中国戦で代表初ゴール狙う倉田。偉大な先輩・遠藤保仁から学んだ“ゲームを作る力” フットボールチャンネル 8月7日(金)11時0分配信
日本代表は5日の東アジアカップで韓国代表と苦しみの末に引き分けで試合を終えた。次の相手は中国代表だ。この試合に向けて、代表初ゴールを狙う男がいる。G大阪の倉田秋は、偉大な先輩である遠藤保仁から学んだことをピッチの上で出していきたいと語っている。
5日の東アジアカップ(武漢)第2戦・韓国戦で内容的に圧倒され、力の差を見せつけられた日本。山口蛍(C大阪)の精度の高いミドルシュートが決まって5年ぶりの日韓戦敗戦だけは免れたものの、アジアで勝てない日本サッカーの今後が危ぶまれる一戦だったのは間違いない。
悔しいドローから一夜明けた6日。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表は武漢全民健身活動センターで朝9時半からトレーニングを行った。この 日も日向は気温40度を超える猛暑だったが、指揮官は炎天下で15分の青空ミーティングを実施。韓国戦の反省と改善点を説明するとともに、9日の最終戦・ 中国戦勝利を厳命した。「あと1試合、絶対に勝ちたいという話が監督からあった」と守護神・西川周作(浦和)も強調していたが、大会未勝利のまま帰国でき ないという危機感は選手たちにも強い。その意地とプライドを見せてもらうしかない。
練習はこれまで通り、前日先発組の11人とそれ以外の12人で進んだ。前者はクールダウンのみで、ストレッチをしながらの話し合いも選手同士で行われた。後者は狭いエリアでの5対5や5対5+GKなど負荷の高い内容がかなり盛り込まれた。
北朝鮮戦翌日のハリルホジッチ監督は視察に訪れた日本サッカー協会の大仁邦弥会長、田嶋幸三副会長に「日本サッカーの危機だ」と訴えたが、この日は練習を見守った田嶋会長、原博実専務理事に注文をつけることはなかった。
むしろこれまで以上に明るくチーム全体を鼓舞し、バスに乗る直前には取材対応中の遠藤航(湘南)の頭にペットボトルの水をかけるなど、どこか吹っ切れた ような明るさを見せた。プレッシャーのなくなったラストマッチは意外と指揮官も選手たちもリラックスして戦えるかもしれない。
そんな中、中国戦で代表初ゴールを取りたいと燃えているのが、韓国戦で山口の得点をアシストした倉田秋。G大阪ジュニアユース、ユースの生え抜きながら J2の千葉やC大阪を渡り歩き、G大阪でもレギュラーをなかなかつかみきれなかった26歳の苦労人にとって、今大会は千載一遇のチャンス。韓国戦ではハリ ルホジッチ監督とのゴールの約束を果たせず、心底悔しがっていた。
「得点を取れなかったんで、それ以外言うことはないですね。(自分の出来が)よくなかったと言うしかない。攻撃でも慎三(興梠=浦和)君が孤立しちゃった ので、そこのサポートをするためにもっと運動量を上げないといけなかった」と一夜明けても彼は反省の弁を口にし続けていた。
Jリーグで対戦経験のあるチョン・ウヨン(神戸)やチャン・ヒョンス(広州富力)の韓国ボランチコンビに好き勝手にボールをコントロールされたのも、倉田にとっては納得しきれない点だったという。
「彼らは回すのがうまいし、FW陣もフィジカル生かしたキープがうまくて、韓国はホンマにいいチームだった。でもこっちもそれ以上のクオリティをみんな 持ってると思う。もっと落ち着いてもっと自信を持って回せば、相手は球際に来るだけやったんで、1つかわせばこっちの方が全然、いい状況でボールを持てた と思う。それがきなかったのが悔しいですし、次の中国ではやりたいですね。俺は勝って終わりたいんで、リスクを負ってでも前から行きたいと思ってます」と 彼はボール保持時間を長くし、よりゴールにアグレッシブに向かっていく決意を口にした。
倉田がそんな話をするのも、ガンバの先輩・遠藤保仁の影響が大きいという。国際Aマッチ152試合を誇る名ボランチは、チームの流れが悪くても卓越した戦術眼を駆使して落ち着きどころを作る。そしてスキを見て攻めのスイッチを入れ、自らもゴールへ向かっていくのだ。
老獪なプレーを何年にもわたって間近で見てきた倉田は、同じ仕事を代表のピッチ上でやらなければいけないと考えている。
「ヤットさんはガンバがあんまりいい状況でない時にうまいこと時間を作ったり、緩急を作ったりしてくれてる。それを何年もずっと見続けてるんで、自分の勉強になってるし、今になってできつつあるのかなと思います。
あの人はどんな時もブレないし、全体を見ながら自分のリズムでやってくれる。自分にもそれができると思うんで、リズムの変化もつけていきたいですね。韓 国戦ではボールを触る回数が思ったより自分の中で少なかったと思うんで、リズムを作る回数であったり、受ける回数をもっと増やしていかないといけないと思 います」と本人も強調していた。
中国戦の倉田は2列目のサイドで使われるか、トップ下なのか分からないが、どこかで出場機会を与えられるはず。今度こそチームの勝利に直結する仕事をキッチリ果たしてほしいものだ。