【G大阪】伝統の攻撃的スタイル取り戻せるか…担当記者が読み解く
攻撃的に。これはG大阪がクラブとして一貫して目指すスタイルだ。しかし近年、理想と現実にはギャップが生じている。2018年のゴール数41はリーグ12位で、昨季は54で4位タイ。リーグ初制覇を果たした05年から、8年間で6度リーグ最多ゴールをマークした頃のような攻撃的な香りは薄まっている。過去2年は残留争いに巻き込まれ、現実を見据えて守備的な戦いを選んだ試合もあった。降格のない今季は、クラブのアイデンティティーを取り戻すチャンスともいえる。
今季就任3季目となる宮本恒靖監督(43)は、ハイプレスを導入した“攻撃的な守備”をチームのコンセプトとしている。今季開幕の横浜M戦ではハイプレスで相手のミスを誘い、昨季王者に2―1と勝利。徹底した対策でつかんだ勝ち点3だったが、後半には押し込まれる時間も続いた。試合後、選手たちからは勝利を喜ぶ一方、「もう少しボール保持率を高めたかった」という声も聞こえてきた。
昨季7位のチームが王者・横浜Mに勝利しても、選手たちから勝ち方にこだわる言葉が出てくる理由は、クラブの伝統として攻撃を好み、ボール保持へのこだわりが強い選手が多いからだ。一方で宮本監督は現有戦力や対戦相手に合わせ、現実的に戦い方を変える方が勝利に近い、という考え。かつて西野朗監督の下で「3点取られても4点取る」といったスタイルで、リーグ初制覇を果たした05年。現役時代のDF宮本は「3点取られていいとは思えなかった」という。守備者としてのプライドは、監督としてのスタイルにも反映されている。
ハイプレスとボール保持は相反するものではなく、宮本監督の理想はボールを失っても素早いプレスで奪い返し、ボール保持を高めて攻める形か。「攻撃的に」というチームカラーは、クラブの歴史が作り上げてきた財産だ。FW宇佐美貴史やDF昌子源ら実力者を擁する今季。目指すべき方向性にチームが一丸となることができれば、攻撃的なスタイルで14年以来のリーグタイトルを狙えるだけのタレントは、備えているとみている。
◆G大阪 前身は1980年創部の松下電器産業サッカー部。チーム名はイタリア語で脚を意味する「ガンバ」と、日本語「がんばる」の意味を合わせた造語。ホームタウンは吹田市、茨木市、高槻市、豊中市、池田市、摂津市、箕面市を中心とした北摂・北河内地域。本拠地はパナソニックスタジアム吹田(3万9694人収容)。