G大阪が転換期に迎えた困難なシーズン。それでも“戦術東口”ではない、「ダービーを知る男たち」が示した意地
5月2日に行われた明治安田生命J1リーグ第12節では、セレッソ大阪とガンバ大阪がヤンマースタジアム長居で対戦し、1-1で引き分けた。G大阪が“大阪ダービー”で見せたプライドとは?
激しく競り合うシーンも(C)Getty images
「大阪」の名を賭けたダービーで最高の舞台装置であるはずの両サポーターの姿はヤンマースタジアム長居になかった。昨年7月にパナソニックスタジアム吹田で行われたダービーに続いて、二度目となるリモートマッチは、開幕から低迷するG大阪にとって、今後を左右するシーズン最初の大一番だった。
新型コロナウイルス感染の影響で6試合が中止となり、一時は2週間の活動休止を余儀なくされたG大阪。コンディションのバラつきを整えながら、今季新たに取り組む攻撃的なスタイルを構築する作業に宮本恒靖監督は腐心してきたが、現実に残してきた数字は7試合でわずか1得点。
相手の良さを消しにかかるリアクション型の宮本監督だが、現役時代から「ダービー」が意味するものは十分承知済み。だからこそ、前日に「我々はサポーター、ガンバを応援してくれる人に勝って喜んでもらいたいし、ダービーではそれが何倍、何十倍にもなる。勝利を目指してやるのみ」という決意表明を口にした。
活動再開後の戦いで封印してきた4-3-3のフォーメーションを再び採用したのも指揮官の「勝ち切る」という決意の表れだったが、近年リアクションスタイルのサッカーで結果を出してきたチームは、未だに攻撃面で試行錯誤が続いている。
6試合消化が少ないこともあって、順位的には低空飛行が続いているG大阪ではあるが、決して「ダッチロール」に陥っているわけではない。得点は少ないが、失点も7試合でわずかに「4」。敵地でのダービーで最初に輝きを放ったのは前半、驚異的なビッグセーブを連発した東口順昭だった。
「サポーターは僕らの力になっていたので残念。でもサポーターの思いも背負って戦いたい」(東口) 過去のダービーでも勝負強さを見せつけていた守護神は9分、至近距離で合わされた大久保嘉人のシュートを足でブロック。「この試合から流れを変えていきたい」という執念で最後尾を引き締めた。