【楢崎正剛氏 手記】国内でも成長できること示してくれた ヤットに抜かれるんだから全然問題ない

G大阪の元日本代表MF遠藤保仁(40)が23日の横浜戦にフル出場し、名古屋で活躍したGK楢崎正剛の持つJ1最多出場記録の631試合に並んだ。偉業を祝して、自身の持つ記録に並ばれた楢崎氏が祝福のメッセージを寄せた。

ヤット、おめでとう!次で新記録やな。今までは一番上にいるということが、自分の名刺代わりやアピールになっていたけど、それがなくなってしまいます(笑)。でもヤットに抜かれるんだから全然、問題ない。

初めて会ったのが横浜F時代の1998年。最初から目立つヤツって本田みたいなずぶといヤツや体ができ上がっているヤツだけど、そういうタイプじゃなかった。丸刈りだった髪の毛が少し伸びた程度で見た目はいかにも高卒という感じ。ひょうひょうと淡々としていて、若さゆえのギラギラ感はなく、大丈夫かなという雰囲気があった。

でも(当時監督の)レシャックにリーグ開幕の横浜M戦で先発に抜てきされると、5万人以上が入っている中で普通にプレーしていた。緊張している様子もなかったことを覚えている。ちなみに第2節は浦和戦。小野伸二(遠藤と同学年)にゴールを決められて“黄金世代はこんなヤツばっかりなんか”と驚いた。

横浜Fで16試合、日本代表では39試合、一緒のチームでプレーした。Jでは敵同士で何度も対戦した。こんな自然体な選手は今まで見たことがない。陰で努力もたくさんしているんだろうけど、そんなそぶりは見せない。ひょうひょうとしたところは1年目から変わっていない。ただね…意外に汚いことをしよるんです(笑)。アフターでわざとぶつかったりね。オレもハイボールをキャッチした後に押されたことがある。“誰や?”と思ったら遠藤。“おまえか!”ってね。

それは戦っていたという証拠でもある。あるときの代表戦だったかな。身長の高い選手が少なくて、守備時のセットプレーで相手選手のマークに付いてもらわないといけなくなった。でも“ハイ、ハイ”て感じで守ってくれた。ヤットのところから破綻した記憶はない。代表合宿は張り詰めるし、ストレスもかかるけど、周りに影響されないマイペースを貫いていた。その積み重ねが信頼を勝ち取り、数字を伸ばしてきた一因やと思う。

意識を高く持っていれば国内でも世界で戦えるというのを証明してくれた選手。国内でも十分成長できることを示してくれた。その意味でもうれしい。ヤットに続く選手が出てくるのも面白いと思う。(名古屋アカデミーダイレクター補佐兼アカデミーGKコーチ)

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