G大阪が獲得した大学ナンバーワンMF。関学大・山本悠樹は遠藤保仁の後継者となれるか?

昨年の天皇杯でG大阪を撃破。「あれは自信につながりました」
ガンバ大阪の象徴でもある遠藤保仁の“後継者”となり得る逸材がやってきた。

G大阪が2020年シーズンの新戦力として獲得した山本悠樹は、来年40歳を迎える遠藤の後釜としてチームのタクトを振るい、西の名門を背負う存在となる可能性を大いに秘めている。

滋賀・草津東高から関西学院大へ進むとすぐに主力へ。1年次から関西選抜に選出され、将来を嘱望されてきた。不思議と全日本大学選抜には縁がなかったのだが、今年3月に行なわれたデンソーチャレンジカップ堺大会でその全日本選抜を相手に特大の存在感を発揮。鳥栖内定の林大地(大阪体育大)と共に全日本選抜へ昇格し、今夏にイタリアで行なわれたユニバーシアードにおける金メダル獲得に貢献した。

大学4年間で着実にステップアップを果たしていくなか、存在価値が高まったのが昨年の天皇杯だ。2回戦で内定先でもあるG大阪を2-1で下し、続く3回戦では東京Vに0−1で敗れたものの内容では圧倒。その攻撃の中心に、山本はいた。

ボールを預ければ何かやってくれる。そんなオーラをこれでもかと放ち、得点に結実せずとも見る者に驚きを、相手に脅威を与える動きを披露し、ワンプレーをやりきる。

もともと中盤の高い位置、ボックス付近で相手を剥がして決定的なパスを配給し、自らネットを揺らすというゴールを生み出す力にも長けていたが、それがプロ相手にも通用することを天皇杯で見せつけた。その経験について彼はこう言う。

「大きかったですね。しっかりとしたプロを相手にした中で自分がやれている部分もあったし、結果として勝てたので。あれは自信につながりました」

名を上げた山本は4年になる前のオフに京都サンガF.C.とFC東京のキャンプに参加し、セレッソ大阪や湘南ベルマーレの練習にも参加。その中で“争奪戦”を制したのはG大阪だった。タレント豊富な前線のアタッカー陣と自身のチャンスメイク力がフィットするイメージがしやすかったという。それが決断理由のひとつだと明かした。

山本を成長させた元日本代表の助言
この獲得レースの中でもFC東京のスカウトである羽生直剛氏との出会いが大きかったと彼は振り返る。結果的に育成組織出身で同じボランチである安部柊斗(明治大)を獲得したことにより、チームから正式オファーには至らなかった。しかし「羽生さんはめっちゃ気に入ってくれていて。毎回、守備の寄せがどうだとか『こうしたら良くなるよ』と言ってくれた」と山本は振り返った。自身の成長に寄与したとても大きな出会いだったと、大いに自覚している。

いわゆる“司令塔”タイプで攻撃の選手だった山本だが、複数チームへの練習参加やこの羽生氏の助言などによって、守備への意識が向上したのだ。

「プロになったらボールを奪い切る力が必要になってくる。いろいろと練習参加をしたりスカウトの人と喋ったりして、自分に足りないところだというのを言われていて。そこは意識的に変えられる部分だし、獲りに行くというのは意識次第なので、今後も継続していくだけ」

攻撃面で違いを作れるのは当たり前。それにプラスアルファして自分の価値を最大化させるためにはハードワークはいとわない。

「(山本)悠樹の強みは守備と運動量なので。タックルもうまいし。ああいう選手が頑張れるのは強みだし、関学の選手も『悠樹がやるなら、やらなければ』となる。それをあいつは自覚している」
関西学院大の主将・竹本将太も山本をこう評す。

上手く、ゴールに直結するプレーができて、かつ守備もする。味方には欲しいし、相手にいたら嫌なことこの上ない。すべてにおいて質の高いプレーができ、結果を残せるという点で、彼は今年の“大学ナンバーワンMF”と言っても良い。

G大阪の司令塔を継承するためのハードルは高いが、ここまで適任な選手はいないだろう。

パナソニックスタジアム吹田のピッチで、彼がその価値を発揮しサポーターを認めさせる瞬間は、近い未来にある。

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