【番記者の視点】G大阪、5年連続で最下位クラブに敗北…10人での攻撃に見えた心の隙
◆明治安田生命J1リーグ第9節 G大阪0―1湘南(17日、パナスタ)
失点を喫したのは後半45分だったが、後半の内容からすればG大阪の敗北に驚きはなかった。シュート数は、後半湘南の7本に対し、G大阪は0本。FWレアンドロ・ペレイラのヘディングが、大きく枠を外した場面はシュートにカウントされなかった。ほとんどゴールの匂いを生み出せず、今季初勝利に向けて最後の最後まで足を止めなかった湘南の勢いに、最後は飲み込まれた。
G大阪はこれで、5年連続で対戦時に最下位の相手に敗北。この日は3バックにDF昌子、三浦、リーグ戦初先発の韓国代表DF権と、代表クラスの力を持った守備のスペシャリストたちを並べた。しかし各クラブの力が拮抗したJリーグにおいて、名のある選手が並んだからと言っても、順位が上だからと言っても、勝利が保証されるわけではない。明らかに走り負けた後半の試合内容含め、“心の隙”が見えた部分もあった。
失点した後半45分には、直前に足がつったMFダワンがピッチを離れていた。残り時間はわずかとはいえ、数的不利の状況。しかしG大阪は中央からの攻撃を選択し、湘南DF山本にパスカットを許した。すると山本にドリブルで中央を突破されてカウンターを受けると、最後はサイドからのクロスをゴール前まで上がってきた山本に決められた。
この試合が湘南相手ではなく、J王者の川崎相手だったら、選手たちは10人でも攻めただろうか。カウンターを受けやすいと言われる中央に、リスクのあるパスを送っただろうか。ボールを動かしながらダワンが戻るのを待つ、または攻めるにしてもカウンターを受けにくいサイドから、と考えたのではないだろうか。
ホームに最下位の相手を迎えた試合で、10人の時間帯でも、勝ち点3を狙う気持ちがあったことは理解できる。油断と呼ぶには厳しく、わずかなわずかな隙だった。しかし「本当にちょっとしたことで勝ち点3をつかみ取ることができるか、勝ち点0に終わるのか。勝負というのは非常に厳しいなと、今日のゲームを終えて感じました」と片野坂監督。勝負の神は細部に宿る。湘南に今季初勝利をプレゼントしたこの試合で、G大阪の選手たちは改めて痛感したはずだ。