東アジア杯、未出場は6人。東口、六反、米倉、丹羽、水本、米本…中国戦先発メンバーを読む フットボールチャンネル 8月9日(日)11時47分配信

中国・武漢で行われている東アジアカップ。ここまで1 分け1敗の未勝利と苦しんでいる日本代表だが、テストの意味合いも強い今大会。2戦を終えて未出場の選手は6人となっている。ヴァイッド・ハリルホジッチ 監督は最終戦となる開催国・中国戦へどのような11人を選択するのだろうか。

川島、西川との序列の逆転も不可能ではない東口

 1-2と敗れた北朝鮮戦から5人の先発メンバーを変更した韓国戦は1-1の引き分けに終わり、2試合で優勝の可能性が消えてしまった。ややぴりぴりした 状態での調整が続くが、前日練習を途中から非公開にしたハリルホジッチ監督は「次も新しい選手が出る可能性はある」と語っており、勝利を目指す中にも新し いテストの要素は入れていきそうだ。

ここまでの2試合で出場チャンスを与えられていないのはGKの東口順昭と六反勇治、DFの米倉恒貴、丹羽大輝、水本裕貴、MF米本拓司の6人。守備的な ポジションの選手が残されており、状況を考えるとハリルホジッチ監督としても難しい部分はあるかもしれないが、可能な限り多くの選手をテストすることで、 アジア予選に向けた選択肢を広げる作業をしていくべきだ。

GKは2試合フル出場の西川周作が引き続き起用される可能性もあるが、東口もシュートの対応やフィードなど、GKの資質として遜色ないものがある。西川 はここまで安定したパフォーマンスを見せているものの、ハイボールやクロスボールに対してゴール前に待って構える傾向が強く、前に出てパンチングするべき 距離でステイし、結果的にCBの厳しい対応を強いた場面もあった。

ゴール前の迫力を強く求めるハリルホジッチ監督だけに、そうしたシーンで東口が西川やクロス対応にやや難のある川島に無い迫力を出せれば序列の逆転も不可能ではない。

その意味では188cmでハイボールに強い六反にもチャンスはあるのだが、練習ではボール捌きでスムーズさを欠く部分が目立っているのも確か。そうした点をハリルホジッチ監督やリカルドGKコーチがどこまでプライオリティに置いているかも重要だ。

DFラインには米倉、丹羽のG大阪コンビが残る

 右SBでは遠藤航が攻守に渡り悪くないパフォーマンスを見せているが、中国戦は米倉にチャンスを与えてほしいところ。本職のSBらしい上下動とビルドアップの質、ライン際を有効に使った攻撃サポートがあり、米倉は局面の球際でも十分に強さを発揮できる選手だ。

バランス感覚が高い分、攻撃参加の度合いが流れによって変わるのは内田篤人に通じるが、そうした状況判断が良い方に出れば定着の可能性も出てくる。

CBは連係がどこよりも重要なポジションなので、丹羽大輝か水本裕貴を同時に起用するよりは、どちらかをこれまでの主力と組ませてチェックするのがセオリーには合っている。

森重がキャプテンマークを巻いているが、ここまでのパフォーマンスで相対的に判断するなら残すのは槙野か。水本の機動力や対人のセンスは素晴らしいが、前回のチームにも招集されながらチャンスの無かった丹羽を先ずはここでテストしてほしいところ。

丹羽はフィジカル的な能力よりも頭脳で守るタイプ。ラインコントロールやバランスワークが緻密で、他の選手が数メートル単位でイメージする様な局面でも数十センチ、時には数センチの世界で見ている様なところがある。

ACLでもそうしたスタイルで屈強なアタッカーを封じており、必要なら球際も厳しく行けるため、ガオ・リンなど中国のFWにもしっかり対処していくはずだ。

また北朝鮮では急ぎ過ぎ、韓国戦では消極的すぎと多くのメディアから指摘されるゲームコントロールに関しても、もともと周りに言われなくても意識している選手だけに今まさに効果的な人材かもしれない。

同じムードメーカーでも前衛型の槙野とまた違った包容力とリーダーシップがあるので、それを試合中にどう示して勝利に貢献するかも見所だ。

米本、本職ボランチでの先発は?

 水本もCBでスタートから出るのが本人にはベストだが、再びボランチで出場する可能性もゼロではない。途中から非公開練習となった前日にどういう形を確 認したかは分からないが、中国にはダ・バオという危険なシャドーストライカーがおり、自陣で守る時間が長くなった場合、FWを追い越して来るタイプの選手 を捕まえるにはCB的な感覚が無いと難しい部分がある。

ただ、基本的には中国に対して高い位置からプレッシャーをかける戦い方が予想され、そうした起用法を取るとしても試合の途中からか。

本職のボランチで米本拓司が先発出場を果たすかは注目ポイントの1つだ。練習では[4-2-3-1]の右サイドに入ることもあったが、特に攻撃面を考えると本来のポジションではない。

所属のFC東京でも戦術的な理由でサイド起用されることはあるが、中国の左SBであるレイ・ハンも特別に危険な選手というわけではないので、あえてテストする必要があるかは微妙なところだ。

ボランチでテストされる場合、米本も「タイプ的には同じかもしれない」と語る様に、ここまでチームで1、2を争う働きを見せている山口蛍と大枠のキャラ クターが重なるのは少し気になるところ。ボール捌きは2人ともしっかりしており、攻撃参加も非凡なものはあるが、本質的にゲームメーカーではないので、時 にリズムが単調になってしまうリスクはある。

ただ、守備に関してもともとハリルホジッチ監督はボランチ2人に同等の守備的役割を求める思考が強いため、2人がうまく機能すれば中盤の強い相手との試合に備えた有効なオプションになってくる。

もちろん攻撃面での機能性などを考えれば、すでにテストが済んでいる山口をあえて外し、柴崎とボランチを組む形なら米本にとっても特徴を出しやすい。

残り1戦、9月のW杯予選へアピールできるか

 またハリルホジッチ監督が中国に対して攻守のバランスをどう判断するか次第だが、[4-3-3]のアンカーに藤田直之か谷口彰悟、あるいは水本や遠藤の 様な後ろに強い本職DFの選手をここに配置して、米本をインサイドハーフで柴崎などと並べるのもロジカルな選択肢ではある。

米本は粘り強い守備にも定評はあるが、高い位置からボールを取りに行く中で日本人離れした身体能力やセンスを発揮する特性があり、攻撃でも深い位置で組み立てるより、前に出て積極的なパスやシュートに持ち込む方が持ち味は出る。

その意味で後ろにアンカーが構え、中盤の一角で柴崎が起点になるシチュエーションは米本にとって理想的だ。もちろん米本のために中国戦があるわけではないので、周囲とのバランスでどう指揮官が判断するかで起用法は変わってくる。

攻撃陣はすでに出場している選手ばかりだが、初戦で先制ゴールなどハッスルした武藤雄樹を再度テストし、欧州組を含めたポジション争いに割って入る資質をチェックしたいところ。

また韓国戦で再三良い動き出しを見せながら、高い位置でボールを持った局面で積極性を欠いた浅野拓磨も反省を活かす場を与えられれば、現時点での真価をはかる機会になるだろう。

韓国戦で独特の攻撃センスを発揮した倉田秋と本来の出来からほど遠い宇佐美貴史の取捨は難しいが、中国ディフェンス陣の特徴も考えるとドリブルとミドル シュートの能力が高い宇佐美を最もゴールに近いトップに置き、倉田がサイドからサポートする形が相手にとって嫌な布陣かもしれない。

泣いても笑っても今回のメンバーにとって中国戦は大きなアピールのチャンスだ。勝利を目指して一丸になるのは当然として、特にハリルホジッチ監督の就任から初招集の選手はしっかり光るものを見せて、9月に再び選出されるためのステップにしてほしい。

Share Button