G大阪のJ2降格危機救った22秒間の神技プレー 闘莉王「あのスピリッツは凄かった」
【DAZN月間表彰】闘将を熱くさせたワンプレーを選出、10月はGK東口順昭が見せた神技キャッチ
サッカー界で最も熱い男が選んだ、漢を感じる熱いプレーとは。
サッカーJ1ガンバ大阪の元日本代表GK東口順昭が10月16日のリーグ第32節浦和レッズ戦アディショナルタイムの22秒間でスーパーセーブを連発し、1-1の引き分けに貢献した。大きな話題を集めたこのプレーを、元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏はスポーツチャンネル「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」との連動企画、10月の「月間最熱モーメント」に選出し、称賛した。
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後半アディショナルタイムに両チーム、1点ずつを加えた一戦で、主役になったのはガンバ大阪の守護神、東口順昭だった。
後半アディショナルタイム6分だった。浦和レッズのFW小泉佳穂の放った強烈なミドルシュートはゴール右隅に飛ぶも、東口が横っ飛びセーブ。そのまま浦和の攻撃は続き、22秒後にはFW田中達也が至近距離で放ったシュートを、今度は完璧にキャッチした。東口の凄まじいプレーが勝ち点1を呼び込み、名門のJ2リーグ降格危機を救った。
「素晴らしかったと思います。1発目のシュートはそんなに難しいところではない。だからこそ、2本目のシュートに対する反応の速さがあった。1発目のセーブは東口選手なら、もうちょっといいセービングができた。少し自分のミスだという感覚があったのでは。2本目のシュートに飛びかかるような、あのスピリッツはすごかったと思う。熱さを感じました」
闘莉王氏はこう語った。Jリーグ公式ツイッターでも「神セーブ」と紹介され、話題を呼んだ一連のスーパープレーだが、1本目のミドルシュートについては、闘莉王氏はパンチングの方向に課題を指摘する。
「もっと簡単に処理できたと思う。弾くのであれば、もっといいところに弾けた。少し迷いがあったのか。らしくなかった」
闘莉王氏が分析したSNSでも話題になった神技キャッチを生んだ要因とは
東口の技術ならコーナーキックに逃げるなど、別の対処法もあったのではないかと分析。対処の甘さを自覚していたからこそ、2本目のシュートを至近距離でキャッチする神技を生んだと分析している。
「普通なら、あそこまでの速さでボールに向かわない。あの時間帯という試合展開における重要性もあった。1本目よりも2本目のセービングが素晴らしい。チームメートは東口選手に感謝しないといけない」
現役時代に対戦したこともある闘莉王氏。浦和、名古屋グランパス時代にG大阪とはタイトルを争うライバル関係だったが、その守護神のセービング能力は高いと認める。
「腕の伸びがすごい。シュートやクロスに届かなそうでいて、届く。ボールに最後の最後まで手が出る。入ったと思っても止められる。反応の速さはピカイチ」と語る一方で、36歳の守護神にはまだ伸びしろが存在するという。
「試合がどっちに転がるか分からない時に、ちょっと前に急ぐ傾向がある。まだ目の前のプレーの処理が終わっていないのに、次のプレーを考えすぎている場面も目にする。どこに出そうか、どこの攻撃につなげるのか。まだ処理しきっていないのに、頭を切り替えてしまうと、ミスが起こる。そこに気を付ければ、もっと上を目指せるはず」
苦しみのシーズンとなったG大阪を救ったベテラン守護神に、闘将はさらなる奮起を期待した。
1981年4月24日生まれ、ブラジル出身。渋谷教育学園幕張高を卒業後、2001年にJ1広島でプロデビュー。06年に浦和のリーグ初優勝に貢献し、同年のJリーグMVPに輝く。07年にACL優勝、名古屋移籍後の10年に自身2度目のJ1制覇。03年の日本国籍取得後は日本代表としても活躍し、04年アテネ五輪、10年南アフリカW杯に出場。日本代表43試合8得点の成績を残した。19年12月にJ2京都で現役引退。現在はブラジルで実業家として活動する傍ら、公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題に。