【番記者の視点】なぜG大阪は川崎と渡り合えたか MF斉藤未月がもたらした効果

◆明治安田生命J1リーグ第3節 G大阪2―2川崎(6日、パナスタ)

前半45分間で8回も、取材ノートに「15」と記した。G大阪MF斉藤未月の背番号だ。今季ロシア1部・ルビンカザンから新加入し、この日がリーグ戦初先発。中盤で抜群のボール奪取力を発揮し、さらに自陣ゴール前まで戻って危ないバイタルエリアを埋めた。攻撃面でも相手ゴール前まで侵入。前半17分のシュートは枠を外したが、同34分にはボックス内まで侵入してパスを引き出し、外のDF高尾へ。このクロスのこぼれ球から、MF山本の先制ゴールが生まれた。

20、21年で6連敗中だった川崎戦。ほとんどの試合で中盤を制圧され、DFラインが下がって防戦一方だった。しかしこの日は2トップがDFラインに、中盤も前へ前へとプレッシャーをかけた。その中で斉藤は、対面した川崎MFチャナティップをケアしつつ、前への守備の意識を強く持つMF山本や倉田の背後のスペースもカバー。彼の存在があったからこそ、チームは守備の矢印を前へと向けることができた。片野坂監督は「彼の良さがすごく生きていた。守備のところでも未月のような汗かき、ハードワークが必要だと思った」と評した。

またMF山本が「(斉藤が)奪った後、落ち着いてひとつボールを持てることも、自分たちが保持するために重要なプレー。そういうところで、ボールを持てる時間もできた」と語ったように、攻撃面での渋い貢献も。攻守で複数のタスクをこなしたからこそ、何度もペンが動いた。まだ90分戦えるコンディションではなく、後半12分に交代。彼の状態がさらに上がって出場時間も伸びれば、さらに背番号15をノートに記す回数は増えるはず。終了間際の失点で金星は逃したが、片野坂監督にとっても大きな収穫となったはずだ。

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