浦和〝集中砲火〟の背景に愚行サポーター 他クラブの我慢も限界「ずっと前から問題多い」
J1浦和サポーターの〝愚行〟に非難ごうごうだ。Jリーグは5日に臨時実行委員会を開き、野々村芳和チェアマン(50)はサポーターによる新型コロナウイルス感染対策違反が問題化している浦和に、罰金処分を科す可能性を示した。同様の事案が再発すれば「無観客試合や勝ち点剥奪」という異例の厳罰も示唆。その背景には他クラブの我慢が限界に達した現状がある。
浦和サポーターを巡っては、2日のG大阪戦で応援歌の大声による合唱やブーイングなどガイドラインで禁止された声出し応援が続発。5月の鹿島戦でも応援歌を歌う行為があり、ルール違反が深刻化している。
浦和がこの日に謝罪と今後の再発防止策を発表した一方で、実行委員会後に会見した野々村チェアマンはついに処分の可能性に言及。「今回の事案に関して(規約の)51条に運営責任を問う、2000万円を上限に罰金を科すというところがある」と、浦和に多額の罰金を科すことを裁定委員会に諮問する方針を明らかにした。
さらに「この先、同じようなことが起きた場合には、無観客試合または勝ち点を剥奪するというようなことも含めた内容で。これは今すぐに決まることではないが、裁定委員会で諮問をした上で決定したペナルティーを科しますよと伝えた」。今後浦和サポーターが同様の違反を犯せば、サッカー界で最も重いとされる厳罰に容赦なく踏み切ることを明言した。
サポーターの違反行為に対して、Jリーグがここまで強い姿勢を打ち出したのには理由がある。
在京Jクラブ関係者は「浦和のサポーターはずっと前から問題を起こすことが多く、こちらが主催する試合では対応も特に注意することが多かった。うちだけでなく、どこも思うところはあるはず」と指摘。トラブル続きの浦和サポーターには、他クラブでも不満がたまっていたという。
さらに「感染対策もそうだが、Jリーグ全体でファンの裾野を広げていこうという時に、こんなことをやっていては、イメージの低下にもつながってしまう」とぴしゃり。他クラブからのひんしゅくもあり、もはやリーグとして看過できない状況だったのだ。
実際、この日の実行委員会では他クラブの代表者から浦和に向けて厳しい声が噴出した。野々村チェアマンによると「J1の実行委員の中からも『具体的な防止策がない中では不安だ』とか、『クラブがルール違反を犯してしまった人たちに対して、しっかりとしたスタンスを見せるべきだ』との話もかなりされた」。サポーター問題を巡って浦和が〝集中砲火〟を浴びて会議は紛糾したという。
もし、暴挙が繰り返されて勝ち点剥奪が現実となれば、低迷する浦和はJ2降格もちらつく事態に陥る。Jリーグ屈指の名門が大きな岐路に立たされている。