個の仕掛けとポジショニング 宇佐美が再確認したハリルジャパンで生き残る術 Soccer Magazine ZONE web 10月11日(日)10時21分配信

「連係で生かしてもらいながら、個で打開する」

 ワールドカップ・アジア2次予選の大一番だった8日のシリア戦で決めた日本代表での半年ぶりのゴールに、ハリルジャパンのエース候補も手ごたえを得たの は間違いない。2015年3月にバヒド・ハリルホジッチ体制が発足して以降、大きな期待を寄せられ、その全試合に出場しているFW宇佐美貴史は、シリア戦 で自ら決めた3点目をこう振り返っている。

「連係の中でゴール前に入っていくのはやりやすい。点を取れるポジショニングさえ繰り返しできれば、チャンスは巡ってくる」イラン上陸後、初めて行われた10日の練習後に振り返った。

2-0で迎えたシリア戦の後半43分、左サイドのハーフウェーライン付近でボールを受けた清武弘嗣が、相手最終ラインの裏へ飛び出す本田圭佑(ACミラ ン)へスルーパス。この瞬間、清武の左斜め後方にいた宇佐美もタッチライン際を抜け出し、本田とクロスするようにフリーの状態でエリア内に入っていく。そ して本田がヒールで落としたボールに素早く反応し、右足を振り抜いた。

J1リーグでは今季、開幕からゴールを量産し、現在得点ランク2位の19得点。もっとも、夏場に入ってからはペースが落ち、国内組のエースとして活躍が 期待された8月の東アジアカップでも無得点に終わった。その後、日本代表戦では3試合連続でスタメン落ちが続いている。「(先発で出たい気持ちは)僕に限 らず全員ある。そこにこだわりながら、そこに向けてやっていきたい。そういうメンタルは全員が持つべきだと思う」この言葉には、現状に対する悔しさが滲 む。

ハリル体制で全試合招集も3試合連続先発落ち

 13日にテヘランで行われる親善試合のイラン戦は、宇佐美にとって復権をアピールする絶好の機会となる。武藤嘉紀(マインツ)、原口元気(ヘルタ)、そ して初招集の南野拓実(ザルツブルク)と2列目左サイドのライバルは多いが、勝負の一戦に向け、自らのプレーのイメージはできている。

「連係で生かしてもらいながら、もちろん自分が周りを生かす場面もある。そういうのをより多くしていきたい。ただ個で、ドリブルで打開するという自分なら ではのプレーもやる。そこの使い分けは大事。パス交換とかで簡単に使ってもらいながら、どれだけゴール前に進出していけるか」

武藤、原口、南野との定位置争い制する

 周囲と連動しながら、いかにゴール前に入っていけるか。シリア戦の得点シーンのような形を意識しつつ、個で打開すべき場所では繊細なボールタッチで対面のDFを揺さぶり、ドリブルで切り込んでいく。

「危険な位置に入っていきたいし、ずる賢さも大事。(シリア戦での)オカちゃん(岡崎慎司)も素晴らしい駆け引きでPKをもらったと思う。自分も増やしていきたい」

FIFAランクでアジア勢トップのイラン(39位)に対し、仕掛けとフィニッシュの両面でどれだけアピールできるか。宇佐美にとって、今後のハリルジャパンでの命運を大きく左右する一戦になる。

Share Button