ガンバ大阪のタイトル奪取へのキーマン、韓国代表チュ・セジョンの正体

ガンバ大阪チュ・セジョンインタビュー  韓国代表ボランチとしても知られるチュ・セジョンが、宮本恒靖監督からの2年越しのラブコールに応えるべく、ガンバ大阪への”移籍”を決断したのは「ミッドフィルダーとして、もうワンランク、成長するため」だった。過去に受けた中東や中国からのオファーには振れなかった気持ちが、初めて動いた。

なかでも宇佐美については、FCアウクスブルク時代のチームメイトだった、元韓国代表MFク・ジャチョルからもたくさんの情報を得たと言う。

「貴史の足元の技術、シュートの精度の高さは、ク・ジャチョルやウィジョからも聞いています。また、昨年の試合を見たなかでも、彼の能力が前線で遺憾なく発揮されることも、ガンバの攻撃力を勢いづけるうえでとても重要だと感じました。チームとして彼にできるだけ多くのパスを配給したいし、僕もそのひとりになれればと思っています」

それに対して、宇佐美もまた彼のプレーに期待を寄せる。

「去年の戦いを振り返っても、より攻撃的に試合を進めるうえでは、ボランチでさばきながら圧倒的にボールの配給ができる選手が必要になる。その部分で、個人的にはセジョンが入って、どれだけボールが回るようになるのかはすごく楽しみ。そこの質が上がっていけば、ボールをできるだけ長く保持しながら、より攻撃にかけられる時間も長くなると思う」(宇佐美)

もっともFUJI XEROX SUPER CUP2021には両選手とも出場がなく、リーグ開幕戦も宇佐美が途中交代したあとに、チュ・セジョンが投入されたため、いまだ公式戦では同じピッチでプレーしていない。

宮本監督も「セジョンがJリーグのリズムやスピード、試合の強度などに慣れるには時間が必要」と話していることから、息のあったコンビネーションを楽しめるのは、もう少し先になるかもしれない。ただ、本人がその時を楽しみにしながら、日々積み上げていることに嘘はない。

「今回の移籍は、自分のキャリアにおいて2度目のターニングポイントだと思っています。一度目は、釜山アイパークからFCソウルに移籍した時で、そこで新たな刺激をたくさん受けたことが韓国代表にもつながったように、今回の移籍も間違いなく自分にとって大きな意味を持つはずです。

自分にとっては初めての海外移籍で、難しさを伴うこともあると思いますが、この決断を成長につなげられるように、これまでのキャリアでも大切にしてきた”学び”の姿勢を大事に進んでいきたいと思っています。

ガンバへの加入に際しては、僕がここに来る前から、多くのガンバサポーターのみなさんがSNSなどで歓迎のメッセージを寄せてくださいました。それをすごくうれしく受け止めると同時に、みなさんの期待に応えるためにも、また、この先の”タイトル”を一緒に喜ぶためにも、ガンバに必要だと思われる選手にならなければいけない。

過去にガンバで活躍してきた先輩方のように、このチームには韓国人選手が必要だと思ってもらえるプレーをしたいと思っています」

1月末には、チームにできるだけ早く馴染むために、「できる限り自分の知っている日本語や、学んだ日本語を使うように心がけている」と明かしていたセジョン。取材後にも「ヨロシクオネガイシマス」「ワタシハ、チュ・セジョンデス」「オツカレサマデス」と覚えたての日本語を並べ、笑顔を見せた。

その際には「今は選手の名前を覚えるのが一番大変で、毎日、家に帰って勉強しています」とも。また、自身の素顔についても、「今はまだ少し緊張もありますが、本来はとても明るい性格。親しくなるほど冗談も増える」と明かしていた。

あれから約2カ月半。今ではチームメイトの名前も、プレースタイルも頭に刷り込まれ、日々、チーム戦術への理解も深まっている。となれば、あとは彼本来の輝きがピッチで示される、その時を待つばかりだ。

チュ・セジョン1990年10月30日生まれ。韓国出身。身長176cm。Kリーグの釜山アイパーク、FCソウル、牙山ムグンファFCなどでプレー。足元の技術に優れたボランチで、韓国代表でも奮闘している。今季、ガンバ大阪へ完全移籍した。

リンク元

Share Button