遠藤保仁が語った、ピンチでも動じない「メンタル強者」になる方法

2021年11月14日(日)、水戸ホーリーホック戦で勝利をおさめ、晴れてJ1昇格を決めたジュビロ磐田。チーム躍進の立役者の一人といえば、昨秋にガンバ大阪からレンタル移籍した遠藤保仁選手だろう。移籍後、すぐに試合で攻守の要として存在感を表し、チームにポジティヴな変化をもたらした。

目標だった、ジュビロ磐田の「J1復帰」

――J1昇格、おめでとうございます。昇格が決まった今の心境をお聞かせください。

遠藤保仁選手(以下、遠藤):今シーズン一番の目標だったので、それを皆の力で達成できて嬉しかったです。また3試合を残して、自分たちの力で決めることができたという点でも、よかったと思っています。

後半は監督が不在となり、選手だけでなくスタッフの方々にもたくさんのプレッシャーがかかっていたと思うのですが、そんな状況の中、連勝して昇格を決められて、皆、本当に喜んでいます。

とくにここ3か月くらいは負けていなかったので、選手たちも自信を持って試合に臨めていました。自分たちがJ2のトップに立ってシーズンを終えるという理想的なカタチを実現できたことに、皆大きな手応えを感じていると思います。

――昨年10月にジュビロに加入したときのチームの雰囲気はいかがでしたか?

遠藤:仲がよく、チームの雰囲気は非常にいいなと思いました。

ただプレーがすべて順調に行っている時期ではなかったですし、試合で連勝することもほとんどなかったので、自分たちのサッカーへの自信や確信を持てていないという印象を受けました。ミスを怖がってプレーしているようにも見受けられて、「もったいないな」と。試合では「ミスのひとつやふたつ、気にしない!」というメンタルでいなければ、プレーにアグレッシブさが足りなくなるんです。

結果、「やれそうなところで、やれない」という展開になってしまう。だから「メンタルを鍛えれば、ジュビロはもっといいチームになるのにな」と見ていました。

「動じないメンタル」がチームを強くする

――昇格決定後の取材では、慌てずにプレーできたことが勝利につながったとコメントされていました。

遠藤:サッカーはメンタルに大きく左右されるスポーツで、失敗を恐れたプレーをしていると、いざというときに競り負けます。「相手チームに、先に点を取られたらどうしよう」と思いながらプレーするのと、「1点ぐらいどうぞ」という心持ちでプレーするのとでは、まったく違うものになるんです。

だから動じない心が必要。強いメンタルを持てるようになると、人は自ずと大きく見えるようになります。ジュビロは今シーズン、試合を重ねるにつれてそう感じさせる選手が増え、強い気持ちが伝わるプレーができていたのではないでしょうか。

点を取り、勝利する。それが各選手の自信につながったと思います。 “試合に勝つ”という成功体験を積み重ねることは、自信をつけるうえでとても効果的です。

――シーズン中、厳しい状況に直面することもあったと思います。そのようなときに、慌てず戦うために必要なことは何でしょうか?

遠藤:多少のミスや失点は、気にしないことです。勝っているときは、「ミスしても大丈夫」と思える心の余裕があるから、気にせずいられる人が多いのですが、負けている状況では、些細なミスにも動揺してしまいがち。勝っていても負けていても、常に心理的な余裕を失わずにいることが大事だと思います。

おもしろいことに、このマインドは観戦している方々と一緒。応援しているチームが勝ち続けているときは、多少のミスや失点ではたいして騒がないですよね。「あ~またミスした」とは思うけれど、「でもきっと大丈夫」だと信じている。なぜなら、そのときのチームが強く見えているからです。

――そこまでのメンタルに達するには、より強い「自信」も必要だと感じます。自分に自信を持つために、遠藤さんがアドバイスするとしたら?

遠藤:他人の意見は気にするな、ということでしょうか。もちろん、中には参考になる意見もあると思いますが、周囲、とくに第三者の言葉には振り回されないことが大事。

それから、背伸びしすぎないこと。「1年前はこのプレーができたのに」などよかったときの自分のパフォーマンスに縛られるのは、ミスのもとです。1年前と今では、状況も違えば相手も違うのだから、自分のコンディションを鑑みて、その日、その場でやれることを無理せずに素直にやればいいと思います。

2022年の抱負は「健康第一」

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