西野朗氏「ヤットスタイルで」偉業遠藤へ心を込めて
ガンバ大阪のプロ23年目、元日本代表MF遠藤保仁(40)がJ1通算632試合出場を果たし、楢崎正剛(元名古屋グランパスGK)を抜いて単独最多記録を樹立した。
元G大阪監督で現在はタイ代表を指揮する西野朗氏(65)が、J1最多出場の単独記録を打ち立てた遠藤へ、日刊スポーツを通じて祝福のメッセージを寄せた。2人は02年から10年間、G大阪で師弟関係を築き、遠藤が日本代表の主力になる出会いとなった。
「おめでとう! と、たくさんの祝福を受けても、あぁ、まぁ、どうも…なんて淡々と答えているヤットの姿が浮かぶが、この数字だけは、あっさりと、とはいかない! 常にハイレベルで質の高いプレーを重ね続けてきての結果だから…。卓越した技術と戦術眼に裏打ちされて、自身のプレースタイルへの飽くなきこだわりとチーム愛があってのたまものだ! さらにファンを魅了するヤットスタイルを見せ続けてほしい! そして日々、コンディションを整えてくれる熱烈サポーターである家族には、まじめにしっかりと感謝を伝えるように!」
今回の談話は、西野氏自身がパソコンのキーボードを打ち、心からの言葉を紡いでくれた。決して得意ではないはずのパソコンに向かう、65歳のレジェンド監督の思いが込められた。
自身も2月にタイ代表の活動で1度は現地に渡ったものの、新型コロナウイルスの影響で活動休止となり、日本での生活を余儀なくされた。65歳の誕生日だった4月7日に緊急事態宣言が出された。「遠藤のお祝いコメントに、新型コロナの件を追加した方がいいか、いや、ストレートにお祝いしたい」と提供してくれたのが、この談話だった。
遠藤の兄彰弘さん(44)を96年アトランタ五輪で指揮したのも西野氏。遠藤兄弟の人生に深く携わり、自身は18年W杯ロシア大会で日本代表を指揮し、夢舞台に立った。「ヤットによろしく伝えてくれよ」。西野氏の言葉には、遠藤の金字塔にふさわしい温かみがあった。
◆西野朗(にしの・あきら)1955年(昭30)4月7日、埼玉県生まれ。早大、日立製作所(現柏)でプレー。国際Aマッチ通算12試合1得点。96年アトランタ五輪代表監督としてブラジルを破る金星。柏レイソル、G大阪、ヴィッセル神戸、名古屋を率い、監督としてJ1最多270勝。18年ハリルホジッチ監督の解任で日本代表監督に。ワールドカップ(W杯)ロシア大会では16強入り