのことで終盤戦の日程が過密になり、ACLに本腰を入れられなくなってし まった。新方式によって仮に国内が盛り上がったとしても、アジアで勝てなければリーグの価値は高まらない。国内とアジアの両立は、今後の大きな課題だろ う。

さて、これからは日程を抜きにしてG大阪の敗因を考えたい。

私が気になったのは、ゴール前でのパワー不足だ。
広州の面々は、ボールを奪ったら一気にシュートまで持ち込む力強さを備えている。その一方でG大阪は敵のファンが肝を冷やすような場面を、なかなか創れなかった。

終盤、G大阪は宇佐美の投入もあって敵を押し込んだ。だが、ラストパスやシュートは守りを固めた広州の壁にことごとくブロックされ、敵の守護神が間一髪のところでセーブするようなシーンはほとんどなかった。

敵が強くなれば、「シャッター」はあっという間に降りてしまい、こじ開けるのは容易ではない。G大阪にもチャンスはなくはなかったが、芯を捉えた強烈なシュートは数えるほど。日本の選手は厳しいプレッシャーの中で、強烈なシュートを撃つことができないのだ。

これはゴール前に限ったことではない。
日本人は狭い局面の打開が好きで、ワンステップで状況を劇的に変えるロングパスが少ない。プレーにダイナミックさが欠けているということだ。

私たち日本人は、いつしか自分たちにはテクニックがあり、俊敏で規律があると考えるようになった。だが、そういう日本人が広州の厳しいプレッシャーを前にすると、良さを出すことができなくなってしまう。

結局のところ、テクニックも俊敏性も規律も中途半端なのだ。やはり、広州と球際で根競べできるような力強さを身につけなければ、国外では勝てないのではないだろうか。

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