“無名”18歳ルーキー・鎌田大地の衝撃 鳥栖時代の恩師が証言、「心に響いた」凄さとは

森下仁志監督「若手育成の哲学」第2回、初めて見て惹かれた鎌田大地の才能

Jリーグ各クラブの下部組織には“育成のスペシャリスト”である指導者が多く名を連ねているが、その中でやや異なる道を歩んできたのがガンバ大阪ユースの森下仁志監督だ。39歳でジュビロ磐田の監督に就任して以降、4チームのトップ監督としてJリーグを戦い、苦い経験も味わいながら再びユース年代を指導し、有望な若手の才能を引き出している。順風満帆とは言えない指導者キャリアを歩みながら、追求してきた森下監督の育成哲学とは――。今回はサガン鳥栖の監督時代にJリーグデビューさせ、その後日本代表にまで上り詰めた鎌田大地(現フランクフルト)の才能について振り返る。

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「パッと見て、これは凄いな、と思いましたよ。(鎌田)大地のプレーは心に響いてきました」

ガンバ大阪のユース監督、森下仁志(49歳)はそう振り返る。サガン鳥栖の監督時代、当時18歳だった鎌田をプロデビューさせている。

今や日本代表で、ドイツ・フランクフルトの主力となった鎌田だが、高校時代は無名に近かった。Jリーグのクラブからはなかなか声がかからなかったが、鳥栖のオファーを受けて入団した。そもそもG大阪ジュニアユースに所属していたにもかかわらず、ユースに昇格できていない。

しかし、森下監督は起用を躊躇わなかった。高卒ルーキーだった鎌田を開幕前のキャンプから積極的に使い、トップデビューのタイミングを探っていた。そして2015年のJ1リーグ第11節・松本山雅FC戦、確信をもって送り出した。

プロデビュー&ゴールから、鎌田の進撃は始まったのだ。

――当時、鎌田の起用に迷いはなかったですか?

「全くなかったですね。キャンプでトレーニングマッチを重ねるなか、もちろん要求するところはたくさんあったんです。でも、一目見て面白い選手だなと思って。当時の鳥栖は、尹晶煥監督(現ジェフユナイテッド千葉監督)から長年かけて作ったスタイルがあって、“チームを進化させる”というところが自分に求められていました。そこで、“大地を生かすにはどうしたらいいのか”と考えて。キャンプの試合をやるごとに、これはなんとかせんとあかん、って。デビュー戦、ファーストプレーで30メートルくらいのスルーパスをトヨ(豊田陽平/現ツエーゲン金沢)に入れたシーンは今でも覚えています。それで彼が(ミドルシュートで)点を入れて引き分けたんですが、改めて凄いな、と」

選手の凄さは「立ち姿や雰囲気に出る」

鎌田は「負けん気が本当に強い」

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