G大阪・遠藤、歴代1位632試合出場!J1再開の日に23年目40歳が偉業
明治安田J1第2節(4日、G大阪1-2C大阪、パナスタ)サッカーの「明治安田生命Jリーグ」は新型コロナウイルスの影響による中断が明け、約4カ月ぶりにJ1が再開。G大阪の元日本代表MF遠藤保仁(40)は1-2で敗れたC大阪戦に先発出場し、名古屋で活躍した元日本代表GK楢崎正剛を抜き、J1最多出場記録を632試合に更新した。プロ23年目での快挙達成に、横浜Mなどで活躍した兄・彰弘さん(44)が手記を寄せた。
MF遠藤が未踏のピッチに到達した。632試合目を迎えるスタジアムに3万5000人のサポーターの姿はない。それでも背番号7は、約4カ月ぶりのピッチに喜びをかみしめて奮闘した。
「非常にうれしく思いますし、これまでサポートしてくれたみなさんに感謝しています。みんながTシャツを着てくれたこともうれしかった」
試合前の記念撮影では仲間たちがサプライズで「632」とプリントされた特注Tシャツを着て祝福してくれた。
中盤の底で先発し、細かくパスをさばいた。守備でも積極的に前へ奪いにいく今季のチーム戦術を貫いたが、前半ロスタイムに先制を許した。後半9分、交代ボードに背番号7が表示されると、思わず「俺が?」と言わんばかりの表情とジェスチャーだった。
J1で632試合。最も多くピッチに立った。長く出場するために必要なことを、どの監督や選手、OBに聞いても「大きなけがをしない」「どんな監督にも起用される」の2つがあがる。昨季も全試合にベンチ入りし、どんな試合も“遠藤色”に染めてきた。
FW宇佐美は「下手したら今が一番、ヤット(遠藤)さんのすごみを感じている」と言う。すごみの正体を、横浜Mなどで活躍した兄・彰弘さんは「ここ2、3年でさらに要領がよくなった。指を差して『もっと前』とか、周りを動かすことが増えた」と語る。
この試合でも最初の30秒で早くも3度、味方のポジションを修正した。チームの目となり耳となり、周囲を動かしてピッチに常に緊張の糸を張り巡らせる能力こそ、遠藤の“すごみ”。この力で出場機会を勝ち取ってきた。35歳を過ぎてから衰えを意識するや、動体視力を鍛えるトレーニングを導入し、視力も1・2を維持。「頭で考えてプレーすることは、誰にも負けない」。そう言い切る遠藤は、まさにピッチ上の頭脳といえる。
「選手である以上、最後までピッチに立ちたかった。勝てなかったことには原因がある。どんどん試合がくるので、改善していきたい」
偉大な記録保持者よりも1プレーヤーとして、敗戦と90分間、ピッチに立てなかった悔しさをにじませた。次のリーグ戦、名古屋戦は3日後の8日。633試合目、そしてチームの勝利に向けて、これまで通り体と頭の準備を進める。