【担当記者 今季のJ展望】川崎は三笘が憲剛ロス吹き飛ばす…G大阪の「ゆるふわパン」朱世鍾が新味
今季20クラブで争う明治安田生命J1リーグは、26日に川崎―横浜M(等々力)のカードで開幕する。スポーツ報知のサッカー担当記者が座談会を開き、日々の取材で集めた「細かすぎる情報」を一挙披露。注目選手や指揮官の素顔に迫った。
デスク「昨季は川崎の圧巻Vだったな。中村憲剛氏は引退したが、連覇へ死角なしかな?」
井上「“憲剛ロス”が心配される川崎ですが、“神”がいる限り今年も優勝間違いないですね。昨季選手や監督のベストイレブンの投票で最多票を獲得したMF三笘は、筑波大時代はあまりの能力の高さにチームメートから神と呼ばれていたとか。プレーはもちろん、新体制発表のコントでは、スーツを着こなし営業マンになりきるなど演技も100点。ピッチ内外で川崎の新しい顔になりました。夏の海外移籍は怖いですが…」
デスク「井上記者は今年も大忙しかな(笑い)。『打倒・川崎』の対抗馬は…。昨季上位のG大阪、名古屋、C大阪あたりか」
金川「G大阪に加入した韓国代表MF朱世鍾(チュ・セジョン)は、ロシアW杯にも出場した実力派ボランチ。しかし、その性格は非常に穏やかだそうで、MF倉田は彼を『ふわふわパンみたい』と例えていました。一方、キック精度はチーム内でも評判。ふわふわ食感と正確なパスが魅力です」
岡島「名古屋のフィッカデンティ監督は『ショウガナイ』という日本語を普段から愛用。イタリア語には相当する言葉がないらしく、よく聞くと記者会見でもたびたび発しています。『ずるい言葉だと思っていたが、使ってみると使い心地がいいんだ』とニヤリ。『過密日程はショウガナイが、負けることはショウガナイではない』と意気込む指揮官の下、リーグ制覇とアジアでの躍進を狙います」
種村「C大阪で目を引くのはFW松田力の加入で結成されたDF松田陸との『松田ツインズ』。見た目はもちろん、声も似ています。宮崎キャンプでの練習試合を取材中、弟・力の出場中に本人がいない方向から声が聞こえてきたと思ったらベンチにいた兄・陸でした(笑い)。同時出場だと味方も見分けづらいのでは…。ちなみにスタッフによると性格は多少違うようで『力の方が少し愛想が良くて弟っぽい』とのこと」
デスク「ふむふむ。去年は順位を落としたが、復活を期す鹿島、ルヴァン杯王者のF東京、イニエスタ擁する神戸あたりも面白そうだ」
内田「鹿島はクラブ30周年の今年、日本代表クラス2人の獲得情報があったが、実現には至らなかった模様。それでも、ザーゴ体制2年目で上積みを図り、優勝を狙う今季。大補強ではないが、昨季限りで引退しGKコーチに就任した曽ケ端準氏、出場機会が激減したにもかかわらず残留したGK権純泰(クォン・スンテ)は若いチームにあって、頼もしさを感じます」
小又「F東京は今年こそリーグ優勝を狙います! 昨季のコロナ禍の中断中、運動がてら長谷川監督が自転車で向かった先は本拠地の味の素スタジアム。懸ける思いは強いです。参謀の安間貴義氏(現・岐阜監督)や長沢徹氏(現・京都コーチ)らが抜け『だいぶ頼っていたなと気づいた。もっとチャレンジしていきたい』と言います。14年にG大阪を率いて3冠達成など百戦錬磨の戦術眼に注目です」
種村「神戸は選手ではなくフロントが大幅に若返りました。楽天イーグルスの球団社長でもある立花陽三氏(50)に代わって2月から就任したのが徳山大樹新社長。J1では最年少となる31歳です。11年に早大を卒業後、楽天に入社。わずか10年でヴィッセルの社長に上り詰めるという、平社員歴15年目の自分も驚きのスピードです」
デスク「4チームが降格する今季は、例年以上に残留争いに注目が集まりそうだ。実に5分の1が降格…。巻き返しを狙うクラブの現状はどうだろう?」
小林「仙台は昨季17位に沈み、選手不祥事、経営危機などピッチ内外でも苦しみましたが、求心力抜群の手倉森監督の8年ぶり復帰で一致団結。『8季ぶりに力を発揮(ハッキ)したい』と得意のダジャレも健在です。東日本大震災から10年の節目を迎える今季、11年・4位、12年・2位と躍進したシーズンの再現、被災地の希望の光を目指します」
森「大型補強に成功した清水は、コロナ禍で外出ができないキャンプのオフ時間、選手はオンラインで桃鉄(桃太郎電鉄)ゲームにはまっていたそう。『電話をつなぎ、しっかり会話ができています』と新加入のMF中山。ピッチ外でも連携が取れています」
デスク「昨季は三笘やオルンガ(元柏)が一気に名を上げたな。各クラブの“推しメン”を教えてくれ」
小口「横浜Mのポステコグルー監督が2年連続ラブコールを送った東京五輪候補DF岩田。鶏天大好きの大分一筋だった23歳は、同じ宇佐市出身の先輩DF松原と話すときは語尾に「けん」や「ちゃ」がつく大分弁が自然と出ます。盛大なボケで報道陣をも和ませるハマのガンちゃんが強じんな体を武器に右サイドを激走します」
川上「札幌はタレント豊富な東京五輪世代(FW小柏、菅、MF金子、高嶺、DF田中ら)が楽しみです。田中は熊本キャンプ前に黒髪にイメチェン。自他ともに認める芸人・小籔一豊さん似!?の柔和な笑顔に磨きをかけつつ、2年目にして中心選手の強い自覚も。背番号2は昨季引退のDF石川から継いだ重いもの。ピッチ内外で、若き守備リーダーの存在感に期待です」
星野「J2琉球から浦和に加入したMF小泉は“将棋名人”です。3年前にネット中継を見てどハマりし、スマホゲームで1級の腕前。移籍で給料がアップし、課金して対局数を増やして腕を磨いてます。将棋盤のようにピッチ全体を俯瞰(ふかん)して見る視点を持ち、憧れの羽生善治さんの座右の銘『玲瓏(れいろう)』をモットーに冷静沈着なプレーが真骨頂。1月は金色、2月は銀色と変幻自在の髪色も注目です」
デスク「今季もコロナ禍で取材環境は大変だが、かゆいところに手が届く細かすぎる取材を引き続き頼むぞ!」