【川崎】G大阪相手に「前半7分で勝負あり」!「3つのアクシデント吹き飛ばす」4得点大勝で王者復活へ大きな一歩
■7月9日/明治安田生命J1第21節 川崎フロンターレ 4ー0 ガンバ大阪(等々力)
■【動画】家長昭博が等々力をどよめかせた! 「芸術的なバイシクルシュート」!■
公式戦3試合未勝利だった川崎フロンターレが、大量4得点を奪って等々力に歓喜をもたらした。家長昭博の芸術的バイシクルなど攻撃陣が躍動すると、呼応するように守備陣も完封。DF登里享平が3月2日の浦和戦以来となる復帰を果たすなど、収穫が多い試合だった。
先制点を奪ったのは前半6分のことだった。チャナティップが前線に送った浮き球にマルシーニョが反応。ダイレクトで中に入れたボールに、レアンドロ・ダミアンが合わせたのだ。相手守備陣が態勢を整える隙も与えない電光石火の得点で、幸先よくネットを揺らしてみせた。
そして7分、このゲームの結果を決定づける出来事が起こる。敵陣でボールを受けた脇坂泰斗に対して、奥野耕平が足の裏を見せた危険なプレーをしたことでレッドカードが提示されたのだ。1点ビハインドのG大阪は、残り83分を数的不利で戦わなければならなくなった。
この時間以降、試合は川崎の一方的なゲームと化した。20分にマルシーニョ、30分に脇坂、そして36分に家長と、テンポ良く加点。後半こそ得点を奪うことができなかったものの、放ったシュートは21本。G大阪の2本という数字と比べれば、その内容が分かろうというものだ。片野坂知宏監督が「リバウンドメンタリティーというか、はね返すパワーを感じられなかった」とうなだれるしかない90分となった。
■試合前に寺田コーチが「恥ずかしいな…」
大量得点差で勝利した川崎だが、試合前には“3つのアクシデント”が起きており、難しい展開となることも予想された。1つは、7月6日(水)のサガン鳥栖戦が直前で中止されたことだ。相手チーム内で新型コロナの感染者が出た影響で、予定が全部変わった。練習時間も変更となるなど、バタバタした感は否めなかった。一方で、連戦を回避できた点は、この試合にも生きたはずだ。
2つ目は、G大阪戦直前に川崎の選手1人が新型コロナに感染したこと、そして3つ目が、鬼木達監督が濃厚接触者に認定されたことだ。公式戦3戦未勝利という状況で、チームに数々の優勝をもたらした指揮官不在で試合に挑まなければいけなくなったのである。
それでも、チームに変な気負いはなかった。鬼木監督に代わって指揮を執った寺田周平コーチは、「できる範囲で通常どおりのルーティンでゲームに臨みたい」と、ミーティングでは鬼木監督がリモートで戦い方を説明したという。
また、その寺田コーチの姿を撮ろうと、報道陣が試合直前にベンチに集まってシャッターを切ったが、寺田コーチは「恥ずかしいな…」と他のスタッフに顔を向けて笑顔を見せていた。選手、スタッフ、両方がいつも通りのメンタルで試合に入れたことは大きかった。
■ダミアンが4月9日以来のゴール!
川崎にとって、1試合4得点は今季2番目に多い得点数だ。最も多くゴールを奪ったのは、6月18日のコンサドーレ札幌戦で、5得点。それ以来、J2東京Vに天皇杯で敗れるなど悔しい思いもしたが、内容は徐々に良くなっている。王者復活への兆しは着実に表れている。
また、昨季の得点王であるダミアンが4月9日の柏レイソル戦以来となるゴールを決めたのもプラス材料だ。頼れるストライカーの復調は、チームに勢いをもたらす。
川崎はこれで勝ち点を37に伸ばし、横浜F・マリノスとの差は「6」となった。2ゲーム分の差はあるが、この試合で得た自信を糧に、鮮やかな逆転の軌跡を描いて見せる。