柿谷の“天性のタッチ”をG大阪エース宇佐美が絶賛 「おしゃれ」「難易度が伝わり辛い」

【宇佐美貴史×柿谷曜一朗“天才対談”|第4回】宇佐美が大阪ダービーで見せた柿谷の“推し”プレーを解説
セレッソ大阪FW柿谷曜一朗【写真:Noriko NAGANO】

大阪の宿敵2チームが誇る“天才”同士の対談が初めて実現した。新型コロナウイルスの影響でJリーグが中断するなか、ガンバ大阪FW宇佐美貴史とセレッソ大阪FW柿谷曜一朗が、オンラインでFootball ZONE webの独占インタビューに応じた。アカデミー出身で幼少期から“天才”と呼ばれ、各年代別の日本代表でも活躍し続けてきた2人。G大阪とC大阪という強烈なライバル関係を持つ両クラブのエースは、互いのプレーをどのような目で見てきたのか。連載第4回では柿谷のプレーについて、宇佐美が”解説“する。

まず、柿谷が見せた“らしさ”の詰まるプレーは2019年11月9日の第31節湘南ベルマーレ戦(1-0)、前半17分のシュートだ。C大阪は右サイドからMF水沼宏太が切り込み、ペナルティーエリア外のMFソウザへマイナスのパス。これをソウザがダイレクトでミドルシュートを放った。低い弾道のシュートは相手DFの伸ばした足に当たるも、ボールに詰めていた柿谷がシュート。惜しくも枠はとらえられなかったが、宇佐美はこのシーンに注目した。

宇佐美「俺、好きやねんな、狙っていたの?」

柿谷「(ミドルシュートを打ったのが)ソウザやからやけどな」

宇佐美「(ミドルが)外れたらこっち(柿谷のところ)に外れてくるみたいなことじゃないですか。FWの嗅覚みたいなんが好き」

さらに、宇佐美の声色が変わり興奮した様子を見せたのが、奇しくも自身が出場していたG大阪とのダービー。宇佐美と柿谷の初対戦となった19年9月28日の第27節、2-0でC大阪がリードしていた後半11分の場面だ。攻め上がったFWブルーノ・メンデスのこぼれ球をすぐさま受けた柿谷は、G大阪の元日本代表MF井手口陽介と対峙するも左足のアウトサイドでコントロールしてあっさりとかわし、中央へふわりとパス。走り込んだ水沼がダイレクトのジャンピングボレーで決めて、ダービーで7年半ぶりの勝利を引き寄せた。

「俺、このアシスト好き」 宇佐美がピッチ上で“体感”した柿谷のプレー

宇佐美「俺、このアシスト好きですね。好きですね、って言ったらあかんけど……。(井手口)陽介は守備上手いから、その陽介をいなせてるっていうのが。実際、陽介ともやっていて分かるんですよね。しかも右足のインサイドで縦に持っていくんじゃなくて、左足のアウトサイドで縦に持ち出しているっていうのもすごく渋さがあって、おしゃれ。奥の(水沼)宏太くんを走らせて上がってくるまでの時間作って、それがまんまとハマる」

柿谷「あの時ほんまはワンタッチって思ったけど、宏太が全然おらんかったから、時間作るまで、っていう感じ」

宇佐美「おしゃれアシストが多い。アシストしているシーンもゴールシーンもいとも簡単にやってしまっているから、難易度が伝わり辛い。ガンバ戦のアシストも宏太くんが見えていて、『来てない、だから左足で縦に持ち出して』っていう、そのタッチの長さが絶妙。足もとに(ボールが)入りすぎていると(DFに)ついてこられるし、それを利き足じゃない足で縦に持ち出して、持っている時間プラス(ジャンピングボレーした水沼の)滞空時間で時間を作るのが2倍になる。それで、宏太くんに合うっていうのもいい。さらっとやりすぎていて、難易度が伝わり辛いんよね。ぎこちなさが全くないし、練習を見ているみたい」

一連の流れで何気なく見えるプレーでも、天性の感覚で緻密な計算がなされている。“天才”宇佐美だからこそ着眼できた、柿谷の”ジーニアス”なプレー。ピッチ上で体感したからこそ、より印象深いものとなったようだ。

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