極度の拙攻でダービー完敗──。ガンバ大阪が抱える“難問”に最適解はあるのか

ラインが間延びして宇佐美が位置を下げて…

[J1リーグ第2節]G大阪 1-2 C大阪/7月4日/パナスタ

各駅停車のようなパスワークをしているあたりに、攻撃面での自信のなさが垣間見えた。ガンバ大阪はPK以外にビッグチャンスを掴むことなく、宿敵の軍門に降ったのだ。

土曜日ナイターで行なわれたJ1リーグ第2節、セレッソ大阪戦。前半こそ拮抗したゲーム展開で攻勢を仕掛ける時間帯もあったガンバだが、前半アディショナルタイムに先制点を奪われると、あっさり先行逃げ切りのゲームプランが瓦解。宮本恒靖監督は早々にパトリックや井手口陽介らベンチの潤沢なカードを切って打開を図るも空転し、逆に緩慢な守備から追加点を決められてしまう。その後にPKで1点を返せたのは、ホームチームにとってせめてもの救いだった。

戦前の予想通り、3-1-4-2のシステムで臨んだ。だがキックオフ直後から、アンカー遠藤保仁の両脇に空いたスペースを敵の清武弘嗣やレアンドロ・デサバトらに好きなように蹂躙されてしまう。3バックは押し上げを図れず、本来シャドーの倉田秋と矢島慎也も後方に引っ張られる。攻撃の急先鋒を担う宇佐美貴史はボールに触ろうとたびたび中盤まで位置を下げ、どんどんチームとしてのライン間が間延びしていった。

やがてアデミウソンの1トップに近い布陣となり、小柄なブラジリアンめがけてロングボールが供給される始末。再始動後にガンバはふたつの練習試合を非公開で行なったが、主軸メンバーは攻撃の閉塞感に不安を募らせていた。ましてやリスタート初戦の相手は、緻密なブロック守備をさせたらJ随一の強度を誇るセレッソだ。行き当たりばったりでも、チャンスは掴めなかった。

宇佐美が下がってくるのは以前から変わらない。言うなれば彼は、バルセロナにおけるリオネル・メッシのごとき存在なのであって、宮本監督もある程度のフリーロールを容認しているだろう。要は宇佐美が低めに位置したときに、彼を追い越すような効果的な動きが出てくるか否か。加えて、それを宇佐美が信じて活用できるかどうか。セレッソ戦ではどこか割り切って、アデミウソンとふたりで最後までやっちゃおう、というムードが漂っていた。

ガンバが誇る至宝は、整備されない攻撃に関して次のように語っている。

「セレッソは素早く戻ってブロックを作ってきてる。そのなかで素早く攻められない。去年も同じ状況があって、前に前にという意識が足りなくて、トレーニングを重ねるなかでどんどんゴールに向かう姿勢が良くなっていった。まだ全体練習が再開して1か月。練習でもどんどん仕掛けていく部分が少ないと感じているし、ここぞで人数をかけられていない。ただそのぶん、まだ伸びしろはあると思う」

「ガンバイズム」を突き詰めるべきはいま

ガンバは対戦相手の長所を消すところからゲームプランを練る。まずは組織的な守備ありきで、攻撃はどうしても即興性に依拠する側面が大きかった。

しかしそれでは3ポイントは積み重ねていけない。今季は一歩踏み込んで高い位置でボールを奪うアクションスタイルを標榜しつつ、コンパクトなラインを維持して決定的なショートカウンターからゴールを奪うイメージを共有している。2月の開幕戦、横浜F・マリノス戦ではその一端を披露して快勝を収めたが、現時点ではまだ諸刃の剣と言わざるをえない。

理想とするボール回しができず、54分で交代した遠藤は「攻撃はあまりスムーズに試合を運べなかった。やっぱり攻撃に特化した選手が多いチームなので、そこは改善しないといけない」と課題を口にした。本質を突いた、なんとも示唆的なコメントである。

両ウイングバックの小野瀬康介と藤春廣輝の活動量は申し分なく、倉田と矢島のコンディションも悪くないように見えた。ベンチもパトリック、渡邉千真、小野裕二と人材が豊富だ。守備ラインをグッと押し上げ、宇佐美を敵陣深くの高い位置に据え置くなかで連携を磨けるか。攻撃面で自由度の高まる4-4-2を導入できればと思うが、宮本監督はなかなかゴーサインを出せないでいる。

宇佐美は「1対1でチャレンジする、ドリブルで勝負する場面が少ない。個のトライのところをもっと意識しないといけないと思います。ただボールをつなぐ、サイドからクロスを上げるだけじゃなくて」とも話した。

セレッソ戦でもそうだったように、守備の大崩れは考えにくい。ハードワークと献身の意識は、指揮官が口酸っぱく繰り返し伝え、選手たちに刷り込んできた武器だ。ならば中位から脱するためには攻撃のバージョンアップを図るほかない。娯楽性に富んだ破壊的な攻撃サッカー、「ガンバイズム」を突き詰めるべきはいまである。

3年目のツネ政権、もっとも真価が問われるところだ。

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