J1全20クラブ総合評価ランキング。優勝候補のA判定、苦戦予想のE判定はどこ?【2021年版】
2021年のJ1リーグがまもなく開幕する。新シーズンに向け各クラブはどのような補強を行ったのだろうか。今回フットボールチャンネルでは20クラブの評価を紹介する。
A評価
川崎フロンターレ
昨季は圧倒的な強さでJ1リーグ制覇を成し遂げた。主力のほとんどは残留したが、中村憲剛が現役を引退し、守田英正はポルトガル1部のサンタ・クララへ移籍。彼らの穴を埋められるかがリーグ連覇への大きなカギになるだろう。名古屋グランパスから加入したジョアン・シミッチには新たな中盤の柱として期待がかかる。アビスパ福岡で11得点を挙げ、J1リーグ昇格に大きく貢献して復帰することになった遠野大弥も初めてのJ1参戦でどのような活躍を見せてくれるか楽しみだ。
ガンバ大阪
昨季は後半戦に猛烈な追い上げを見せてJ1リーグで2位に入り、ACL出場権を獲得。天皇杯でも決勝に進出してフロンターレに肉薄した。オフに放出したのは昨季までU-23チームでプレーしていた若手たちや、主力ではない選手たち。一方、韓国代表で28試合の出場歴を誇るチュ・セジョン、ブラジル人のチアゴ・アウベスとレアンドロ・ペレイラを獲得。選手層の厚みを増して国内リーグとアジアの戦いに備えている。
名古屋グランパス
昨季はJ1リーグ最少失点で3位に入り、9年ぶりにACL出場権を獲得。マッシモ・フィッカデンティ監督のチーム作りが軌道に乗りつつある。充実した戦力を誇るうえに、浦和レッズから長澤和輝、フロンターレから齋藤学、セレッソ大阪から柿谷曜一朗と日本代表歴のある実力者を獲得。サガン鳥栖でブレイクした森下龍矢、セレッソからディフェンスラインでも中盤でも高水準のプレーを約束する木本恭生も引き抜く大型補強を敢行した。過密日程を戦い抜く陣容が十分に整っている。
FC東京
長谷川健太監督のもとで一致団結し、カタール集中開催となったACLでベスト16に進出。過酷なシーズンを戦い抜き、最後にはYBCルヴァンカップを制してタイトル獲得も達成した。主力の流出は一切なく、ブラジル代表歴のあるDFブルーノ・ウヴィニ、中盤のファイター・青木拓矢、ドイツでのプレー経験を持ちモンテディオ山形で評価を高めた渡辺凌磨を獲得。ピンポイント補強で戦力アップを果たしている。
B評価
鹿島アントラーズ
シーズン序盤は振るわなかったが、徐々にチームの完成度を高めて昨季は5位フィニッシュ。ザーゴ監督のもとで若手選手たちも成長し、GKの沖悠哉は曽ヶ端準やクォン・スンテからポジションを奪取。荒木遼太郎もリーグ戦26試合に出場して豊かな才能を示した。今季の新加入選手が大卒や高卒の若手中心なのも、クラブとしての方針ゆえか。アルトゥール・カイキや、サントスの中心としてコパ・リベルタドーレス準優勝に貢献したディエゴ・ピトゥカといったブラジル人選手たちもチーム力を底上げしてくれるはずだ。
横浜F・マリノス
大きな不安要素はやはり前線だ。エリキが中国の貴州FC(昨季まで貴州恒豊)、ジュニオール・サントスがサンフレッチェ広島へ移籍。それぞれ13得点ずつ、2人で26得点を挙げていたブラジル人FWを失った。後釜としてやってきたエウベルやレオ・セアラの実力や適応度は未知数。アタッキング・フットボールのベースはしっかりできているが、3バックの導入も検討されているようで、新システムの完成度も成績を大きく左右しそうだ。
柏レイソル
リーグ戦で28得点を挙げ、J1得点王に輝いたケニア代表FWオルンガがカタールへ移籍。強烈なインパクトを残したエースの抜けた穴は大きい。だが、YBCルヴァンカップ決勝に進出できたのはオルンガだけの力ではない。中盤の構成力はJ1屈指で、アビスパで大きく成長した上島拓巳の復帰により昨季は苦労したディフェンスラインのやりくりも解決しそう。椎橋慧也やイッペイ・シノヅカも現主力と競争できる実力の持ち主で、ブラジルリーグで実績のあるアンジェロッティやドッジにも期待がかかる。
セレッソ大阪
マテイ・ヨニッチやレアンドロ・デサバト、ブルーノ・メンデスといった外国籍選手たちがごっそり抜けた。一方、進藤亮佑や原川力といったJ1で経験豊富な実力者、J2で実績を積み上げてきた鳥海晃司、新井直人、為田大貴、加藤陸次樹、松田力らを獲得。韓国でプレーしていたオーストラリア代表FWアダム・タガート、ブラジルからセンターバックのチアゴも加入して選手層は厚くなった。数少ない不安要素の1つは、レヴィー・クルピ監督の存在か。
C評価
浦和レッズ
今季はリカルド・ロドリゲス監督が就任した。徳島ヴォルティスをJ1昇格に導いた手腕は、自身初のJ1でどのように発揮されるだろうか。エヴェルトンとマルティノスが退団し、長澤和輝や青木拓矢といった主力級も移籍。橋岡大樹もベルギー1部のシント=トロイデンVVへ期限付き移籍することが決まった。補強はヴィッセル神戸から獲得した西大伍を除けば、J1での実績にやや不安あり。それでも選手たちのポテンシャルを引き出し、チーム力に還元する指揮官の采配に注目だ。
北海道コンサドーレ札幌
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が指揮を執って今季で4年目。すでに戦術的な完成度は高く、今季もオールコート・マンツーマン・プレッシングを継続していくことになるだろう。補強でも高いプレー強度に耐えられる選手を揃えた。そして、FC琉球から1年半ぶりに小野伸二が復帰。鈴木武蔵がベルギーへ移籍したことによって不安要素になった得点力を高めるため獲得した、ナイジェリア代表歴を持つFWガブリエルがどんなプレーを見せるかも楽しみだ。
サンフレッチェ広島
主力の流出は最小限だが、純粋な新戦力はジュニオール・サントスのみ。マリノスで13得点を挙げた実績はあるものの、新たなチームの戦術に順応できるかは未知数だ。レアンドロ・ペレイラの抜けた前線でジュニオール・サントスが輝けなければ、得点力に不安を抱えることになりかねない。ソリッドな組織はすでに完成度が高く、新ストライカーがラストピースとなるか。
清水エスパルス
オフは大型補強で話題をさらった。セレッソを上位に導いたミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が就任し、愛弟子とも言える片山瑛一も獲得。ポルトガル1部のポルティモネンセでプレーしていた日本代表GK権田修一が加入し、守護神問題も解決した。チアゴ・サンタナやウィリアム・マテウスといった新ブラジル人選手も楽しみな存在。原輝綺や中山克広、ディサロ燦シルヴァーノといった若い選手たちも加わった。ロティーナ流が素早くチームに浸透すれば、面白い存在になるかもしれない。
D評価
ヴィッセル神戸
昨季はリーグ戦で14位に沈んだ。シーズン途中でトルステン・フィンク監督が退任し、スポーツディレクターだった三浦淳宏氏が監督に就任。しかし、成績は上向かなかった。ACLではクラブ史上初のベスト4進出を果たしたものの、チームとしての継続性には疑問が残る。アンドレス・イニエスタやセルジ・サンペール、トーマス・フェルマーレンらは健在。山口蛍や古橋亨梧のプレーも充実している。しかし、補強はあまり目立たず、獲得に高額な移籍金を支払ったとみられるリンコンも何も保証はしてくれない。
徳島ヴォルティス
チームをJ1昇格に導いたリカルド・ロドリゲス監督が浦和に引き抜かれたが、後任のダニエル・ポヤトス新監督は欧州でも評価の高い新進気鋭の指導者だ。アルビレックス新潟の本間至恩は獲り逃したものの、東京ヴェルディから伸び盛りの藤田譲瑠チマ、フロンターレからU-20日本代表のFW宮代大聖を獲得。タレント力では他クラブに劣るかもしれないが、戦術的な緻密さで補ってJ1残留を果たすことが現実的な目標になる。
横浜FC
移籍市場では積極的に動いた。伊藤翔や渡邉千真といったJ1で実績十分のストライカーに加え、仙台で成長したジャーメイン良、J2で存在感を発揮していた元ブラジル代表のクレーべを獲得した前線は一気に充実した選手層を誇る。守備陣にもベテランの高橋秀人をはじめ、中塩大貴やハン・ホガン、岩武克弥といった既存戦力とポジションを争える実力者を獲得。下平隆宏監督が仕込んだ戦術はすでに十分浸透しているため、新加入選手の個性をうまくプラスできれば手堅く戦えるチームになるだろう。
大分トリニータ
キャプテンの鈴木義宜を筆頭に、岩田智輝、田中達也、小塚和季といった主力級が相次いで流出。湘南ベルマーレから坂圭祐、川崎フロンターレから下田北斗、ベガルタ仙台から長沢駿らを獲得したが、やや戦力ダウンの感は否めない。片野坂知宏監督に鍛えられて上夷克典、福森健太、渡邉新太、黒崎隼人といったJ2からのステップアップ組がどれだけ伸びるか。新戦力がフィットしなければ厳しい戦いを強いられることになるかもしれない。
E評価
アビスパ福岡
J1昇格にあたって各ポジションに補強を施した。奈良竜樹や宮大樹、志知孝明、杉本太郎、渡大生、ジョルディ・クルークスといった新戦力にかかる期待は大きい。昨季J2で11得点を挙げた遠野大弥や守備の柱に成長した上島拓巳も抜けたが、戦力はアップしている。それでも決して潤沢なタレントを揃えているわけではなく、4チーム降格の今季は以前昇格した頃よりも厳しくシビアな戦いを乗り越えていかねばならない。
サガン鳥栖
決して資金的に恵まれないなかでも多くの選手を獲得した。ただ、勝利を確実に拾っていくにはナイジェリア人のチコ・オフォエドゥやケニア人のイスマエル・ドゥンガといった、新加入のアフリカ人ストライカーの活躍が不可欠。ある意味ギャンブル的要素が強いか。ただ、キム・ミョンヒ監督の指向するサッカーは明確で、新たなチャレンジに意欲的な姿勢は魅力的だ。
ベガルタ仙台
手倉森誠監督が8年ぶりに復帰した。ジュビロ磐田から上原力也、グランパスから秋山陽介、浦和からマルティノスなどを獲得。とはいえ戦力の総合値はJ1でも最低クラスで、厳しい戦いを強いられることは容易に想像できる。昨季は17位で、36得点61失点と得点力にも守備力にも不安を抱えていた。どちらの課題も解決できなければ、4チーム降格の今季は厳しい現実を突きつけられるかもしれない。
湘南ベルマーレ
昨季はリーグ戦で6勝しか挙げられず、最下位に終わった。J1最少の29得点と、攻撃力不足は深刻だった。オフには鈴木冬一がスイスへ、齊藤未月がロシアへ旅立った。一方、ウェリントンが7年ぶりに復帰し、ポルティモネンセからウェリントン・ジュニオールが加入。ギラヴァンツ北九州から加入した町野修斗らにも期待がかかる。それでもチームとして相当な成長がなければ、残留争いからは逃れられないだろう。