黄金世代が振り返るJ1前半戦。2人が期待外れに挙げたのは、あの優勝候補

今季の明治安田生命J1リーグは第17節までを消化。シーズンの半分に差しかかった。意外なチームの躍進や、まさかの低迷など、今季も予想外の展開が起こっている。今週のDAZN『Jリーグプレビューショー』では前半戦を振り返る企画を配信。元日本代表の播戸竜二氏、永井雄一郎氏、加地亮氏の黄金世代の3人が、「ベストチーム」「期待外れのチーム」「後半戦の注目チーム」の3つのテーマについて、語り合った。

横浜FMの躍進を支えるのは…

 永井氏が前半戦のベストチームに推すのは、3位と好位置をキープする横浜F・マリノスだ。

「4-3-3で幅を使いながら攻撃できるけど、縦への意識も高く、アグレッシブな攻撃をして、それが結果につながっている」

そして、横浜FMの躍進を支える選手としてマルコス・ジュニオールの名前を挙げた。

「彼がいろんなところに顔を出してボールを触ることによって、パスのテンポが上がるし、流れも良くなる。エジガル・ジュニオとの連動性もいいですね」

加地氏は古巣である大分トリニータの躍進に、目を細める。

「4年目の片野坂監督の下で、戦術が浸透している。GKの高木選手と後ろの3枚は、相手にプレッシャーをかけられながらも、しっかりとつなげられる。あえて、相手を前に来させて、ディフェンスと中盤の間のスペースをうまく活用できている」

その戦術のキーマンは、小塚和季だという。

「嫌らしいところに常にポジションを取っている。どこにパスが来るのかを予測しながら、相手がプレッシャーをかけに前に来たところのスペースを狙っている。そこを起点にサイドの選手がスペースに飛び出していく。カウンターに入った時は、Jリーグで一番早いんじゃないですかね」

播戸氏は首位のFC東京をベストチームに推挙した。

「長谷川健太さん特有の4-4-2で、堅いサッカーですね。いいなと思うのは、2トップが固定されているところ。ディフェンスも後ろの4枚がしっかりとやれている」

一方で播戸氏は、「ここまでは同じメンバーで戦えているけど、そのメンバーがいなくなってどうなるか」と、レアル・マドリーに移籍した久保建英の穴埋めが、後半戦のポイントとなると見ているようだ。

低迷する浦和は連係面に問題あり

 ベストチームとは対照的に、期待外れに終わったチームはどこなのか。永井氏は「ヴィッセル神戸」を挙げ、その理由として「いわばオールスター軍団。このメンバーがいるなかで、この順位にいるのはちょっと寂しい」とした。

ただし、神戸は現在5試合無敗中と復調の兆しを見せており、特にトルステン・フィンク新監督となってからは、攻守にキレが戻り始めた。永井氏は監督交代による好転の気配も感じている。

「なかなかうまくいかないなかで、監督が交代して、前節は名古屋との打ち合いを制した。最低でもトップ5には入ってほしい」

加地氏と播戸氏は、奇しくも同じチーム名を挙げた。12位に低迷する浦和レッズだ。

「ここにいたらダメでしょ。今年はやってくれるという期待があったから」

加地氏の言葉に、浦和のOBである永井氏も呼応。

「シーズン当初の2トップが全然うまくいっていなかった。興梠選手は1トップに慣れているからか、2トップになることですごく窮屈そうに見えた」

加地氏は連係面に問題があると指摘する。

「連係がスムーズじゃない。前の選手がどういう形を描いているのか、後ろの出し手はいまいち想像つかない状況なのかなと」

「レッズとしてこういうサッカーしたいっていうのはあるのかな」という播戸氏の疑問に対し、永井氏は「そこがレッズのこれからの問題。うまくいかない時にどうするのか。今は戻るところがない。大槻監督はそういうものをしっかり作っていけるように、とは言ってましたけど」と、指揮官の言葉を伝えている。

では、巻き返しのキーマンは誰か。加地氏は「FWの杉本選手でしょう」と答える。

「ここが点を量産しないことにはね。一番はスペースに走ること。センターバックとサイドバックの間を抜けるという動きが一番のバロメーターだと思う。あそこに走り込んで、あそこでキープしてというのが、一番得意な部分だと思うし、あれが出てくると本調子になる」と杉本のプレーについて分析した。

川崎F、3連覇のカギはバンディエラの復調

 最後に3人は、後半戦の注目チームについて語り合った。

加地氏は「ガンバ大阪だね」と、古巣の名前をすぐさま挙げた。「その中でも食野(亮太郎)選手。ドリブルもしつこく仕掛けるし、メンタルが強いと思う」

J3でゴールを量産し、J1でもすでに3ゴールを記録する若きストライカーに対しては、播戸氏も好印象を抱いているようだ。

「彼がいいと思うのは、点を取った後に宮本監督のところに抱き合いに行くところ。こういう行動で、チームがギュッとまとまるから」

また播戸氏は、システム変更が上手くいっていると分析する。

「3バックになって、アンカーに遠藤が入った。遠藤は3バックになったことで、ディフェンスの負担が少なくなって、パスを受けて散らすというプレーに専念できている。ようやくガンバが上に行く形を見つけたんじゃないかな」

名古屋グランパスを注目チームに挙げたのは、永井氏だ。

「直近の試合(神戸戦)は打ち合いになって負けてしまったけど、中を閉じられても、こじ開けていくような攻撃力がある。個の力もあるし、コンビネーションもある。ただひとつ、シュート成功率がリーグの中でも低いことが問題。最後のところが決まればね」

最後に語った播戸氏は、川崎フロンターレについて言及。バンディエラの復調が3連覇のポイントとなると見ているようだ。

「前半戦はそこまで流れのあるサッカーではなかった気がする。フロンターレのサッカーではなかった。でも、中村憲剛が帰ってきたら、またスムーズになって、つながりができると思う。そうなれば3連覇の可能性もあるんじゃないかな」

J1は7月6日から7日にかけて行われる第18節から、いよいよ後半戦に突入する。熾烈を極める戦いからより一層目が離せない。

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