【橋本英郎】独断と偏見で選ぶ“J歴代ヘディング名手”ベスト10! 中澤、闘莉王、冨安ら“鉄板”のほかにも意外な面々が!

ケネディは“仁王立ちのまま”ゴールを決めていた

前回コラムで「歴代パサー」ベスト10をやらせていただいて、かなりの反響をいただきました。ありがとうございます。

編集部からの要望もありまして、今回はずばり「エアバトラー」!

空中戦に滅法強い名手たちをピックアップしてみました。あくまで対象は、僕がかつて共に戦ったチームメイト、または過去に対戦した選手を基本線にしていますのでご了承ください。

ではさっそく10位から行きましょう。元ジェフ千葉の【巻誠一郎】選手です。

なんといっても彼の強さは、メンタリティー。明らかに自分のボールではない局面でも無理矢理にでもヘディングに行って、状況を変えてしまう。ヘディングの技術的にも唸らされましたし、本人が「利き足は頭」と話していたのもよく理解できます。足で点を取りに行くところでも、あえて頭で強引にでも合わせてゴールをこじ開ける。生粋のエアバトラーですね。

続きまして9位には、元ジェフ、ガンバ大阪の【山口智】選手をチョイスします。

身長は180センチ弱なのですが、190センチの相手にも勝ててしまう。競り合いにむちゃくちゃ強かった印象があります。身体の使い方は実にしなやかなで、空中でもしっかりバランスが取れる。だから、ヘディングできるゾーンが広い。さまざまなタイプの選手に対して、頭脳を駆使して空中戦を制する。そして、勝利する。近くで観ていて本当に頼もしかったです。

どんどん行きます。8位は、元名古屋グランパスの【ジョシュア・ケネディ】選手です。

チームメイトたちからのいろんな情報を集めたら「ヘディングそんなに強くないよ!」って言われちゃいそうですが、僕が選出した理由は明快です。「コーナーキックに合わせるとき、立ったまま頭に当てて入れてしまう!」。もうこれに尽きます。本来なら競り合って必死に頭を出してヘディングしますが、彼の場合は、仁王立ちのまま相手を手でブロックしてしまえばシュートを撃てる、絶対的な高さ(194センチ)を持っていました。

続いて7位。名古屋と清水エスパルスで活躍した【フローデ・ヨンセン】選手です。

とにかくヘディングの技術が図抜けているな、と試合をしていて感じました。強めの弾道のヘディングシュートだけでなく、キーパーの頭上を抜く技ありのシュートなどバリエーション豊かで、技術を駆使していた印象です。すごく芸術的でした。

冨安から受けたインパクトは特大だった

6位は【チョ・ジェジン】選手です。ガンバの元僚友で、その前には清水でもプレーしていました。

迫力が凄まじかったですね。横から飛ぶヘディングや、大柄ながらダイビングヘッドもバンバンやる。ガンバがアジア・チャンピオンズリーグでFCソウルと対戦したときは、気持ちも入っていたのか、エアバトルはほぼ完ぺきに勝利していました。彼もヨンセン選手と同様、ヘディングの技術が高い。僕にパスをくれてアシストもしてくれたので6位です(笑)。

ようやく現役選手の登場です。5位はボローニャの日本代表、【冨安健洋】選手にしました。

実際の対戦経験はないので、直接肌で感じたわけではないのですが、僕が東京ヴェルディにいた当時、アビスパ福岡との対戦時にチームメイトのドゥグラス・ヴィエイラ選手を完封していました。あのインパクトは特大でしたね。J2リーグで群を抜く強さを見せていたヴィエイラ選手でさえまるで歯が立ちませんでした。その後のヴィエイラ選手がJ1でも活躍したことから、冨安選手の強さはやっぱりホンモノだったんだと、確信に変わりました。いまとなればみなさんもよくご存じだと思いますが、まだ十代だった彼から受けたあのときの衝撃は忘れられません。

次は4位。元鹿島アントラーズの【岩政大樹】選手をセレクトさせてもらいます。

岩政選手の凄さは、不利なボールであっても果敢にチャレンジして、気づけば競り勝ってしまう強さ。突っ込む勇気、パワーが圧巻でした。絶対負けないというハートの強さがあり、鹿島の黄金期を支えた最重要メンバーのひとりだと思います。ヘディングのパターンは多くなかったですが、それを凌駕する圧倒的な強さがありました。

さあ、ここからベスト3です。と、ここでちょっとブレイク!

番外編として、僕がプロになって1番最初にビックリしたエアバトラーを紹介させてください。今回は選外にしましたが、元ガンバのブラジル人FW、マグロン選手です。

とにかくデカかった(笑)! でもって得意な形に持ち込めば強かった! 20代前半の頃に僕はウイングバックでプレーしていて、クロスボールを高々と上げてもちゃんと競り勝ってくれました。すごく懐かしく思い出します。なぜか敵のゴールキックとかで競り勝つシーンはほぼ見なかった気がしますが、初めて「ヘディングが強い!」と身体で感じた選手でしたね。

田代は「飛ばずとも勝てるエアバトラー」

ではここからトップ3です。

3位は、元名古屋、元浦和レッズ、元京都サンガの【田中マルクス闘莉王】選手です。

彼の場合はヘディングの技術が非常に高かっただけでなく、空中で止まれる滞空時間の長さも特徴的で、ヘディングしなくていいと思ったときには胸トラップをするなど、エアバトラーとしてはバリエーションが豊富でした。日本代表のときは本当に頼もしいセンターバックでしたね!

2位は、ヴィッセル神戸とセレッソ大阪で一緒に戦った【田代有三】選手です。意外でしたか?? めちゃくちゃ強かったですよ!

身長は180センチちょっとでしたが、どんなに強力なDFが相手でも怯むことなく、空中戦のことごとくをモノにしていました。ブラジル人選手の誰もがビックリするほどの跳躍力! 彼もまた、ヘディングしなくても胸トラップができてしまう選手でしたね。相手DFがヘディングしようと頭を振ったら、そこに田代選手のお尻があった、というのはひとつの逸話です。そのときも胸トラップをしていましたからね。高さだけでなく、飛ぶ前の駆け引きにも長けている。飛ばずとも勝てるエアバトラー、と表現してもいいかもしれません。

そして1位は、ベスト3の3人のなかで迷いましたが、最終的には鉄人を選びました。元東京V、元横浜F・マリノスの【中澤佑二】選手です。

日本代表のときには、負けてるシーンを見た記憶がないですね。滞空時間の長さ、ヘディングできる空間の幅の広さ、空中のゾーンの守れる範囲の広さ……そのすべてがずば抜けていました。CK&FKでは、中村俊輔選手とのホットラインからゴールを荒稼ぎしていましたね。守備だけでない、あの得点センスも特筆に値します。攻守両面、「苦しいときの中澤佑二!」。あれほど凄い選手と一緒にプレーできた経験は、自分の財産です。

かなり独断と偏見の色を出した10人でしたが、いかがでしたでしょうか。みなさんも納得感はあったはず! と信じています。何人か抜けている選手もいると思いますが、基本的に対戦した選手やチームメイトからの選出で、ずっと海外で活躍し続けていて絡めなかった選手は選外にしましたので、ご理解くださいね。

次はどんな10人がお望みでしょうか。みなさんのご要望をお待ちしております!

<了>

橋本英郎

PROFILE

はしもと・ひでお/1979年5月21日生まれ、大阪府大阪市出身。ガンバ大阪の下部組織で才能を育まれ、1998年にトップ昇格。練習生からプロ契約を勝ち取り、やがて不動のボランチとして君臨、J1初制覇やアジア制覇など西野朗体制下の黄金期を支えた。府内屈指の進学校・天王寺高校から大阪市立大学に一般入試で合格し、卒業した秀才。G大阪を2011年に退団したのちは、ヴィッセル神戸、セレッソ大阪、AC長野パルセイロ、東京ヴェルディでプレー。2019年からJFLのFC今治に籍を置き、入団1年目で見事チームをJ3昇格に導く立役者のひとりとなった。日本代表はイビチャ・オシム政権下で重宝され、国際Aマッチ・15試合に出場。現在はJリーガーとして奮闘する傍ら、サッカースクールの主宰やヨガチャリティー開催など幅広く活動中だ。Jリーグ通算/465試合・21得点(うちJ1は339試合・19得点/2021年3月23日現在)。173センチ・68キロ。血液型O型。

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