6チームがしのぎを削るJ1残留争い。最後に生き残るのはこの2チームだ!
Jリーグクライマックス2021
今季J1リーグもいよいよクライマックスを迎えている。シーズン序盤から首位を快走する川崎フロンターレの2年連続4度目の戴冠が秒読み段階にあるタイトル争いとは打って変わって、4チームがJ2に降格する残留争いは熾烈だ。
数字上の可能性は別として、第33節終了時点で現実的に熾烈なJ1残留争いに加わっているのは、15位清水エスパルス(勝ち点32)以下の6チーム。残り5節という状況を迎えて、最後に生き残るチームはどこか? 識者3人がズバリ選定する――。
■J1残留争いを展開する6チームの成績(第33節終了時点)15位 清水エスパルス 勝ち点32 得失点差-1616位 湘南ベルマーレ 勝ち点31 得失点差-617位 徳島ヴォルティス 勝ち点30 得失点差-2018位 大分トリニータ 勝ち点28 得失点差-2519位 ベガルタ仙台 勝ち点26 得失点差-2620位 横浜FC 勝ち点25 得失点差-40※17位以下がJ2に降格
杉山茂樹氏(スポーツライター)
◆残留チーム=清水エスパルス、湘南ベルマーレ
残るは5試合。16位で残留するチームの勝ち点を占えば、「36」と考える。
もちろん5試合すべてに勝てば、どのチームも勝ち点をプラス15上積みできるが、現実的な話ではない。だいたい、それが実現できれば、残留争いに加わっていないだろう。
そこで、第33節を終えた時点での16位湘南ベルマーレ(勝ち点31)の1試合平均勝ち点を算出してみると、0.94。15位清水エスパルスが0.97となる。同レベルにあるチームが1試合あたりに得られる勝ち点はおよそ1。5試合なら勝ち点5を上積みできると考えれば、残留ラインは勝ち点36となる。
とすれば、20位横浜FC(勝ち点25)は、残り5試合で勝ち点11が必要。3勝1分け1敗でも届かない計算になる。一時よりチーム力を上げているが、難しいと言わざるを得ない。
19位ベガルタ仙台(勝ち点26)は、3勝1敗1分けでギリギリ届く。だが、直近5戦の成績は1勝1分け3敗。こちらも、難しいと言わざるを得ない。
残留の可能性が高まるのは、現在18位の大分トリニータ(勝ち点28)からだろうが、必要な勝ち点は8。2勝1分け2敗では届かない計算になる。さすがに3勝するのは厳しいと見て、大分も苦しいか。
現実的に見て残留の可能性があるのは、17位徳島ヴォルティス(勝ち点30)、16位湘南(勝ち点31)、15位清水(勝ち点32)の3チーム。徳島、湘南は2勝3敗、清水は1勝1分3敗の成績が必要になる。
戦力的に最も高いのは清水ながら、サッカーは褒められたものではない。サイドでボールがキープできないので、支配率が上がらない。チャンスが少ないサッカーなので、勢いに乗ることができない。
そうなると決して安泰とは言えないが、湘南と徳島が第37節で直接対決を残している。星の潰し合いをする可能性がある。清水にとって、この巡り合わせはラッキーか。
残留するのは、清水と湘南vs徳島の勝者。ホームで戦う分だけ、湘南有利と見る。
中山 淳氏(サッカージャーナリスト)
◆残留チーム=清水エスパルス、大分トリニータ
下位4チームがJ2に降格する異例の今シーズンは、残留争いの行方が混とんとした状態で残り5節という状況にある。
最下位の横浜FCは、第33節で残留圏の16位湘南ベルマーレとの直接対決で逆転負けを喫したため、かなり厳しい状況だ。同日、サンフレッチェ広島に勝利した19位ベガルタ仙台にしても、湘南との勝ち点差は5。その湘南との直接対決を残すが、残りの対戦相手がヴィッセル神戸、名古屋グランパス、アビスパ福岡、鹿島アントラーズという点を考えると、さすがに難しいと言わざるを得ない。
一方、現在残留争いに巻き込まれている残り4チームのなかで最も上位に位置する15位清水エスパルスは、降格圏17位の徳島ヴォルティスと勝ち点2差をつけており、残り5試合で最低勝ち点4を手にできれば、残留の可能性は高まる。残りの対戦相手は、FC東京、コンサドーレ札幌、広島、浦和レッズ、セレッソ大阪の5チーム。得点力に問題を抱えるにしても、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が植えつけた堅守は相変わらず。目標を失った相手との対戦が多いだけに、残留最有力と見ていい。
16位湘南、17位徳島、18位大分トリニータの3チームは、勝ち点3ポイントの中でひしめき合うため、どのチームにもチャンスはある。そのなかでも、ここにきて守備的サッカーに舵を切ったことにより、直近5試合で勝ち点8を積み上げた大分は残留へのダークホースと言えるだろう。
残り5試合の対戦相手は、福岡、ガンバ大阪、鹿島、横浜FC、柏レイソルの5チーム。福岡戦、G大阪戦のどちらかで1勝でもできれば、一気に視界が広がるはずだ。
そういう意味でも、最後の2試合(横浜FC戦、柏戦)が逆転残留に向けた最大の山場になる。今シーズン限りの退団が噂される片野坂知宏監督が有終の美を飾れるか、要注目だ。
浅田真樹氏(スポーツライター)
数字上は下位6クラブすべてに残留の可能性があるとはいえ、シーズン終盤での逆転可能な勝ち点差は、残り試合数が目安になる。つまり、あと5節を残す現段階で逆転可能な勝ち点差は5だ。
16位と勝ち点6差にある最下位の横浜FCは、すでに厳しい。同様に19位のベガルタ仙台も、勝ち点差はギリギリの5だが、残留圏にたどり着くには16~18位の3クラブを上回らなければならず、勝ち点差以上にハードルが高い。
現実的に残留の可能性を残すのは、18位以上の4クラブだろう。
現状、4クラブには目立った調子のよし悪しは見られず、ここから大きく抜け出したり、逆に後れをとったりするクラブが出てくるとは考えにくい。1試合の結果次第で、そのつど抜きつ抜かれつする展開が最後まで続くはずだ。
だとすれば、現時点での勝ち点差は見逃せない。15位の清水エスパルスは降格圏の17位とは勝ち点2差、16位の湘南ベルマーレは同じく勝ち点1差のアドバンテージを持っている。加えて、湘南は得失点差で他を圧倒しており、勝ち点で並ばれても大丈夫、という状況にある。僅差の決着が待っている以上、彼らが優位な立場にいるのは間違いない。
特に清水は守備が安定してきており、大崩れはなさそう。順位をひとつ落とすことはあっても、リードを生かしてこのまま逃げ切る可能性が高いと見る。
上位2クラブに割って入るとすれば、第37節に湘南との直接対決を残す徳島ヴォルティスだろうか。湘南のホームゲームにはなるが、勝ち点差を大きく広げられずに決戦を迎えることができれば、一発逆転のチャンスがある。
裏を返せば、湘南が勝って引導を渡すという結末もありうる。熾烈な残留争いではあるが、案外、最終節を待たずに結果が出てしまうこともありそうだ。



