本田、香川、岡崎不在。宇佐美は得点源となれるか。川又、永井、興梠、浅野…サバイバルの行方は? フットボールチャンネル 8月1日(土)12時10分配信

中国・武漢で開催される東アジアカップ。今大会では、これまで日本代表を牽引してきた欧州組が不在。国内組のみでの編成となるため、宇佐美貴史は最大の得点源として期待がかかる。

柿谷が得点王を獲得し優勝を遂げた2年前の韓国大会

 韓国で開かれた2013年前回大会に続く東アジアカップ連覇を狙う日本代表。彼らは30日に開催地・武漢入りし、31日夜に現地初練習を実施した。

重慶、南京と並ぶ「中国三大火炉」の1つに数えられる武漢は酷暑の地として知られる。この日も夜にもかかわらず高温多湿の気候が続き、選手たちは汗だくになりながら1時間15分程度のコンディション調整を消化した。

29日のJ1第2ステージ第5節で柏木陽介(浦和)と権田修一(FC東京)が負傷離脱し、藤田直之(鳥栖)と六反勇治(仙台)が追加招集されるアクシデントも発生したが、何とか23人のメンバーは初日のトレーニングを無事に消化した。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は大会前の公式会見で「できるだけ多くの選手を使いたい」と初招集8人を含めたフレッシュな面々を積極的に起用する意向 を示した。その一方で「この試合に勝とうとミーティングで話した」と強調。結果にも強くこだわる姿勢も前面に押し出した。

今回の日本は攻撃陣の主力である本田圭佑(ミラン)や香川真司(ドルトムント)、岡崎慎司(レスター)ら欧州組が揃って不在。それでも前回王者の意地とプライドに賭けてそう簡単に負けるわけにはいかない。

2014年ブラジルW杯、2015年アジアカップ(オーストラリア)、そして6月の2018年ロシアW杯アジア2次予選初戦・シンガポール戦(埼玉)と勝利から見放されているだけに、何としても好結果が求められるのだ。

そのためにも、確固たる得点源の出現は最重要テーマの1つと位置づけていい。この4~5年間、日本の得点は本田、岡崎、香川の3人への依存度が非常に高かった。

2年前の韓国大会では同じく彼らを欠く中、成長著しかった柿谷曜一朗(バーゼル)が合計3ゴールを奪って得点王を獲得。チームを東アジア王者へと押し上げている。そんな柿谷のような新星の台頭がなければ、日本が連覇を果たすのは難しい。

自然体でゴール、アシストを狙う宇佐美

 今回のアタッカー陣で確固たる得点源になり得る一番手が、今季J1通算16ゴールを挙げている宇佐美貴史(G大阪)だろう。就任後初の公式戦であるシン ガポール戦でハリルホジッチ監督があえてスタメン起用した通り、彼のフィニッシュの精度は日本人屈指と言っていい。本人にも自分が日本の攻撃陣をけん引し なければいけないという自覚は強くあるようだ。

「得点もそうですし、得点を作り出すアシスト…、アシストといっても質の高いワンタッチで決めさせる、2タッチで決めさせるようなアシストを決めて、攻撃 を数字で引っ張っていくことはしたいですし、それが自分のスタイルでもあるんで、よりゴールに直結するようにしていきたいとは思ってます。

海外組がいるいないに関係なく、どの試合も個の力をしっかり出してアピールすることしか考えてないんで。つねにやっているメンタリティで日本の攻撃をリードしたい」と本人もあくまで自然体でゴールを積み重ねる構えだ。

その宇佐美に匹敵するゴール前の切れ味を備えているのが、日本人離れした頭抜けた身体能力を誇る川又堅碁と爆発的なスピードを武器とする永井謙佑の名古屋グランパスコンビ。2人に対しては指揮官も選出時の記者会見で期待を口にしていた。

特に川又は今回、1トップの軸に据えられる可能性が高いだけに楽しみだ。J1後半戦に入ってハイペースで得点を積み重ねる彼のブレイクは十分あり得るだろう。

J1第1ステージ王者の浦和レッズの興梠慎三、武藤雄樹の両点取屋もどのような局面で使われるかによって、ゴールラッシュの火付け役になることは考えられる。

注目株は20歳の浅野。ジョーカーとしてアピールなるか

 興梠も1トップ候補者だが、彼が浦和でやっている通り、前線でしっかりタメを作り、そのスキを見て武藤が一気に空いたスペースに飛び込むような攻めが実践できれば面白い。

今大会は準備期間が皆無に近いため、ハリルホジッチ監督も同じクラブで普段からコンビを組んでいる選手たちの関係を生かしたいはず。そういう考えに基づいて、2人が同時にピッチに送り出された時が1つの見どころではないか。

そしてもう1人、若きスピードスター・浅野拓磨(広島)も見逃せない存在。彼はサンフレッチェ広島と同じようにジョーカー役を担う可能性が高いそうだ。

「もしそこ(途中出場)で出れば、どんどんチャレンジするだけかなと。どういう時間帯でどういう役割を与えられたとしても、やるべきことはあまり変わらないと思うので。

自分の特徴はスピードだと思いますし、そこはハッキリしているので、それを活かしたプレーができればどういう状況でも通用すると思います。固く考えずに与えられた役割を果たしたい」と彼は20歳の若武者らしく果敢に挑んでいくつもりだ。

そういう怖いもの知らずの人間が大仕事をやってのけることはしばしばある。浅野がそうなれば大歓迎だ。

こうして見ると、やはりこのチームの得点力は宇佐美への依存度が大だろうが、それ以外にも点の取れる選手が出てこなければ日本は勝てない。それが誰なのかに注視しつつ、今大会の戦いぶりを冷静に見極めたい。

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