G大阪史上初「ビジネスアカデミー」開講への思い 30年のノウハウ伝える「責務がある」

【インタビュー】「サッカービジネスアカデミー」の開講理由に迫る…「30年経って経験したものがある」

ガンバ大阪が28日、クラブ史上初めて「サッカービジネスアカデミー」を開講することを発表した。期間は4月から10月までの半年間で、オンライン座学やフィールドワークなどでスポーツ業界の人材育成を行う。受講人数は36人の予定でスポーツ業界への転職やスポーツ部門への異動希望者など社会人が対象者となる。開講に先駆け、G大阪の経営企画課長の竹井学氏と経営企画担当課長の阪本直樹氏が「Football ZONE web」のオンラインインタビュー取材に応じた。

G大阪は今季で創立30周年を迎える。今回の「アカデミー」は30年間サッカービジネスに尽力してきたノウハウや、2016年から使用する本拠地・パナソニックスタジアム吹田の運用方法などを伝える場所として開講するという。さまざまな分野でスポーツ業界に携わる講師によるオンラインでの座学や、実際にスタジアムを訪れて企画などを実施する体験学習を半年間かけて、全16回で行う。竹井氏は今回の「アカデミー」を開講するに至った理由を説明した。

「我々にはこれからのスポーツ界を担う人材を育成する責務がある。30年前にはどうやってスポーツ業界に貢献するのかノウハウがなかった。30年経って経験したものがある。少なくとも積み重ねてきたものを伝える場所が必要。スポーツビジネスと言っても、マーケティングやパートナー(スポンサー)を獲得すること、メディアとの関わり方などいろいろある。座学の講師にはG大阪OBの播戸竜二(Jリーグ特任理事)さんも登壇するので、キャリアなどについて話してもらう予定となっています」

スケジュールは大きく「導入期」「インプット期」「企画期」「実施期」の4期に分かれる。スポーツ業界と一括りにしても、プロチームの中で運営や広報、チケット販売やメディアなど多くの人が現場に関わり、他にもアスリート支援などを行っている一般企業のスポーツ部門など携わり方は多岐にわたる。そのため、今回の「アカデミー」では将来的にスポーツ業界への転職や異動などを視野に入れる社会人を対象とし、講師も播戸氏以外にもJリーグ元理事の米田恵美氏やJリーグデジタルのスーパーバイザーのシンクロ西井敏恭氏など様々な分野のスペシャリストが登壇予定となっている。

「もし良い人材がいればぜひG大阪で働いて欲しい」 ビジネスアカデミーは“人材発掘”の場

「現場に関わってもらい、どのようにしてビジネスを生み出しているのか。スタッフがどのように働き、集客や収益を上げているのかを見てもらいたい」(阪本氏)

また、パナスタの運用法も実際に学ぶことができる。2016年、万博記念競技場から“新スタジアム”に移転。収容人数も2万人から4万人ほどに増え、ビジネスの幅が広がった。さらに、2017年からはJリーグがスポーツチャンネル「DAZN」と10年間、約2100億円の放映権契約を締結。G大阪にとってはこの2点が、大きなビジネスの転換期だったと竹井氏は話す。

「まずパナスタができて入場者数を増やさないといけないだけではなく、スポンサーシップでもできることが増え、グッズや飲食でもチャンスが広がった。これに加えてDAZNの放映権料が(Jリーグに)入ってきたことで、Jリーグの方針も共存から競争へと変わった。これによって収益を上げられる人材を増やし、グローバルにならないといけなくなった」

そして生まれたのが今回の「アカデミー」だ。ビジネスのノウハウを伝えるだけではなく、人材の“発掘”も目的の一つ。両者ともに「もし良い人材がいればぜひG大阪で働いて欲しい。今シーズンのスローガンは”TOGETHER as ONE”。強化部はもちろんのこと、事業部もガンバは日本で1番を目指さないといけない、そんな仲間が見つかると嬉しい」と声を揃える。西の名門クラブが、今度はスポーツ業界の未来を切り開くきっかけを作っていく。

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