セルジオ越後が斬る! 「ガンバのACL敗退は、”パナソニックが負けた”とも言えるね」 SOCCER DIGEST Web 10月21日(水)23時28分配信

キャスティングの重要性は、近年のACLの結果が証明している。

 Jクラブで唯一の生き残りだったガンバが、ACL準決勝で広州恒大に敗れたね。9月30日に行なわれたアウェーでの第1戦を1-2で折り返し、迎えた10月21日のホームゲームでスコアレスドロー。トータルスコア1-2で、残念ながら大会から去った。

ガンバは、ホームゲームで1-0、もしくは2点差以上の勝利で決勝進出を決められたけど、点を取る力がなかった。勝利が必要だったにもかかわらず、スコ アレスに持ち込まれたのは、広州恒大のほうが上手くゲームをコントロールしていたということだし、宇佐美をベンチスタートさせて慎重に入ったゲームプラン も、結果が出なかったという意味で奏功したとは言えないだろうね。

まあ、予算規模や投資額を考えたら、妥当な結果が出た印象だ。ガンバがここまで勝ち上がったのは、ある程度評価できるけど、やっぱりこのレベルになると厳しい。キャスティングレベルに差があったと認めざるを得ないよ。

500億円とも言われる莫大な資金を投じている広州恒大は、ブラジル代表クラスの助っ人や多数の中国代表を揃えていた。対して、ガンバはどうだろう。日本代表クラスの選手はいるかもしれないけど、助っ人のレベルをはじめとする総合力では広州恒大と差があったよ。

新聞の見出しには、「ガンバが惜敗」と打たれるのかな。確かに1点差は惜敗かもしれないけど、慰めにはならないよね。プロは結果がすべてなんだ。この敗 戦を選手だけでなく、親会社がどう感じるかが大事。個人的には、“チームが負けた”というより、親会社の“パナソニックが負けた”と言ってもいいんじゃな いかと思っているんだ。

極端な話をすれば、親会社のパナソニックが本腰を入れなければ、ガンバの劇的な成長はないからね。広州恒大がアジアレベルで結果を出しているのは、好景気で潤う中国企業の全面的なバックアップがあるから。彼らと勝負しようとしたら、どうしたって資金力が必要になる。その事実は、今回のガンバの敗戦だけで なく、近年のACLの結果が証明しているよね。

ACLで負けても責任を問われないのが一番の問題。

 パナソニックは、アピールのチャンスを逃したという見方もできるよ。もし、広州恒大がACLで優勝してクラブ・ワールドカップに出たら、中国企業は世界に向けて自社の存在をアピールできるんだ。

ガンバは4万人収容の新スタジアムが完成したわけだし、それにふさわしいチーム作りを進めてほしい。あのスタジアムは国内リーグで勝つために準備しているものではないでしょ? アジアや世界に打って出て、成長していくためのスタジアムなはずだ。

ガンバは選手の入れ替え=世代交代の時期が来ているし、新たなスタートを切るには良いタイミング。親会社ともども今回の敗戦を糧にして、アジアや世界で勝つための準備を進めなければいけないよ。

まあ、ガンバだけでなく、Jクラブ勢は総じて、ACLで何年も優勝できていない事実に向き合うべきだよね。

ACLで敗退しても責任問題を問われないのが、一番の問題かもしれない。どのクラブも第一目標は国内リーグの結果で、アジアレベルでの戦いを重視していないんだ。要は、ドメスティックな感覚から脱皮できていないんだろう。

目標を高く置かなければ、成長が鈍化するのはどの世界でも一緒。フロントが「リーグ戦で結果が出れば良い」と考えているようでは、親会社だって動くわけがないよね。根本的に考え方を変えなければ、Jリーグには明るい未来はないよ。

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