宇佐美貴史が語るドイツでの葛藤と、二度目の復帰の理由

今夏にガンバ大阪への復帰を決断した宇佐美貴史。ドイツでは思うような結果を残せなかったものの、そこで培った経験をもとに、低迷するチームを救う活躍を見せることができるのか。G大阪のOBで元チームメイトの加地亮さんが、DAZN(ダゾーン)の『Jリーグプレビューショー』内で、宇佐美に復帰に懸ける想いを聞いた。

楽しくなくても結果を出さなくてはいけなかった

 二度にわたるドイツへの挑戦は、いずれもうまくいったとは言い難い。宇佐美貴史は2016年以来となる二度目のG大阪復帰を決断した。

「もう、慣れたもんですよ。帰って来るのは(笑)」

G大阪時代の先輩である加地亮さんに冗談めかして明かしたが、今回の復帰には相応の覚悟が備わっているようだ。

「苦しんでいるガンバを上げていきたい気持ちもあるし、そのなかでもう一回自分も浮上したいという想いもある。もし、(G大阪が)上位にいたら多分、帰らなかったと思います。沈んでいる時のほうが、やりがいもありますから」

宇佐美が二度目のドイツ移籍を実現したのは、2016年。しかし、移籍先のアウクスブルクでは出場機会に恵まれず、翌シーズンからは2部のデュッセルドルフにレンタル移籍した。

デュッセルドルフでは1部昇格に貢献したものの、1部に上がった2018-19シーズンは、再び苦しい立場へと追い込まれた。

「力不足をあらためて痛感して、帰って来られたことも良かったですよ」

宇佐美はドイツでの生活を、前向きに受け止めているが、当然満足はしていない。

「自分が得意とするプレーは出せるんですけど、そのプレーの局面をたくさん作れるような状況ではなかったし、シンプルに結果も残せなかった。最後のシーズンは1点ですから。そこですよね、結局」

「映像見ていると楽しそうじゃないよね?」

加地さんの質問に対し、宇佐美は「楽しくないですよ」と、率直に答えた。

「だって、相手のボールを追い回して、カウンター1本で背後を狙うだけ。そんなサッカー、誰も楽しくないですよ。でもそういうサッカーしか勝点を取れないから、みんながそれを必死にやっている。その団結力とか熱量は本当に素晴らしいと思いますよ。楽しいサッカーではないなかでも、結果を残さないといけなかった。そこの力不足を露呈しましたね」

プレー環境の問題はあったとはいえ、それを言い訳にせず、あくまで自身の力不足を宇佐美は認めていた。

新たな理想像は、使いやすい選手になること

攻撃だけでなく、守備でも貢献できる選手になること。それが、宇佐美が新たに思い描く理想像である。

「やれるようになりたいポジションは、2(シャドー)のところですね。ハードワークして、攻守に絡みながらやらないといけない。もしその攻守がしっかりできたら、すごく楽しいと思います。中継点にもなれるし、前にも出ていける。伸びしろを感じますし、それができるようになれば、使いやすい選手になれると思います」

宮本恒靖監督が率いる現在のG大阪には、売り出し中の食野亮太郎をはじめ、活きの良い若手が揃っている。すでに27歳となった宇佐美は、彼らを引っ張っていく立場でもある。

「イメージできないですね」と宇佐美は言いながらも、リーダーとしての自覚が芽生えているようだ。

「口で、もっとこうしろとか言うタイプじゃないんですよ。一緒にサッカーをすることで、いい影響をめちゃくちゃ与えたい。勉強になるじゃないですけど、そう思ってもらえるようなプレーをしたいですね」

6月24日に復帰が発表されてから約1カ月。夏の登録ウインドーが開いた7月20日の第20節・名古屋グランパス戦で、いよいよ青黒のユニフォームを身にまとい、復帰戦のピッチに立つ。

「楽しみですね。映像を見たり、試合を見ていても、ボールは回っていますから。あと一押しのところですね。そこで変化を与えられるとは思います。自分が得点を取ることはもちろん、チームにもっと点を生み出していきたい。もちろん失点しないことは大事ですけど、ガンバの魅力はスコアボードに4とか5とかが入るところ。点を取ることも、アシストすることも、そういうプレーをしていきたい」

17歳でプロデビューしてから10年。Jリーグで輝かしい実績を残す一方で、ドイツでは屈辱も味わった。その経験を糧に成長を遂げた宇佐美は、果たして3年ぶりのJリーグのピッチでいかなるプレーを見せるだろうか。

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