宇佐美貴史らの“前線トリオ”不発 ガンバのJ1残留はまだ安泰ではない
アビスパに辛勝も……
明治安田生命J1リーグの第21節が17日に行われ、ガンバ大阪がアビスパ福岡に1-0で勝利した。
ガンバは試合全体を通じてアビスパの守備ブロックに手を焼き、後半には相手の鋭いカウンターやサイド攻撃を浴びたものの、85分に途中出場のFWパトリックが左サイドからのクロスにヘディングで反応し、先制ゴールをゲット。その後はアビスパ陣営のロングボール主体の攻撃に晒され、防戦一方となったが、GK東口順昭が90分に相手DFドウグラス・グローリのシュートを防ぐなどの活躍を見せ、逃げ切りに成功。リーグ戦19位から17位に浮上している。
直近のリーグ戦4試合で3勝1分けと、戦績だけを見ればチーム状態が上向いているように思えるガンバだが、今夏に行われたAFCチャンピオンズリーグのグループステージ、及び今節の試合内容は芳しくない。最前線にFWレアンドロ・ペレイラ、2シャドーにFW宇佐美貴史とMF矢島慎也を配置した[3-4-2-1]の布陣でアビスパに挑んだものの、この3人の連動性に課題を残した。
今節は4バックと4人の中盤で自陣ペナルティエリア手前のスペースを埋めてきたアビスパに対し、ガンバの前線トリオが相手最終ラインと中盤の間に立ち、守備陣形を崩しにかかるという展開に。前線トリオのうちの誰かがアビスパの2センターバックを釣り出し、これによって生まれる最終ラインの背後のスペースを突くのがガンバとしては理想的だったが、誰がライン間に立ってボールを捌き、誰を最終ラインの背後へ走らせるのかという役割分担がはっきりせず。守備ブロックの外側からシュートを放つ場面は何度か作ったものの、前線トリオによる連係からアビスパの最終ラインの背後を突くシーンは、ほぼ作れなかった。
この前線トリオは日本時間5日のチェンライ・ユナイテッド戦(ACL)でも結成されたが、この試合では3人とも相手最終ラインの背後を狙い続けたため、時間の経過とともにガンバの前線と中盤が間延び。今節起きた現象はこの逆で、3人ともライン間、もしくは守備ブロックの外側に立ったことで相手最終ラインの背後を狙う選手がいなくなり、中央でのパスワークが停滞。故に、攻め手がサイドからのクロス一辺倒になってしまった。
途中出場のMF奥野耕平が85分に放ったクロスが相手選手のクリアミスを誘い、これによりパトリックの決勝ゴールが生まれたことは救いだったが、サイドからの単純なクロスだけでは今後攻撃が行き詰まり、勝ち点を取りこぼす可能性がある。直近のリーグ戦で何とか勝ち点を拾えているとはいえ、現時点でJ2リーグ降格圏の17位に沈んでいること、連動性に乏しい攻撃を繰り返している現状を踏まえると、ガンバの危機はまだ続いていると言わざるを得ない。チームとして中央突破の質を高める必要があるが、そのためには1トップと2シャドーの役割の整理が急務と言えるだろう。