宇佐美、井手口の良さを引き出せないG大阪。「危うさ」が顕在化した横浜FM戦

ガンバ大阪は8月31日、ニッパツ三ツ沢球技場で明治安田生命J1リーグ第25節の横浜F・マリノス戦に臨み、1-3で敗北。久々の黒星となったが、スポーツライターの飯尾篤史氏はその一戦を「危うさ」が現実になったものと見ている。

引き出せない宇佐美や井手口の良さ
「5試合負けなし」と言えば聞こえはいいが、「5試合未勝利」と捉えれば、そのイメージは途端にネガティブなものになる。5試合連続引き分けのG大阪の場合、どちらかと言えば、後者に近かった。

その危うさが現実のものとなったのが、横浜戦だった。

主導権を握られながらカウンターで応戦していたが、39分にティーラトンにミドルシュートを叩き込まれると、53分にはエリキ、仲川輝人、マルコス・ジュニオールと繋がれ、2失点目。その直後、遠藤保仁とパトリックを投入して3-5-2から4-4-2へと変更し、67分に小野瀬康介のゴールで反撃の狼煙をあげたが、78分に遠藤渓太にゴールを許し、突き放された。

「押し込まれるのは分かっていて、相手はラインが高いので、奪ったら出ていく。少ないチャンスを決めていくというプランだったんですけど、先に失点したのが痛かった」

小野瀬がそう悔やめば、井手口陽介も「1週間かけて、相手の戦術の対策を準備していただけに、すごく悔しい」と嘆いた。

G大阪が抱える大きな問題は、宮本恒靖監督がいまだ最適解を見つけられないでいることだろう。期待の新戦力である宇佐美貴史、井手口、パトリックの良さを、チームとして引き出せていないのだ。

欧州から帰還して間もない宇佐美と井手口に関しては、ベストコンディションを取り戻せていないという問題もあるだろう。その一方で、彼らのポジション、パートナーが定まっておらず、依然として手探りの状態なのだ。

井手口の良さのひとつが広範囲に動き回ってボールを奪い、その勢いのまま攻撃に加わるダイナミズム。しかし、横浜戦では前節に続き、アンカー起用。中盤の底をひとりで担うアンカーでは、縦横無尽に動き回ることができず、窮屈そうだった。

宇佐美は何でもできるオールラウンダーだが、最大の魅力はやはり、前回在籍時に示したように、日本人離れしたシュート力だろう。そのため、2トップの一角での起用は間違っていないが、横浜戦でのパートナーはアデミウソンだった。ふたりはいずれもドリブルが武器のセカンドトップタイプ。2トップにする利点である補完関係が、うまく築けていないように見えた。

3-5-2は最適解なのか?
振り返れば、今季のターニングポイントは、第12節のセレッソ大阪戦だった。遠藤、今野泰幸、オ・ジェソク、米倉恒貴といったベテラン・中堅をスタメンから外し、高尾瑠、福田湧矢ら若手を抜擢。システムも4バックから3バックに変更し、大鉈を振るったゲームだ。

その後、続いて抜擢した中村敬斗や食野亮太郎が海外に旅立ってしまったのは、宮本監督にとって誤算だったに違いない。加えて、若手に切り替えたことは影響し、多くのベテラン・中堅がチームを去ってしまった。

その代わりとして宇佐美、パトリック、井手口を補強したものの、未だしっくりきていない。それなら、そもそも3-5-2の布陣が彼らを生かすうえで本当に最適解なのか、という疑問も生まれてくる。

実際、横浜戦後のミックスゾーンでは「ヤットさん(遠藤)が入ってシステムを変えてからのほうが勢いがあったし、ハマっている感じがあった。個人としてもやりやすかったし、4-4-2のほうが前から行けていた」という言葉も聞こえたほどだ。

ここからインターナショナルマッチウィークに入るため、リーグ戦は2週間空くが、G大阪はFC東京とのルヴァンカップ準々決勝が控えている。ルヴァンカップを勝ち抜くことも大事だが、リーグ戦で結果を出すために、FC東京対策に重きを置くよりも、自分たちにフォーカスしてメンバー編成と戦術を整えるのも一考だろう。

いずれにしても、この問題を解決するのは、監督にほかならない。リーグ戦はあと9試合。残された時間は、意外と多くない。

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