【韓国メディアの視点】「7年ぶりに4強進出がゼロ」。ACLで全滅した韓国勢が抱く危機感 SOCCER DIGEST Web 9月17日(木)16時30分配信

G大阪に屈した全北。敗因は最後の集中力不足。

 G大阪の逆転勝利で終わったACL準々決勝の第2戦。引き分けでもアウェーゴール数で勝ち上がりが決まる全北現代だったが、後半アディショナルタイムに痛恨の決勝ゴールを決められ、ベスト4進出の切符を逃してしまった。

それだけに韓国メディアも「ガンバに逆転負けの全北、4強進出霧散」(一般紙『韓国日報』)、「“痛恨の1分”全北、ガンバに逆転負け」(ネットニュー ス『エクスポーツ』)とショックを隠せない。スポーツ新聞『スポーツ韓国』などは「虚妄の敗北、全北の脱落がより残念な理由」と題した記事のなかで、こう 書き綴っている。

「なにもかもが残念な試合だった。最後の1分を耐え切れず敗北してしまったことが、惜しいことのすべてではなかった。結果論だが取られなくてもいい失点を 何度も奪われた。それは、悪手となった戦術的選択が災いとなった。負けるような試合ではなく、しかもACLに残ったKリーグ唯一のチームだったため、その 悔しさはさらに濃く残った」

全北の敗因としてまず挙げられているのが、最後の集中力の問題だ。「反転の連続だった大阪の夜、刹那の集中力で分かれた勝負」としたサッカーネットディア『スポータルコリア』はこう指摘している。

「全北が多くの時間で4強に近かったのは事実だが、勝負どころで集中力を発揮したのはガンバだった。ガンバは先制を許して心理的に負担を感じるよりも前に同点にし、後半終盤に突然訪れた脱落危機のなかでも劇的なゴールを奪った。刹那の集中力が結果を分けた試合だった」

周到な準備と倉田、パトリックの働きを評価。

 全北のチーム状況や選択した戦術が効果を発揮しなかったという意見も多い。

全北は夏の移籍市場でそれまでKリーグの得点ランキングのトップを走っていたエドゥーを中国リーグに引き抜かれたことでイ・グノ、ルイス、ウルコ・ベラ などを補強したり、本来はSBのチェ・チョルスンをボランチ起用して相手エースのマーカーにつける“チェ・チョルスン・シフト”を直近の試合で採用してい るが、「ACL4強挫折の全北、戦力不均等の克服に失敗」(ネットニュース『JOYNEWS』)、「“チェ・チョルスン・シフト”は誤答ではないが正答で もなかった」(ネットニュース『OSEN』)と指摘されている。その文脈のなかで逆に評価されているのが、倉田秋だ。

「チェ・チョルスンがマークした倉田は、ガンバの核である宇佐美と違ってベンチメンバーなので攻略が容易だと予想されたが、蓋を開けてみると違った。倉田 は第1戦で完璧に封じ込められた宇佐美とまったく違った。チェ・チョルスンをかわしてスペースに何度も侵入し、数回の得点チャンスを作った。第1戦で宇佐 美はシュート1本に終わったが、倉田は終始チャンスを作り、76分には得点まで決めた」(ネットニュース『OSEN』)

G大阪の対策にしてやられたという意見もある。

「全北、結局は徹底的に準備したガンバにやられた」としたスポーツ新聞『スポーツ・ソウル』は、Kリーグよりも短いうえに大量の水を蒔いてボールの走りを 速め、得意のパスサッカーができるようホームの利点をフル活用したG大阪の準備を紹介しつつ、「ガンバの抵抗は予想以上に強かった。90分間、バスケット のハーフコート・プレッシングを連想させる強い圧迫と、フィジカルに優れたパトリックの突破は全北を苦しめた」とした。

ちなみに全北のイ・ジェソンは試合後の韓国メディアの取材で、「短い芝やアウェーの不利は言い訳にしかならない」としつつ、「全北はKリーグでも、パス サッカーをする浦項や済州に苦戦してきた。日本のチームはパスプレーがさらに良いので、今日は難しさがあった」と語った。不利有利を差し置いて、G大阪の スタイルに苦戦したことを認めたわけだ。

FCソウルのチェ・ヨンス監督も「過渡期」だと現状を憂う。

 ただ、Kリーグ勢がACL準々決勝で姿を消してしまったことへの衝撃は大きい。Kリーグ勢は2009年以降、最低でも準決勝(ベスト4)に駒を進めてき たが、「7年ぶりに4強進出クラブがゼロ、決まり悪い引き立て役になったKリーグ」(ネットニュース『news1』)と肩を落としている。

特に昨季王者で、今季もリーグ戦1位を独走する全北現代が準々決勝で姿を消したこともあって、「1強まで崩れたKリーグ、アジア・チャンピオンは夢なのか」(ネットニュース『ノーカットニュース』)と、危機感を抱くメディアやファンも多い。

水原三星のソ・ジョンウォン監督も「Kリーグがアジアを牽引してきたが最近のACLで結果を残せてないことに、Kリーグの指導者、選手、クラブ全体が責 任を感じる必要がある」と語り、FCソウルのチェ・ヨンス監督も、「これまでKリーグがアジアの先駆者の役割をしてきたが、多くの部分についてもう一度診 断するためにはこういう時期も必要だ。Kリーグの競争力をもう一度高めるために、どんなことを補完していくべきか考える過渡期だ」と話した。

グループリーグ終了時は4クラブ(全北現代、水原三星、城南FC、FCソウル)が決勝トーナメントに駒を進めて沸いていたKリーグ。そこから一転して敗北感と危機感を抱えることになったが、今後どのようなACL対策を打ち出していくか、注目していきたい。

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